運行の記録保存期間(ハブ)2026.09.16 公開HZ-01

運送業の書類の保存期間一覧|起算日で分ける

目次

運送業の書類は、種類によって保存期間がばらばらです。1年のものが多いので1年で覚えてしまいがちですが、その中に3年のものが混ざっていて、まとめて外したときに一緒に消えてしまう、という事故がよく起きます。

この記事では、運送業の主な書類の保存期間を、年数ではなく起算日の種類で分けて整理します。年数だけの表を暗記するより、いつから数えるかで分けたほうが、実際の棚の管理につながります。

点呼記録簿の保存だけを先に確かめたい方は、そちらの記事から読むと早いです。→ 点呼記録簿の保存期間

結論:運送業の書類の保存期間は「年数」より「いつから数えるか」で分かれる

運送業の書類の保存期間は、多くが1年、一部が3年、そして「その立場である間ずっと」というものがあります。年数そのものは3種類しかないので、覚えること自体は難しくありません。

難しいのは、いつから数えるかのほうです。記録した日から数えるもの、運行が終わった日から数えるもの、その人が運転者でなくなった日から数えるものが混ざっています。ここを間違えると、年数を正しく覚えていても外す時期がずれます。

ポイントはここです。棚の管理を年度でやっている会社は、必ずどこかでずれます。年度は会社の都合で決めた区切りですが、保存期間は書類ごとの出来事から数えるからです。

年数ではなく、起算日で分ける記録した日から1年点呼記録簿・日報・記録計終了日から1年運行指示書退職日から3年運転者台帳
運送業の書類を、起算日の種類で3つに分けた層の図

起算日が「記録した日」のもの

いちばん数が多いのがこの区分です。毎日たまっていく記録が、ここに入ります。

点呼記録簿、乗務記録(運転日報)、運行記録計の記録。これらは一般に1年間保存することとされており、数えるのは記録した日からです。

記録した日から数えるもの書類保存期間綴じ方点呼記録簿1年営業所ごと・月ごと運転日報1年月ごと。長めも可運行記録計1年月ごとに袋へ
記録した日から数える書類と、その保存期間を並べた表

この区分の扱い方は決まっています。月ごとに綴じて、冊の中のいちばん新しい日付から数える。4月分の冊なら4月30日が基準になり、翌年の5月に外せる形になります。背表紙に「2026年4月分・2027年5月以降処分可」と書いておけば、棚を見るだけで判断できます。

ここで注意したいのが、日をまたぐ運行です。4月30日に出て5月2日に戻る運行の記録は、どちらの冊に入れるかで外す時期が1か月変わります。戻った日の側に入れると決めておくと、早く捨てすぎる事故が起きません。

起算日が「運行が終わった日」のもの

運行指示書がこの区分にあたります。一般には、運行が終了した日から1年間保存することとされています。

記録した日ではなく、運行が終わった日から数えるのが特徴です。運行指示書は運行が始まる前に作るものなので、作った日と運行が終わる日がずれます。2日以上にわたる運行を対象に作るものなので、作成日で数えると数日早く外すことになります。

運行指示書は運行の終了日から作成運行の前に作る運行中正は運転者が携行終了ここから1年作成日で数えると、数日早く外すことになる
運行指示書の作成日と運行終了日のずれを示した時系列の図

運行指示書には正と副があり、正は運転者が携行し、副は営業所に置くこととされています。運行が終わったら、運転者が持ち帰った正のほうも営業所で保存する形になります。正が車の中に置きっぱなしになっているのが、この書類でいちばん多い失われ方です。運行指示書そのものの作り方は運行指示書の書き方にまとめました。

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日をまたぐ運行の扱いをもう少し

「戻った日の側に入れる」と決めておくのが安全だと書きました。理由を補っておきます。

保存期間は、短く持つと足りなくなり、長く持つぶんには問題になりません。だから、判断に迷ったときは長くなるほうを選ぶのが安全側になります。4月30日に出て5月2日に戻る運行を5月分に入れれば、外す時期が1か月遅くなるだけで済みます。

逆に4月分に入れてしまうと、5月2日の記録が1年に1日足りない状態で外れることになります。1日の不足でも、指摘としては「保存期間を満たしていない」になります。

同じ考え方は、月末の点呼にも当てはまります。31日の夜に乗務前点呼をして、翌月1日の朝に乗務後点呼をした運行。この2行を別の冊に分けると、後から運行を追うときに冊をまたぐことになります。1つの運行の記録は1つの冊にそろえておくと、探す手間も減ります。

起算日が「その人が運転者でなくなった日」のもの

運転者台帳がこの区分です。ほかの書類と考え方がまったく違うので、分けて覚えます。

一般には、運転者台帳は運転者が在籍している間は営業所に備え置き、その人が運転者でなくなった場合には、その日から3年間保存することとされています。年数も3年と長く、数え始めるのも退職などの日になります。

ここが、まとめて外す事故のいちばんの原因です。棚に一緒に入っている書類を「1年経ったから」と外すと、3年持つべき運転者台帳が混ざっていることがあります。運転者台帳だけは別の場所に置くか、少なくとも別のファイルに分けておくのが安全です。

