指示書と台帳やり方2026.09.16 公開SD-03

車両管理台帳とは?載せる項目と運用のしかた

目次

車両管理台帳は、法令で様式が決められている書類ではありません。それでも多くの会社が作っているのは、車検、点検、保険、リースの期限が車ごとにばらばらに来るからです。どれか1つでも切らすと走れなくなります。

この記事では、車両管理台帳に何を載せておくと役に立つのか、どう更新するのか、そしてよくある失敗を整理します。決まった形が無いぶん、自社に合わせて作れる書類でもあります。

車両の点検そのものの記録は別の書類になります。書類ごとの保存年数はこちらにまとめました。→ 運送業の書類の保存期間一覧

結論:車両管理台帳は「車ごとに期限をまとめて、切らさないための表」

車両管理台帳とは、会社が使っている車について、車両の情報と、期限のある手続きをまとめた一覧のことです。車検証を全部集めてきても代わりにならないのは、期限が来る順に並べ替えられないからです。

ポイントはここです。車両管理台帳の価値は、情報を集めたところではなく、期限順に並べ替えられるところにあります。車が5台を超えたあたりから、記憶と車検証だけでは回らなくなります。

法令で作ることが義務づけられている書類ではないとされています。ただし、整備管理者の業務として車両の状態を把握することが求められており、その裏付けとして使われることが多くあります。任意の書類なので、自社に必要な欄を足して構いません。

台帳が束ねる3つの層車両の情報番号・車台・総重量期限車検・点検・自賠責・任意・リース記録整備・事故・走行距離・主な使用者
車両管理台帳が束ねる情報を、車両・期限・記録の3つの層で示した図

載せておくと役に立つ項目

決まった様式が無いので、何を載せるかは自社で決めます。実務でよく使われているものを、性質ごとに並べます。

変わらない情報が、車両番号(ナンバー)、車台番号、車種と型式、初度登録年月、車両総重量と最大積載量、所有者と使用者、配属している営業所です。

載せる項目と、その使い道項目出どころ何に効く車両番号・車台番号車検証車を特定する総重量・積載量車検証記録計と荷待ちの要車検の満了日車検証切らさない保険とリース証券・契約書同じ表に集める
車両管理台帳に載せる項目を、変わらない情報と期限で並べた表

期限のある情報が、車検の満了日、定期点検の次回予定日、自賠責保険の満了日、任意保険の満了日、リースやローンの満了日です。この5つがそろっていれば、台帳としては十分に働きます。

記録として残すものが、整備や修理の履歴、事故の履歴、走行距離、そして誰が主に乗っているかです。走行距離は月末に1回入れる形にしておくと、点検の時期を距離でも判断できるようになります。

車両総重量と最大積載量を入れておくのが、運送業では特に効きます。運行記録計が必要かどうか、荷待ちの記録が必要かどうかが、この数字で決まるからです。台帳に入れておけば、車が増えたときに毎回車検証を探さずに済みます。

期限を切らさないための並べ方

台帳を作っても、切らす会社は切らします。原因は、台帳を見る日が決まっていないことにあります。

対策は2つです。1つ目が、期限の近い順に並べ替えられる形にしておくこと。表計算で作っておけば、並べ替えは一瞬で済みます。紙の台帳を車ごとに1枚で作ると、この並べ替えができません。

2つ目が、見る日を決めることです。月初に1回、今月と来月に期限が来る車を抜き出します。2か月先まで見るのがこつで、今月だけ見ていると、車検の予約が取れないまま満了日が来ます。

月初に2か月先まで見る1並べ替える期限の近い順にす2抜き出す今月と来月のぶん3書き込む手配の状況を状態の欄に
月初に2か月先まで見る運用を示したフロー

抜き出したら、手配の状況を書き込む欄を作っておきます。「予約済み・5月12日入庫」まで書いてあれば、月の途中で誰が見ても状況が分かります。期限だけの表は、見た人が次に何をすればよいか分かりません。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

