運転日報とは?白ナンバーと緑ナンバーの違い
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運転日報について調べると、記事によって書いてあることが微妙に違います。「保存は1年」と書いてある記事の隣に「走行距離は必須」と書いてある記事があり、自社の用紙にはどちらの欄も無い。こうなると、どれが自分の話なのか分からなくなります。
食い違っているように見えるのは、運転日報という1つの言葉が、根拠の違う2つの制度をまたいでいるからです。この記事では、まずそこを分けたうえで、それぞれ何を書くのか、いつまで持つのかを整理します。自社がどちらなのかが分かれば、迷いはほぼ消えます。
結論:運転日報は「白ナンバーの日報」と「緑ナンバーの乗務記録」の2つを指している
運転日報とは、運転者が誰の車で、いつからいつまで、どこを走ったかを記録しておく書類のことです。ここまでは共通ですが、根拠になっている法律が2つに分かれています。
1つ目が、白ナンバーの社用車についてのものです。道路交通法にもとづき、安全運転管理者を選任している事業所で、運転日報を作らせて残すこととされています。営業車、送迎車、自社の荷物を運ぶトラックなどが該当します。
2つ目が、緑ナンバーの事業用自動車についてのものです。こちらは貨物自動車運送事業輸送安全規則にもとづくもので、条文上の名前は乗務記録です。他人の荷物を運んで運賃をもらう運送事業が対象になります。
ポイントはここです。どちらも現場では「日報」と呼ばれますが、書く項目も、届出先も、見に来る人も違います。自社がどちらなのかを先に決めないと、必要のない欄を作ったり、必要な欄を落としたりします。
自社がどちらなのかを見分ける
見分け方は簡単です。ナンバープレートの色を見ます。緑地に白い文字(軽自動車は黒地に黄色い文字)なら事業用、白地に緑の文字(軽自動車は黄地に黒い文字)なら自家用です。
ただし、1つの会社に両方あることがよくあります。運送会社が営業用の乗用車を持っている形、建設会社が自社の資材を運ぶトラックと営業車を持っている形などです。このときは、車ごとにどちらのルールが当たるかが変わります。
両方ある会社では、用紙を分けておくのが安全です。1枚の様式にまとめると、緑ナンバー側で必要な欄が白ナンバーの車で空欄のまま並び、逆に見えにくくなります。分けるのが面倒なら、少なくとも「この用紙はどちらの車用か」を用紙の上に書いておきます。
白ナンバーの運転日報に書くこと
安全運転管理者を選任している事業所では、運転者に運転日報を記録させることとされています。書く内容は、一般に次のものとされています。
運転者の氏名、運転の開始と終了の日時、運転した距離、そのほか運転の状況を把握するために必要な事項。項目数は多くありません。
「そのほか必要な事項」が幅を持っているところなので、実務では次のものを足している会社が多くあります。使った車両の番号、行き先、目的、出発時と帰着時の走行距離計の数字、給油の記録。走行距離は、計の数字を2つ書いて差を取る形にしておくと、書き間違いに気づきやすくなります。
あわせて、運転前後の酒気帯びの確認の記録が必要になります。これは日報とは別の用紙にしている会社もあれば、日報の欄に組み込んでいる会社もあります。どちらでも構いませんが、同じ用紙にすると、書き忘れが一目で分かるという利点があります。安全運転管理者そのものについては、安全運転管理者の選任で説明しています。
緑ナンバーの乗務記録に書くこと
緑ナンバーの側は、書く項目がもう少し細かくなります。運送事業として人や荷物を運んでいるので、どこで何を積んで降ろしたかまでが対象になるからです。
一般には、運転者の氏名、使った事業用自動車の登録番号など、業務の開始と終了の地点と日時、主な経過地点と出発・到着の日時、業務した距離、交替があった場合の場所と日時が求められるとされています。
実際に使える様式が必要な方へ
点呼記録簿や運転日報の様式そのものを探している場合は、商い屋に運送業向けのExcelがそろっています。この記事は書き方と制度の側です。
商い屋で様式をさがすさらに、一定の大きさ以上の車については、荷主の都合で待たされた時間や、荷物の積み下ろしにかかった時間を記録することとされています。これがいわゆる荷待ち時間の記録で、近年いちばん動いている部分になります。詳しくは荷待ち時間の記録で分けて書きました。
白ナンバーの日報のつもりで緑ナンバーの用紙を作ると、経過地点と荷待ちの欄が丸ごと抜けます。ここが、2つを混ぜたときにいちばん大きく出る差です。
緑ナンバーで追加される「荷待ち」の欄
緑ナンバー側でもう1つ、近年になって重みが増したのが荷待ち時間の記録です。ここは白ナンバー側には無い欄なので、様式を使い回すと必ず落ちます。