退職した人の台帳は、退職の日を表紙に書いて、外してよくなる年月も書いておきます。「2026年3月31日退職・2029年4月以降処分可」と書いてあれば、3年後に誰が見ても判断できます。詳しくは運転者台帳の書き方で説明しています。

「選任している間ずっと」のもの

期間ではなく状態で決まるものもあります。運行管理者や整備管理者の選任に関する書類がこれにあたります。

選任している間は備えておき、選任が終わった後の扱いは書類の種類によって変わります。資格者証の写し、選任届の控え、講習を受けた記録などが該当します。

年数で決まるものと、状態で決まるもの年数で決まる点呼記録簿運転日報運行指示書運転者台帳外す日が決まる状態で決まる選任の届出の控え資格者証の写し講習の記録選任している間ずっと
年数で決まる書類と、状態で決まる書類を並べた比較の図

この区分は「いつ捨てるか」を考えないのが正しい扱いです。人が入れ替わったときに、前の人の分をどうするかだけを決めておきます。選任の経過が追える形にしておくと、監査で選任の空白期間がなかったことを示せます。

監査や巡回指導で実際に求められる形

保存期間を守っていても、求められたときに出せなければ意味がありません。実際にどう求められるかを知っておくと、並べ方が決まります。

求められ方は、たいてい「日付と運転者名」で来ます。「◯月◯日の◯◯さんの点呼記録を見せてください」という形です。だから、日付から引ける並べ方になっていないと、その場で出せません。

運転者ごとにファイルを分けている会社が、ここで詰まります。日付を言われても、全員ぶんのファイルをめくることになります。営業所ごと・月ごとに綴じて、その中は日付順、というのが探しやすい形になります。

求められるのは「日付と氏名」日付から引ける営業所ごと月ごと中は日付順その場で出せる運転者から引く人ごとにファイル日付を言われるとめくる
日付から引ける並べ方と、運転者から引く並べ方の違いを示した比較の図

もう1つの求められ方が、「直近1年ぶんを見せてください」という形です。このときは冊がそろっていること自体が答えになるので、月が抜けていないかを先に確かめておきます。抜けている月があるなら、先に申告したほうが心証が良くなります。隠して見つかるのがいちばん悪い形です。

労働に関する書類は別の考え方が入る

ここまでは運送事業としての決まりの話ですが、労働の側から別の保存期間がかかることがあります。

労働に関する重要な書類については、労働基準法にもとづいて保存することとされており、その年数は運送事業の側の1年より長くなっています。賃金台帳、出勤簿、労働時間の記録などが該当します。

問題は、運転日報や運行記録計の記録が、労働時間の裏付けとして使われることです。運送事業の側では1年で足りても、労働時間の記録として見たときにはもっと長く必要になる場面があります。

労働の側から別の年数がかかる運送事業の側日報も記録計も1年労働の側労働時間の裏付けとして、より長く
運送事業の側の年数と、労働の側の年数が重なる部分を示した層の図

判断の目安としては、運転日報だけは長めに持つという形が扱いやすくなります。置き場所の負担は増えますが、未払い残業の話が出たときに、手元に記録が無いのがいちばん困ります。全部を長く持つ必要はありません。

棚の管理を続けられる形にする

年数を覚えても、棚が管理されていなければ意味がありません。続く形にするには、判断を人の記憶から外します。

やることは3つです。1つ目が、背表紙に処分可の年月を書くこと。2つ目が、起算日の種類が違う書類を同じ綴りに入れないこと。3つ目が、月初に前年の同じ月を見る、という決まった動きを作ることです。

3つ目がいちばん効きます。「気づいたときに整理する」運用は、忙しい時期に止まります。月に1回、5分でよいので棚を見る日を決めておくと、担当者が変わっても続きます。

外したときは1行残します。「2027年5月8日 2026年4月分 点呼記録簿 処分」で十分です。この1行があると、「もともと無い」のか「期間が過ぎて外した」のかを区別できます。

保存のルールを1枚にまとめておく

ここまで書いた内容を、社内で使える形にしておきます。表を1枚作るだけで、担当者が変わっても続きます。

列は4つで足ります。書類の名前、保存期間、起算日、置き場所。この4つがあれば、判断に必要な情報はそろいます。年数だけの表にすると、起算日の違いが落ちるので、必ず3列目を入れます。

4列目の置き場所を入れておくのが、意外と効きます。保存期間は分かっていても、どこにあるかが分からなければ出せません。「事務所2番棚」「運転者台帳は金庫横のキャビネット」まで書いておきます。

この表は、事務所の棚のそばに貼っておくのが効きます。整理する場面で手元にあるかどうかが、使われるかどうかを決めます。ファイルの奥に置いても開かれません。

年に1回、見直す日も決めておきます。法令が変わることもあれば、自社の書類が増えることもあります。増えた書類が表に載っていないのが、いちばんよくある形です。新しい書類を作ったときに1行足す、という運用にしておくと、表が実態と合ったまま残ります。