車両の点検表そのものを探している場合は、点検板に業務別の様式がそろっています。この記事は台帳の側です。

点検板で様式をさがす

走行距離をどう使うか

台帳に走行距離を入れておくと、期限の管理とは別の使い方ができます。入れる手間はわずかなので、余裕があれば最初から欄を作っておきます。

1つ目の使い道が、点検の時期の判断です。点検の周期は期間で決まっている部分がありますが、走行距離が多い車は傷みも早くなります。同じ3か月でも、月に1万キロ走る車と2千キロの車では状態が違います。距離が伸びている車から重点的に見る、という判断ができます。

2つ目が、車の入れ替えの判断です。距離が伸びて修理費がかさんでいる車は、替えたほうが安くつくことがあります。修理の履歴と距離を並べて見ると、その判断がしやすくなります。

3つ目が、車の使われ方の偏りを見ることです。同じような車が5台あるのに、1台だけ距離が突出している。これは配車の偏りなので、ならせば全体の寿命が延びます。

走行距離から判断できること点検の重点づけ車の入れ替え配車の偏り月末に1回入れ走行距離
走行距離から判断できる3つのことを並べた関係の図

入れ方は、月末に1回でじゅうぶんです。日報から拾えるので、新しく数える作業は発生しません。毎日入れようとすると続かないので、月に1回と決めておきます。

点検の記録とは分けて持つ

車両管理台帳と、点検の記録は別の書類です。ここを1つにまとめようとして、うまくいかなくなることがあります。

車両管理台帳は、1台につき1行の一覧です。全体を見渡して、期限の近いものを拾うのが役目になります。一方、点検の記録は1回の点検につき1枚で、どこを見て何が問題だったかが書いてあります。粒度がまったく違うので、1つの表には収まりません。

台帳の側には、点検を実施した日と次回の予定日だけを持たせます。中身は点検記録簿の側にあり、台帳からはそこを参照する形にします。これで、台帳が1行に収まったまま、必要なときに詳細へたどれます。

事業用自動車については、定期の点検の周期が決まっているとされています。自社の車がどの周期にあたるかを台帳に書いておくと、次回の予定日を出すのが楽になります。周期は車の種類によって変わるので、まとめて同じ周期にしないよう注意します。

白ナンバーの会社でも作る価値がある

ここまで運送業を前提に書いてきましたが、白ナンバーの社用車だけの会社でも、車両管理台帳は役に立ちます。

安全運転管理者を選任している事業所では、使っている車の台数を把握しておく必要があります。台数によって、安全運転管理者だけでよいのか、副安全運転管理者も要るのかが変わるからです。台帳があれば、台数を数えるのが一瞬で済みます。

台数が3つの選任を決める選任基準になる台数届出先運行管理者事業用30台ごと運輸支局安全運転管理者白ナンバー5台以上警察署整備管理者5台以上など運輸支局
台数から選任の要否が決まる関係を示した関係の図

もう1つが、車が増減したときの届出です。台数が変わって選任の要件を満たすようになった場合、届出が必要になります。台帳で台数の推移が分かる形にしておくと、気づかないうちに要件を超えていた、という事故が防げます。台数の数え方は安全運転管理者の選任で説明しています。

誰が主に乗っているかを持っておく

台帳に「主な使用者」の欄を入れておくと、思っていたより使う場面が多くあります。

1つ目が、事故や違反の連絡が来たときです。ナンバーだけ伝えられて、誰が乗っていたかを調べることになります。日報をさかのぼれば分かりますが、台帳に主な使用者が書いてあれば、当たりを付けるのが早くなります。

2つ目が、車の状態についての問い合わせです。異音がする、警告灯が点いた。こうした話は主に乗っている人がいちばん知っています。車の状態を聞ける相手が台帳から分かるというのは、整備の手配で効きます。

3つ目が、鍵の管理です。誰が持っているかが分からなくなる車は、たいてい主な使用者が決まっていない車です。

ただし、共用の車では1人に決められません。その場合は「営業部共用」といった書き方にして、管理している部署が分かる形にしておきます。空欄にすると、誰も見ていない車になります。