一般には、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の車について、荷主の都合で30分以上待たされた場合に、その待機の時間を乗務記録に書くこととされています。書くのは、待機した場所、到着した日時、作業を始めた日時、終わった日時です。
この欄は、書く側にとっては面倒ですが、会社にとっては武器になります。待たされている実態が数字で残っていなければ、荷主と時間の話をすることができません。待機料の交渉も、記録が無ければ始まりません。詳しくは荷待ち時間の記録で分けて書きました。
対象にならない小さい車でも、欄そのものは残しておいて構いません。使わない日は空欄になるだけで、車が入れ替わったときに様式を作り直さずに済みます。
保存期間はどちらも1年
保存の年数については、白ナンバー側も緑ナンバー側も1年とされています。ここは同じなので、覚えやすい部分です。
数え方も同じで、記録した日から1年になります。年度末でも、綴じた日でもありません。月ごとに綴じて、冊の中のいちばん新しい日付から数える形にしておくと、外す判断で迷いません。
ただし、労働時間の確認という別の目的で見られることがあります。労働に関する重要な書類については、別の法律でより長く保存することとされており、日報がその裏付けになる場面があります。1年で機械的に捨てる運用にする前に、労務の側で困らないかを確かめておくと安全です。書類ごとの年数は運送業の書類の保存期間一覧にまとめています。
用紙を分けるか、1枚にまとめるか
白と緑の両方がある会社で、必ず出てくる判断です。結論から言うと、台数と運用で決まります。
1枚にまとめる利点は、管理する用紙が1種類で済むことです。小さい会社ではこれが効きます。すべての項目を載せた用紙を作り、白ナンバーの車では緑ナンバー用の欄が空欄になる形にします。
分ける利点は、書く人が迷わないことです。緑ナンバー用の欄が10個並んでいる用紙を白ナンバーの営業車の運転者に渡すと、「これは書かなくていいのか」と毎回聞かれます。空欄が多い用紙は、書き忘れなのか対象外なのかが見分けられません。
用紙を分けると、集計のときに手間が減るという副次的な効果もあります。緑ナンバー側は拘束時間の集計に使い、白ナンバー側は車の使用状況の把握に使う、というように用途が違うからです。1枚に混ざっていると、集計のたびに仕分けることになります。
判断の目安としては、緑ナンバーの車が5台を超えたら分けるのが扱いやすくなります。それ以下なら1枚で回せます。分けるときは、用紙の上に「事業用(緑ナンバー)」「自家用(白ナンバー)」と大きく書いておくと、取り違えが起きません。
どちらにしても、車両番号の欄は必ず入れておきます。どの車の記録かが分かれば、あとから白か緑かをたどれます。
日報が形だけになっているときの直し方
運転日報がいちばん形骸化しやすいのは、走行距離の欄です。毎日同じ数字が並んでいたり、きりのよい数字ばかりだったりする用紙は珍しくありません。
原因は、書く場面が決まっていないことにあります。帰ってきてから思い出して書くと、記憶で埋めることになります。直すなら、距離計の数字を出るときと帰るときに見る形にします。書く場所が車内にあれば、その場で書けます。
2つ目に多いのが、行き先の欄が「配送」「営業」で埋まっているものです。これだと運行の実態が分かりません。地名を1つ入れるだけで、後から読んだときの意味がまったく変わります。
3つ目が、休憩の記録が入っていないものです。改善基準告示では連続運転の時間に決まりがあるとされており、休憩がどこで入ったかが分からないと、その確認ができません。労働時間の確認は日報から行われることが多いので、ここが空いていると、別の場面で困ります。
日報と他の書類を突き合わせる
運転日報は単独では使われません。同じ運行について、複数の書類に同じ数字が出てきます。
点呼記録簿とは、運転者名、車両番号、日付、出庫と帰庫の時刻が重なります。運行記録計を付けている車では、走った時間と距離が重なります。運行指示書を作る運行では、経路と日時が重なります。
突き合わせて矛盾が出る書類は、内容の良し悪しより先に見られます。点呼の時刻が出庫時刻より後になっている、運行記録計の走行時間と日報の時間が2時間違う。こうした食い違いは、読んだ人がまず気づくところです。
直すこつは、同じ数字を2回書かせないことです。出庫時刻を点呼記録簿と日報の両方に手で書かせると、必ずずれます。片方から写す運用にするか、1枚にまとめるかのどちらかにしておくと、ずれる余地が無くなります。
日報を集めたあと、何を見るか
日報は、集めて綴じるだけだと保管の手間しか残りません。月に1度、見る項目を決めておくと、書いてもらう意味が現場にも伝わります。
