選任と体制手続き2026.09.16 公開KA-01

運行管理者の選任|必要な人数と選任届の出し方

目次

運行管理者は、車両が増えたときに真っ先に足りなくなる立場です。台数が基準を超えているのに1人のまま、という状態は珍しくありません。しかも基準を超えたことに気づくきっかけが無いため、監査で指摘されて初めて分かる形になりがちです。

この記事では、運行管理者が何をする立場なのか、何人必要とされているのか、そして選任届をどこにいつ出すのかを整理します。数え方でつまずくところが決まっているので、そこを先に押さえます。

運行管理者の中心的な業務が点呼です。点呼そのものから確かめたい方はこちらが早いです。→ 点呼とは

結論:運行管理者は「事業用自動車を安全に走らせる責任を持つ人」

運行管理者とは、営業所ごとに選任して、点呼、運行の指示、運転者の指導と監督、休憩や睡眠の施設の管理などを行う立場のことです。運転者を守る側の立場で、会社の指示と現場の安全がぶつかったときに、安全の側から止められる人でもあります。

ポイントはここです。運行管理者は名前だけ置けばよい役ではありません。点呼を行うのは運行管理者の業務とされているので、実際に営業所にいて手を動かせる人でなければ成立しません。他の営業所と兼任させる形は、基本的に取れないと考えておきます。

一般には、貨物自動車運送事業法にもとづいて選任することとされています。旅客側にも同じ仕組みがあり、根拠になる法律が別になります。

運行管理者の主な業務点呼運行の指示指導と監督休憩・睡眠の施運行管理者
運行管理者の主な業務を、点呼・指示・指導・施設の4つに分けた関係の図

何人必要なのかは台数で決まる

運行管理者の人数は、その営業所が使っている事業用自動車の数で決まります。ここが最初の確認です。

一般には、被けん引車を除いた事業用自動車の数を30で割り、その数に1を足した数以上とされています。29台までなら1人、30台から59台なら2人、60台から89台なら3人、という数え方になります。

台数から人数を出す事業用の台数必要な人数段差29台まで1人30台〜59台2人30台で増える60台〜89台3人60台で増える
台数ごとに必要な運行管理者の人数を並べた表

30台ちょうどで2人になるので、ここが最初の段差です。29台で回していた営業所が1台増やした瞬間に、もう1人必要になります。車を増やす計画があるときは、人の手当ても一緒に考えておかないと、納車されてから慌てることになります。

数えるのは営業所ごとです。会社全体で30台あっても、15台ずつ2つの営業所に分かれているなら、それぞれ1人で足ります。逆に、1つの営業所に集めていると2人必要になります。どこに車を置くかが、必要な人数を変えます。

被けん引車、つまりトレーラーの後ろの部分は数に入れないとされています。トラクタとトレーラーの組み合わせで運用している会社では、ここを入れて数えると実際より多く見積もることになります。

営業所をどう分けるかで人数が変わる

前の段で「どこに車を置くかが必要な人数を変える」と書きました。これは実務上、かなり大きな判断になります。

営業所を分けると、必要な運行管理者の数は減る方向に働きます。30台を1か所に置けば2人ですが、15台ずつ2か所なら1人ずつで足ります。ただし、それぞれの営業所に点呼のできる人が常にいる必要があるので、実際には楽になりません。休みや夜間を考えると、1営業所あたり複数人の体制が要ります。

逆に1か所に集めると、必要な人数は増えますが、体制は組みやすくなります。運行管理者と補助者を集めて交替で回せるからです。

人数の計算だけで判断しないのが要点です。車をどこに置くかは、荷主との距離、車庫の費用、運転者の通勤といった別の要素でも決まります。運行管理者の人数は、その判断の材料の1つとして見ておきます。

資格をどう取るか

運行管理者になるには、資格者証が必要とされています。取り方は2つあります。

1つ目が、運行管理者試験に合格する方法です。年に2回行われており、受験するには基礎講習を受けているか、一定の実務経験があることが求められるとされています。

2つ目が、実務経験と講習で取る方法です。事業用自動車の運行管理に関して一定年数の実務経験があり、その間に所定の回数の講習を受けている場合に、申請によって資格者証の交付を受けられる形があるとされています。

資格を取る2つの道試験に合格年2回基礎講習か実務経験が要る急ぐならこちら実務経験と講習一定年数の実務所定の回数の講習年数がかかる
試験で取る道と実務経験で取る道を並べた比較の図

判断の目安としては、人を増やす予定があるなら試験のほうが早いことが多くなります。実務経験の道は年数がかかるため、今すぐ足りない状況には間に合いません。逆に、長く勤めている人がいるなら、経験の道で取れることがあります。

資格を持っている人が複数いる状態にしておくと、休みや退職のときに困りません。選任している人が1人だけだと、その人が辞めた日に選任が空きます。選任の空白は指摘の対象になるので、余裕を持たせておくのが実務的です。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

