点呼記録簿の保存期間は1年|起算日と保存方法
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点呼記録簿の保存期間を調べる人は、たいてい2つの場面のどちらかにいます。1つは巡回指導や監査の連絡が来て、手元にどこまで残っているかを確かめたい場面。もう1つは、事務所の棚が埋まってきて、どこから捨ててよいかを知りたい場面です。
この記事では、点呼記録簿の保存期間が何年とされているのか、いつから数えるのか、どう保管すれば取り出せるのかを整理します。捨てるほうの判断まで書くので、棚を空けたい場合もそのまま使えます。
結論:点呼記録簿の保存期間は1年。数えるのは点呼を行った日から
点呼記録簿の保存期間は、一般に1年間とされています。根拠は貨物自動車運送事業輸送安全規則で、旅客側でも旅客自動車運送事業運輸規則により同じく1年間とされています。貨物と旅客で年数が変わらないので、両方をやっている会社でも1本の運用で回せます。
数え方のほうが間違えやすいところです。起算日は点呼を行った日で、用紙を綴じた日でも、年度の終わりでもありません。3月に行った点呼の記録は、翌年の3月まで持っていることになります。
ポイントはここです。1年というのは「捨ててよくなるまでの最短」であって、「1年で捨てなければならない」という意味ではありません。事故の調査や労務の確認で過去にさかのぼることを考えると、1年で機械的に捨てる運用はかえって危ない場面があります。あとで触れます。
起算日を間違えると1か月ずれる
保存期間の計算でいちばんよくあるのが、月の途中の扱いです。4月15日に行った点呼の記録を、翌年の4月1日に捨ててよいかというと、そうはなりません。
一般には、点呼を行った日から1年なので、翌年の4月15日までは持っていることになります。1冊に1か月ぶんを綴じている会社なら、その冊の中でいちばん新しい日付を基準にするのが安全です。4月分の冊なら4月30日から数えて、翌年の5月に外す形になります。
年度で区切って管理している会社は、ここでずれます。年度末にまとめて外す運用だと、3月の記録が11か月しか残っていない状態になりかねません。年度の管理と保存期間の管理は別物だと切り分けておくと、この事故は起きなくなります。
「1年」は誰に対しての1年なのか
保存期間の話をするとき、1年という数字だけが独り歩きします。誰に対して、何のために持っているのかを押さえておくと、判断に迷わなくなります。
点呼記録簿を見るのは、大きく3者です。1つ目が、適正化事業実施機関の巡回指導です。2年から3年に1度の周期で回ってきて、書類がそろっているか、記載に漏れが無いかを見ます。2つ目が、運輸支局などの監査です。事故や通報をきっかけに入ることが多く、こちらは指摘が処分につながります。3つ目が、事故が起きたあとの調査や裁判です。
このうち3つ目だけ、1年では足りないことがあります。事故から請求や訴えが起きるまでに時間がかかることがあり、そのとき「あの日の点呼はどうだったのか」が争点になります。1年きっかりで外していると、いちばん必要な場面で手元に無い、ということが起こります。
だから、1年という数字は「行政に対しての最低ライン」だと考えておくのが実務的です。行政向けには1年で足りますが、自社を守るためには別の考え方が要る、という整理になります。
保存期間が1年の書類、3年の書類、もっと長い書類
点呼記録簿だけを見ていると1年で覚えてしまいますが、運送業には年数の違う書類が並んでいます。まとめて扱おうとして事故が起きるのはここです。
1年とされているものには、点呼記録簿のほか、乗務記録(運転日報)、運行記録計の記録、運行指示書、事故の記録とは別の日常の記録などがあります。3年とされているものには、運転者でなくなった人の運転者台帳、事故の記録などがあります。選任している間ずっと持つもの、という区分もあります。
同じ棚に入っているのに年数が違うというのが、この分野のいちばん厄介なところです。まとめて1年で外すと、3年のものまで一緒に消えます。書類の種類ごとに保存期間を並べたものは、運送業の書類の保存期間一覧にまとめました。
1年で捨ててよいのか、もう少し持つのか
ここは判断が分かれるところなので、両方の考え方を書きます。
1年で外す利点は、置き場所が増えないことです。運転者が30人いる営業所だと、点呼記録簿は1年でかなりの厚さになります。場所のコストは実際にかかっているので、法令どおりに外していくのは合理的な判断です。