書類を減らすという発想

保存の話をしてきましたが、そもそも書類の数を減らせないか、という視点も持っておく価値があります。

減らせるのは、法令で求められていないのに社内で作っているものです。運送業には、法令上の書類と、社内の管理のために作っている書類が混ざっています。後者のほうが数としては多いことがあります。

見分け方は簡単です。まず、1年ぶんの書類を種類ごとに数えてみます。数えると、思っていたより種類が多いことに気づく会社がほとんどです。

その書類を、誰かが実際に読んでいるかを確かめます。作っているが誰も読んでいない書類は、たいてい過去の誰かが必要だと思って始めたもので、いまは意味を失っています。

もう1つが、同じ情報を2か所に書いているものです。日報に書いた出庫時刻を、別の管理表にも転記している。この転記は、片方が間違ったときに矛盾を生むだけで、正確さは上がりません。同じ数字を2回書かせないのは、書類を減らすときのいちばん効く原則になります。

法令で求められている書類は減らせませんが、その保存の仕方は工夫できます。1年で外すもの、3年持つもの、事故のときだけ抜き出すもの。この3段にしておけば、量を増やさずに必要なものが残ります。

起算日ごとに棚を分ける

ここまでの内容を、棚の形に落としておきます。年数で分けるのではなく、起算日で分けるのが要点でした。

棚は3つに分けます。1つ目が、記録した日から1年のもの。点呼記録簿、運転日報、運行記録計の記録が入ります。量がいちばん多いので、手の届く場所に直近の数か月、それ以前は箱へ移します。

2つ目が、運行が終わった日から1年のもの。運行指示書が入ります。作る頻度が低いので量は少なく、1つのファイルで数年ぶんが収まります。量が少ないぶん、紛れやすいので、独立したファイルにしておきます。

3つ目が、運転者でなくなった日から3年のもの。運転者台帳です。個人情報が濃いので、鍵のかかる場所に入れます。在籍中のものと退職者のものを分けておきます。

これに加えて、事故のあった月だけ抜き出したファイルを1つ持ちます。ここは年数で外しません。

抜き出したものには、事故の日と概要を1枚目に書きます。数年後に開いたときに、何のファイルか分からないと使えません。

4つに分けておけば、整理するときに迷いません。「この書類はどの棚か」が決まっていれば、判断は要らなくなります。新しい書類が増えたときも、起算日を見ればどこに入れるかが決まります。

まとめ

運送業の書類の保存期間は、記録した日から数えるもの、運行が終わった日から数えるもの、運転者でなくなった日から数えるもの、そして選任している間持つものに分かれます。年数は1年と3年が中心ですが、起算日が違うので、まとめて外すと事故が起きます。

まず手を付けるなら、運転者台帳を別のファイルに分けるところからです。3年のものが1年のものに混ざっている状態が、いちばん危ない形になります。次に、背表紙に処分可の年月を書き足すと、判断が記憶から外れます。

なお、ここに書いたのは一般的な形です。自社にどこまで求められるかは、事業の種類や過去の指摘の内容によって変わります。最終的な判断は、所轄の運輸支局、労働に関する部分は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

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実際に使える様式が必要な方へ

点呼記録簿、運転日報、運行指示書、運転者台帳のExcel様式は、商い屋の運送業向けのページにそろっています。保存しやすい形に用紙から見直すときにも使えます。

商い屋で様式をさがす

保存の仕組みは、担当者が変わったときに試されます。引き継ぎのときに口頭で伝えるのではなく、表を渡せる状態にしておくと、そこで途切れません。続く仕組みかどうかは、人が変わったときに分かります。

保存の決まりは、覚えるものというより、棚の形にしてしまうものです。棚が正しく分かれていれば、年数を暗記していなくても判断を間違えません。

よくある質問

運送業の書類は、だいたい何年保存すればよいですか。

運行に関する日々の記録は1年、運転者でなくなった人の運転者台帳は3年とされているものが中心です。ただし労働に関する書類には別の年数がかかるため、日報については長めに持っている会社が多くあります。

保存期間の起算日はどこですか。

書類によって違います。点呼記録簿や日報は記録した日、運行指示書は運行が終わった日、運転者台帳は運転者でなくなった日からとされています。

年度でまとめて外してもよいですか。

年度は会社が決めた区切りなので、保存期間とはずれます。年度末にまとめて外すと、期末近くの記録が1年に満たないまま失われることがあります。

電子データで保存してもよいですか。

保存の方法について特定の形が定められているわけではないとされており、データでの保存も行われています。後から書き換えられない形にすることと、控えを別の場所に持つことが実務上は必要になります。

保存期間が過ぎた書類は、どう処分すればよいですか。

運転者の氏名が入っているものが多いため、そのまま資源ごみに出す形は避けます。溶かすか細かく裁断するかの処理をして、処分した記録を1行残しておきます。

営業所を閉めたら、その営業所の書類はどうなりますか。

保存期間が終わるまでは持っておくことになります。統合先や本社で、元の営業所ごとに分けて保管するのが一般的です。まとめてしまうと、どの営業所の記録なのかが追えなくなります。