見る項目は3つで足ります。1つ目が、拘束時間です。出庫から帰庫までの時間を運転者ごとに足すと、月の拘束時間が出ます。基準に近づいている人がいれば、翌月の運行を組むときに手を打てます。
2つ目が、走行距離の推移です。同じ路線なのに距離が大きくぶれている場合、う回しているか、記録が正しくないかのどちらかです。どちらであっても、確かめる価値があります。
3つ目が、休憩の入り方です。連続運転の時間に決まりがあるとされているので、休憩がどこで入っているかを見ます。特定の路線でだけ休憩が入っていないなら、その路線の組み方に無理があります。
この3つを見て、気づいたことを1行でも運転者に返すと、日報の質が上がります。書いたものが誰にも読まれていないと分かった時点で、記録は形だけになっていきます。読んでいることが伝わるのが、いちばん効く対策です。
白ナンバーだけの会社が最初にやること
運送業ではないが社用車がある、という会社向けにまとめておきます。ここまで読んで、自社にどこから手を付けるか迷う場合の話です。
順番は3つです。1つ目が、事業所ごとに車が何台あるかを数えることです。安全運転管理者の選任が要るかどうかがここで決まります。二輪車は0.5台、原付は数えないという点に注意します。
2つ目が、選任が必要なら人を決めて届け出ることです。実務経験2年という要件があるので、候補がいなければ時間がかかります。
3つ目が、日報と酒気帯びの記録を始めることです。選任の届出だけ出して実務が動いていない状態が、いちばんよくない形になります。届出は書類ですが、日報と確認は毎日の動きなので、こちらのほうが定着に時間がかかります。
この3つのうち、いちばん時間がかかるのは3つ目です。毎日の習慣を作る話なので、書類を整えるより長くかかります。先に始めておいて、選任の届出と並行させるくらいでちょうど良いところです。
用紙は凝らなくて構いません。運転者名、日付、出発と帰着の時刻、走行距離、行き先、酒気帯びの確認。この6つが並んだ1枚があれば始められます。足りない欄は、運用しながら足していくほうが、現場に定着します。
まとめ
運転日報という言葉は、白ナンバーの日報と、緑ナンバーの乗務記録という、根拠の違う2つを指しています。保存期間はどちらも1年ですが、書く項目は緑ナンバー側のほうが細かく、経過地点や荷待ち時間の欄が加わります。
まず手を付けるなら、自社の車が白か緑かを確かめて、用紙がそれに合っているかを見るところからです。両方ある会社は、用紙を分けるか、どちらの車用かを用紙の上に書いておきます。次に、走行距離を距離計の数字2つで書く形に変えると、日報全体の精度が上がります。
なお、ここに書いたのは一般的な形です。自社の車に何が求められるかは、事業の種類や車両の大きさによって変わります。最終的な判断は、所轄の運輸支局、白ナンバーについては所轄の警察署にご確認ください。
実際に使える様式が必要な方へ
運転日報や点呼記録簿のExcel様式は、商い屋の運送業向けのページにそろっています。白ナンバー用と緑ナンバー用を分けて作り直すときの下敷きにも使えます。
商い屋で様式をさがすよくある質問
運転日報は法律で義務づけられていますか。
白ナンバーで安全運転管理者を選任している事業所では道路交通法にもとづき、緑ナンバーの運送事業では貨物自動車運送事業輸送安全規則にもとづき、それぞれ記録することとされています。根拠が別なので、自社がどちらかで内容が変わります。
運転日報の保存期間は何年ですか。
一般にはどちらも1年間とされています。数えるのは記録した日からです。
社用車が3台しかありません。それでも日報は必要ですか。
安全運転管理者の選任が必要になる台数に達していない場合、道路交通法にもとづく義務としての日報は発生しないことになります。ただし、車の使用状況を把握する目的で任意に付けている会社は多くあります。台数の数え方は安全運転管理者の選任で説明しています。
アプリで記録してもよいですか。
記録の方法について特定の形が決められているわけではないとされており、アプリや車載機での記録も行われています。必要な項目がそろっていること、1年間取り出せる状態にあることを確かめておきます。
走行距離は必ず書くのですか。
白ナンバー側でも緑ナンバー側でも、走った距離は記録する項目に含まれるとされています。距離計の数字を出発時と帰着時の2つ書く形にしておくと、差で出せるので手間が増えません。
運転日報と乗務記録は、1枚にまとめてよいですか。
項目がすべて満たされていれば、1枚にまとめること自体は問題になりません。ただし、緑ナンバー側で必要な経過地点や荷待ちの欄が、白ナンバーの車では空欄で並ぶことになります。見にくくなるので、台数が多い会社では分けたほうが実務は回ります。