よくある失敗

車両管理台帳でよくある失敗は3つです。どれも作り方の問題ではなく、続け方の問題になります。

1つ目が、項目を増やしすぎることです。あれば便利だと思って欄を足していくと、埋めるのに時間がかかるようになり、やがて更新されなくなります。空欄だらけの台帳は、無い台帳とほとんど同じです。使わない欄は削ります。

2つ目が、車を手放したときに行を消してしまうことです。消すと、過去にどの車を使っていたかが追えなくなります。行は残して、抹消した日を書き込む形にしておきます。

3つ目が、台帳が1人の頭の中にあることです。担当者が作った表が、その人のパソコンにしかない状態です。休んだ日に車検が来ると、誰も気づけません。置き場所を共有しておくのが、いちばん簡単な対策になります。

台帳を作る手順

これから作る場合の順番です。完成形を目指すと止まるので、動く形から始めます。

1つ目に、車検証を全部集めます。コピーでも写真でも構いません。ここに必要な情報のほとんどが載っています。車両番号、車台番号、車種、初度登録、車両総重量、最大積載量、所有者と使用者、そして車検の満了日です。

2つ目に、表計算で1台1行の表を作り、車検証から転記します。台数が20台あっても、半日あれば終わります。

3つ目に、車検以外の期限を足します。自賠責は車検と同じ時期になることが多いので、任意保険とリースの満了日を保険証券と契約書から拾います。ここがいちばん散らばっているので、時間がかかります。

車検証から始める1集める車検証を全部そろえる2写す1台1行の表にする3足す保険とリースの満了日
車検証から始めて期限を足していく3段のフロー

4つ目に、期限の近い順に並べ替えてみます。ここで、切れかかっているものが見つかることがよくあります。作った初日にいちばん価値が出るのが、この瞬間です。

そのあとで、走行距離や整備の履歴を足していきます。最初から全部を埋めようとすると、完成しないまま終わります。期限だけの表でも、無いよりはるかに役に立ちます。

台帳から次の手配につなぐ

期限を見つけたあと、実際の手配までが途切れる会社があります。表を見て「来月車検だ」と気づいたのに、予約を取り忘れる形です。

つなぐには、台帳に状態の列を作ります。空欄、手配中、予約済み、完了の4つで足ります。月初に見たときに空欄のものだけを拾えばよくなります。

状態の列があると、誰が見ても途中経過が分かります。担当者が休んでも、別の人が引き継げます。期限だけの表は、担当者の頭の中を前提にしています。

状態の列は、色を付けたくなりますが、文字だけで足ります。色は印刷すると消え、人によって意味の取り方も変わります。文字で書いてあれば、誰が見ても同じ意味になります。

もう1つが、車検と定期点検をまとめて手配することです。時期が近いことが多いので、1回の入庫でまとめられれば、車が止まる時間が減ります。台帳で両方の期限が並んで見えていれば、その判断ができます。

完了したら、次回の予定日を入れます。車検なら2年後、点検なら周期に応じた日付です。完了を記録した瞬間に次を入れるようにしておくと、表が常に先を向いた状態になります。ここを後回しにすると、完了した行が空欄のまま残り、次の期限に気づけなくなります。

台帳を共有する形にする

最後に、台帳をどこに置くかの話です。作った人のパソコンの中にあると、その人が休んだ日に止まります。

置き方は2つです。1つ目が、社内で共有できる場所にファイルを置くことです。誰でも開けて、更新した人が分かる形にしておきます。2つ目が、印刷して事務所に貼っておくことです。紙のほうが見られるという職場は実際にあります。

どちらでもよいのですが、更新したものが1つだけであることが大事です。ファイルと紙の両方を運用すると、必ず片方が古くなります。紙を貼るなら、更新した日を大きく書いておき、古い紙は必ず外します。

更新する人も決めておきます。誰でも直せる形にすると、いつの間にか内容が変わっていて、経緯が分からなくなることがあります。直す人を1人か2人に決めて、ほかの人は見るだけ、という形が安定します。