点呼記録簿や運転者台帳のExcel様式は、商い屋の運送業向けのページにそろっています。この記事は選任の手続きの側です。

商い屋で様式をさがす

選任届はどこにいつ出すのか

運行管理者を選任したら、届出が必要とされています。ここで期限を外すことがあるので、押さえておきます。

一般には、選任または解任した日から15日以内に、営業所の所在地を管轄する運輸支局へ届け出ることとされています。15日は短いので、選任を決めた時点で書類の準備を始めておきます。

出す書類は、運行管理者選任届出書と、資格者証の写しなどとされています。様式は運輸支局や地方運輸局のサイトで配られているので、最新のものを使います。

選任から届出まで15日選任した日ここから数える書類をそろえる届出書と資格者証の写15日以内運輸支局へ届け出る解任のときも届出が要る。人が変わるときは1組で処理する
選任を決めてから届出までの15日の流れを示した時系列の図

解任のときも届出が要るという点が、忘れられやすいところです。運行管理者が辞めたのに解任の届出をしていないと、書類の上ではまだ選任されていることになります。人が入れ替わるときは、解任と選任を1組で処理する形にしておきます。

補助者を置いている場合、補助者そのものの届出は求められない形が一般的ですが、誰を補助者にしているかは営業所で分かるようにしておきます。名簿にしておけば、巡回指導のときの説明が早く終わります。

運行管理者に求められる業務

選任の話に集中しがちですが、置いたあとに何をするのかも押さえておきます。監査で見られるのは、選任の事実より業務の中身です。

一般に挙げられているのが、運転者の乗務の割り当てを作ること、休憩や睡眠の施設を管理すること、運転者の勤務時間や乗務時間を定めてそれに従わせること、点呼を行うこと、運行の指示をすること、運転者に対する指導と監督を行うこと、運転者台帳を作って備えることなどです。

業務を頻度で分ける毎日点呼・運行の指示毎月拘束時間の集計・記録の確認随時適性診断・指導・台帳
運行管理者の業務を、毎日・毎月・随時の3つに分けた層の図

このうち記録に残りやすいのが点呼と運転者台帳で、残りにくいのが乗務時間の管理です。拘束時間が基準を超えていないかを確かめている記録が無いと、管理していないように見えます。月ごとに集計した表を残しておくと、ここが示せます。

休憩や睡眠の施設の管理も、忘れられやすい部分です。仮眠室がある営業所では、清掃や寝具の状態を確かめた記録を残しておきます。施設があるだけでは管理していることになりません。

選任が空かないようにする

運行管理者について指摘を受ける形で多いのが、選任の空白です。前任者が辞めてから後任を選任するまでの間が空いている状態になります。

原因は、資格を持っている人が1人しかいないことです。その人が辞めると、次の人が資格を取るまで選任できません。試験は年に2回なので、タイミングによっては半年近く空くことになります。

対策は、資格者を業務上の必要数より1人多く持っておくことです。「いま必要な人数」ではなく「1人抜けても回る人数」で考えるのが、この分野の安全側の判断になります。

もう1つが、台数が増えたときの見落としです。車を1台増やして30台になったのに、人数はそのまま。これに気づく仕組みが無いと、次の監査まで分かりません。車両の台数を管理している台帳に、必要な運行管理者の人数を計算する欄を作っておくと、増やした瞬間に気づけます。車両の管理については車両管理台帳とはにまとめました。

運行管理者を補助する仕組みを持つ

選任した人が業務を全部抱えると、その人が抜けたときに何も残りません。引き継げる形にしておきます。

残しておくものは3つです。1つ目が、毎日・毎月・随時でやることを書き出した一覧です。頭の中にあるものを紙にするだけで、引き継ぎの時間が大きく減ります。

2つ目が、届出や研修の履歴です。誰がいつ選任されて、いつ届け出て、次の講習がいつか。運行管理者は定期的に講習を受けることとされているので、この管理が途切れると受け損ねます。

3つ目が、指摘を受けた履歴です。過去の巡回指導で何を指摘され、どう直したか。これが残っていないと、次の担当者が同じ指摘を受けます。

3つとも、特別な書式は要りません。表計算のファイル1つ、あるいはノート1冊で足ります。形式より、書き出してあること自体に意味があります。

書き出してみると、業務が多いことに気づきます。多いこと自体が問題なのではなく、1人しか知らないことが問題です。書き出したうえで、補助者や事務と分けられるものを分けていきます。

運行管理者の業務を1人に寄せない

選任の人数を満たしていても、業務が1人に集中していると、その人が休んだ日に止まります。

点呼は補助者に分担できますが、少なくとも3分の1以上は運行管理者自身が行うこととされています。この割合は回数で見るので、夜間の運行が多い営業所では自然に崩れていきます。

運転者への指導や監督、適性診断の管理、記録の保存も運行管理者の業務です。これらを全部1人が抱えていると、引き継ぎができません。誰が何をやっているかを書き出してみると、たいてい1人に寄っていることが分かります。

分けるときは、毎日発生するもの(点呼)と、月に1度のもの(記録の確認、拘束時間の集計)と、年に数回のもの(適性診断、指導)で切ると、分担しやすくなります。

補助者を含めた体制で考える

運行管理者の人数は台数で決まりますが、実際に回るかどうかは補助者を含めた体制で決まります。ここを分けて考えます。

法令で求められる人数は、最低ラインです。30台なら2人ですが、この2人で365日すべての点呼を回せるかというと、回りません。休みも夜勤もあります。必要な人数と、回る人数は別だと考えておきます。