一方で、もう少し持っておくと助かる場面があります。1つ目が、事故や労務のトラブルで過去にさかのぼるときです。訴えが起きるのは事故から時間が経ってからのことが多く、そのとき1年より前の記録が要ることがあります。2つ目が、労働時間の確認です。労働に関する重要な書類は別の法律で長く保存することとされており、点呼記録簿がその裏付けになる場面があります。
判断の目安としては、場所に余裕があるなら3年、無いなら1年で外して、事故があった月だけ抜いて別に保管するという形が扱いやすくなります。全部を長く持つか全部を短く持つかの二択にしないのが、現実的なところです。
事故があった月だけ抜いておく
前の節で「事故があった月だけ抜いて別に保管する」と書きました。これが実際にいちばん費用対効果の高いやり方なので、もう少し具体的に書きます。
やることは簡単です。事故や大きなトラブルが起きたら、その運転者・その車両に関係する書類を、その時点で複写して別のファイルに入れます。点呼記録簿、運転日報、運行記録計の記録、点検記録、運転者台帳。事故の前後1か月ぶんあれば、たいていの場面で足ります。
この方法の良いところは、量が増えないことです。全部を3年持つと棚が3倍になりますが、事故は毎日起きるわけではないので、抜き出すぶんはごくわずかで済みます。それでいて、いちばん必要になる可能性が高い記録だけが手元に残ります。
抜き出したファイルには、いつ何があったかを1枚目に書いておきます。数年経ってから開いたときに、何のファイルなのかが分からないと意味がありません。あわせて、このファイルは1年で外さないことを、誰が見ても分かる形にしておきます。
紙で保管するときの並べ方
保存期間を守っていても、探せなければ意味がありません。監査で求められたときに、その場で出せるかどうかがすべてです。
一般には、営業所ごと、月ごとに綴じる形が取られています。この2つの軸だけ守っておけば、日付を言われたときに1回で出せます。運転者ごとに分ける形は、探すときに全員ぶんをめくることになるので、監査の場では時間がかかります。
背表紙に書くのは3つです。営業所名、年月、そして外してよくなる年月。3つ目を書いておくのがこつで、棚を見ただけで整理できる状態になります。「2026年4月分・2027年5月以降処分可」と書いてあれば、判断に迷いません。
置き場所は、営業所内にしておくのが原則とされています。倉庫や別の事務所にまとめている会社もありますが、その場で出せない状態は、持っていないのと近い扱いになりかねません。
電子で保管するときに追加で要ること
点呼記録簿をデータで残す会社が増えています。保存の方法について特定の形が決められているわけではないとされていますが、紙のときには不要だった手当てが要ります。
1つ目が、後から書き換えられない状態にすることです。表計算のファイルに入れているだけだと、過去の行を直せてしまいます。月が締まったら別の形式にして保管する、書き込みできない場所に移す、といった運用にしておきます。
2つ目が、控えを別の場所に持つことです。パソコン1台の中だけに置いていると、その1台が壊れた時点で全部が消えます。紙は火事でなければ残りますが、データは違います。
3つ目が、求められたときに出せる形にしておくことです。専用のシステムに入れている場合、契約が切れると中のデータを取り出せなくなることがあります。契約が終わった後にどうやって出すのかを、契約する前に確かめておくのが安全です。
保存期間について指摘を受けたときの直し方
すでに1年より前の記録が無い、という状態に気づいた場合の話です。過去は戻せないので、やることは2つに分かれます。
1つ目が、今ある分をそろえることです。どこからどこまでが残っているのかを、月単位で一覧にします。抜けている月が分かる形にしておくと、説明が早く終わります。
2つ目が、同じことが起きない形に運用を変えることです。原因はたいてい、外す判断を人の記憶でやっていることにあります。背表紙に処分可の年月を書く、月初に前年の同じ月を外す、といった決まった動きに変えると、担当者が変わっても続きます。
「今後は気をつけます」で終わらせないのが、この種の指摘を二度受けないこつです。何をいつ誰がやるかまで決めて、それを記録に残しておきます。
棚から外すときの手順
保存期間が過ぎた記録を外すときの話です。ここも決まった動きにしておくと、外しすぎや外し忘れが起きません。
1つ目に、外す候補を月単位で拾います。背表紙に処分可の年月を書いてあれば、棚を見るだけで済みます。書いていない場合は、冊の中のいちばん新しい日付を見て判断します。
2つ目に、抜いて別にしてあるものが混ざっていないかを確かめます。事故のあった月の記録が、通常の綴りの側にも残っていることがあります。片方だけ残っていれば問題ありませんが、両方外してしまうと戻せません。