見る人を増やしておくのも有効です。期限に気づくのは1人でなくて構いません。車を使う人が表を見られる状態なら、「来月車検じゃないですか」と言ってもらえます。

台帳は、作るより続けるほうが難しい書類です。続けるこつは、項目を欲張らないことと、見る日を決めることの2つに尽きます。期限の5つだけが入った表でも、月に1回見られていれば十分に働きます。

台数が変わったときに連動させる

車両管理台帳を持っていると、台数が絡む別の手続きにも使えます。ここを連動させておくと、選任の漏れが防げます。

台数で決まるものが3つあります。運行管理者の人数(事業用自動車30台ごと)、安全運転管理者の選任(白ナンバー5台以上など)、整備管理者の選任(5台以上など)です。どれも台数が境目なので、車が増減した瞬間に影響が出ます。

台帳に、この3つの判定を出す行を作っておきます。緑ナンバーの台数、白ナンバーの台数、そこから計算される必要人数。車を1行足した時点で数字が変わるので、気づかないうちに基準を超えることがなくなります。

この行は、いちど作れば以後は自動で出ます。台数を数え直す作業が要らなくなるのが、いちばん大きいところです。

手放したときも同じです。台数が減って副安全運転管理者が不要になることもあります。不要になったこと自体は問題になりませんが、届出の内容と実態がずれたままになるのは避けたいところです。

車を買う稟議のときに、台帳の判定を添える運用にしている会社もあります。1台増やすと管理者が1人要る、と分かっていれば、費用の見積もりに入れられます。車の費用だけで判断すると、あとから人の手当てが必要になって驚くことになります。

まとめ

車両管理台帳は、車ごとの情報と期限をまとめて、切らさないようにするための一覧です。法令で様式が決まっている書類ではないので、自社に必要な欄を選んで作れます。

まず手を付けるなら、車検、定期点検、自賠責、任意保険、リースの5つの期限を1つの表に集めて、期限の近い順に並べ替えられる形にするところからです。次に、月初に2か月先まで見る日を決めると、期限切れがほぼ無くなります。

なお、点検の周期や記録の保存については、事業の種類や車両の大きさによって決まりが変わります。最終的な判断は、所轄の運輸支局にご確認ください。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

車両の点検表や点検記録の様式は、点検板に業務別にそろっています。台帳と組み合わせて使うと、期限と記録の両方が回ります。

点検板で様式をさがす

車両管理台帳は、法令で作ることを求められていないぶん、作らなくても叱られません。だからこそ、後回しになったまま何年も過ぎます。

ただ、期限を1つ切らすと、その車は走れなくなります。車が1台止まる損失と、表を作る半日を比べると、答えははっきりしています。義務ではないが、止まってから作るのでは遅い書類です。

よくある質問

車両管理台帳は法律で作ることが義務づけられていますか。

様式まで決められた義務の書類ではないとされています。ただし、車両の状態や期限を把握しておくことは求められるため、その手段として作られているのが一般的です。

車両管理台帳と運転者台帳は分けるのですか。

分けます。車両管理台帳は車ごと、運転者台帳は人ごとの書類で、保存の考え方も違います。運転者台帳には運転者でなくなった日から3年という保存期間がありますが、車両管理台帳にはそうした定めがありません。

車検証のコピーを集めておけば代わりになりますか。

情報としては入っていますが、期限の近い順に並べ替えられません。台帳の価値は並べ替えられるところにあるので、一覧の形で持っておくほうが実務では使えます。

エクセルで作ってもよいですか。

様式が決まっていないので、作り方も自由です。並べ替えが必要なので、表計算で作っている会社が多くあります。

何台くらいから作ったほうがよいですか。

台数で決まる話ではありませんが、5台を超えたあたりから記憶では回らなくなります。白ナンバーの場合、5台は安全運転管理者の選任が要る台数とも重なります。

手放した車の行は消してよいですか。

消さずに残して、抹消した日を書き込んでおくのが安全です。過去にどの車を使っていたかを聞かれる場面があります。

リース車も載せるのですか。

載せます。所有者と使用者が別になるので、その欄を分けておくと、手続きのときに迷いません。リースの満了日も期限の1つとして管理します。