3つ目に、処分の方法を決めておきます。点呼記録簿には運転者の氏名が入っており、個人情報にあたります。そのまま資源ごみに出す形は避けて、溶かすか細かく裁断するかの処理をします。外部に委託する場合は、処理が終わったことの証明を受け取っておくと、あとで説明が要るときに使えます。
4つ目に、何をいつ外したかを1行残します。「2027年5月8日 2026年4月分 点呼記録簿 処分」で十分です。この1行があるだけで、「もともと無い」のか「期間が過ぎて外した」のかが区別できます。
保管の場所をどう確保するか
保存期間の話は、最後は置き場所の話になります。ここを解かないと、決まりは守れません。
まず、実際にどれだけの量になるかを見積もります。運転者20人で1日2回の点呼なら、1年で約14,600行。A4の用紙に1日1枚ずつ綴じる形なら、365枚が1年ぶんです。営業所が3つあれば、その3倍になります。
見積もってみると、思っていたより場所を取らないことが分かる場合もあります。「置き場所が無い」と感じている原因が、点呼記録簿ではなく別の書類だった、ということは少なくありません。まず量を数えるのが、判断の出発点になります。
置き場所を減らす手は3つあります。1つ目が、両面に印刷して綴じることです。単純ですが、量は半分になります。2つ目が、月ごとに薄いファイルにまとめて、年ごとに箱へ移すことです。手の届く棚には直近の数か月だけを置きます。
3つ目が、電子に移すことです。場所の問題は根本的に解決しますが、前の節で書いた手当てが要ります。場所が足りないという理由だけで急いで移すと、書き換えや消失の手当てが後回しになります。
いちばん現実的なのが、2つ目です。直近3か月を手元に、それ以前を箱へ、という2段にするだけで、事務所の見た目と探しやすさが大きく変わります。監査で求められるのはたいてい直近なので、手元にあるべきものが手元にあれば困りません。
まとめ
点呼記録簿の保存期間は1年とされており、数え始めるのは点呼を行った日です。年度や綴じた日ではないので、月ごとに綴じて、冊の中のいちばん新しい日付から数えるのが安全です。
まず手を付けるなら、いま棚にある冊の背表紙に、外してよくなる年月を書き足すところからです。これだけで、誰が見ても判断できる状態になります。次に、点呼記録簿以外の書類と年数が違うことを確かめておくと、まとめて捨てる事故が防げます。
なお、ここに書いた内容は一般的な形です。自社にどこまで求められるかは、事業の種類や過去の指摘の内容によって変わります。最終的な判断は、所轄の運輸支局にご確認ください。
保存の話は地味ですが、いざ求められたときに手元にあるかどうかで結果が変わります。棚を整える作業は、忙しい時期には後回しになりがちなので、月に1回の決まった日を作っておくのがいちばん確実です。
外した記録は戻せません。迷ったら、外さずにもう1年置いておくほうが安全側です。場所の負担より、必要なときに無いことの負担のほうが大きくなります。
よくある質問
点呼記録簿の保存期間は1年で合っていますか。
一般には1年間とされています。貨物側は貨物自動車運送事業輸送安全規則、旅客側は旅客自動車運送事業運輸規則が根拠とされており、どちらも1年です。
1年を過ぎたら捨てなければいけませんか。
捨てなければならないという決まりがあるわけではありません。1年は「持っていなければならない最短の期間」なので、それより長く持つことは問題になりません。
保存期間の起算日はいつですか。
点呼を行った日とされています。綴じた日や年度末ではないので、月の途中の日付でも、その日から1年で数えます。
電子データで保存してもよいですか。
保存の方法について特定の形が決められているわけではないとされており、データでの保存も行われています。ただし、後から書き換えられない状態にすることと、控えを別の場所に持つことが実務上は必要になります。
営業所を統合したら、前の営業所の記録はどうなりますか。
保存期間が終わるまでは持っておくことになります。統合先の営業所で、元の営業所ごとに分けて保管するのが一般的です。まとめて1つの綴りにすると、どの営業所の記録なのかが追えなくなります。
保存期間中に事業を廃止した場合、記録はどうすればよいですか。
事業を廃止した場合も、保存期間が終わるまでは持っておくのが原則的な扱いになります。個人情報が含まれるため、保管する人と場所を決めておきます。扱いに迷う場合は、所轄の運輸支局に確かめておくのが確実です。
点呼記録簿が無い日があると、どうなりますか。
運行があったのに記録が無い状態は、点呼をしていないものとして扱われることがあります。気づいた時点で、その日に何があったのかを確かめ、今後の運用を変える形で対応するのが現実的です。あとから遡って書き足すのは、かえって信用を落とします。