補助者を置くと、点呼の一部を分担できます。ただし、少なくとも3分の1は運行管理者自身が行うこととされているので、補助者だけでは回りません。運行管理者が実際に点呼の場にいる時間を、月単位で確保する必要があります。

点呼は3分の1以上を本人が行う月の点呼300回運行管理者 100回以上補助者 200回まで割合は回数で見る。夜間の運行が多いと、ここが自然に崩れる
運行管理者と補助者で点呼を分担するときの割合を示した帯の図

組み方の目安としては、出庫と帰庫の時間帯を並べて、そこに人を割り当てます。人が要る時間帯が1日に3つ以上に分かれているなら、選任した人数だけでは足りません。補助者を置くか、時間帯をまとめるかになります。

この検討を、台数が基準を超える前にやっておくのが要点です。超えてから人を探すと、資格の取得に時間がかかって間に合いません。台数が25台を超えたあたりで、次の1人の準備を始めておくくらいがちょうど良いところです。

巡回指導で見られるところ

選任の届出を出したあと、実際に見られるのは業務の記録です。どこを見られるかを知っておくと、準備が早く終わります。

見られるのは大きく4つです。1つ目が点呼の記録で、乗務前・乗務後がそろっているか、運行管理者本人が行った割合が足りているかを見られます。2つ目が運転者台帳で、更新されているかどうかです。

3つ目が、乗務時間の管理です。拘束時間や連続運転が基準を超えていないかを、会社として確かめている記録があるかどうか。ここは集計した表が無いと示せません。月ごとに運転者別の拘束時間をまとめておきます。

4つ目が、指導と監督の記録です。運転者に対して行った教育の内容と、参加した人の記録になります。

4つとも、指導の当日に作れるものではありません。日々の業務の中で残っているかどうかがそのまま出ます。

このうち、準備で差が出るのが3つ目と4つ目です。点呼と台帳は日々の業務で残りますが、集計と教育は意識して残さないと出てきません。年に1度、この2つだけ確かめておくと、指導の連絡が来てから慌てずに済みます。

まとめ

運行管理者は、営業所ごとに選任して点呼や運行の指示を行う立場です。必要な人数は事業用自動車の数を30で割って1を足した数とされており、30台で2人になる段差があります。選任と解任はどちらも15日以内に運輸支局へ届け出ることとされています。

まず手を付けるなら、自社の営業所ごとの台数を数えて、必要な人数と実際の人数を並べてみるところからです。次に、資格を持っている人を必要数より1人多く確保しておくと、選任の空白が起きなくなります。

なお、ここに書いたのは一般的な形です。自社に何が求められるかは、事業の種類や台数によって変わります。最終的な判断は、所轄の運輸支局にご確認ください。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

点呼記録簿や運転者台帳のExcel様式は、商い屋の運送業向けのページにそろっています。選任した運行管理者が最初に整える書類です。

商い屋で様式をさがす

選任は書類の手続きですが、動いているのは人です。資格を持っている人が何人いるか、その人たちが実際に点呼の場に立てるか。この2つを年に1度は確かめておくと、急に困ることが無くなります。

もう1つ、運行管理者には定期的に講習を受けることとされている点があります。選任されている人は、決められた周期で講習を受けることになります。受講の記録も残しておきます。周期や対象は状況によって変わるため、所轄の運輸支局で確かめておくのが確実です。

よくある質問

運行管理者は何人必要ですか。

一般には、被けん引車を除いた事業用自動車の数を30で割り、その数に1を足した数以上とされています。29台までなら1人、30台から59台なら2人という形になります。

運行管理者は運転もできますか。

運転者を兼ねること自体が直ちに禁じられているわけではありません。ただし、自分が運転に出ている間は点呼ができないため、実務上は成り立たない場面が出てきます。小規模な事業所での扱いは、所轄の運輸支局に確かめるのが確実です。

運行管理者が休んだ日は誰が点呼をするのですか。

補助者が行う形が一般的です。ただし、点呼のうち少なくとも3分の1は運行管理者自身が行うこととされているため、休みが続く場合は割合が崩れます。複数の運行管理者を選任しておくのが確実な対策になります。

複数の営業所を1人で兼任できますか。

運行管理者は営業所ごとに選任するものとされており、点呼を行う業務があるため、離れた営業所の兼任は基本的に難しくなります。

選任届はいつまでに出すのですか。

一般には、選任または解任した日から15日以内に、営業所を管轄する運輸支局へ届け出ることとされています。

解任のときも届出が必要ですか。

必要とされています。解任の届出をしていないと、書類の上では選任されたままになります。

資格はどうすれば取れますか。

運行管理者試験に合格する方法と、実務経験と講習によって申請する方法があるとされています。人が急に必要になった場合は、試験のほうが早いことが多くなります。

補助者は何人まで置けますか。

人数の上限が決められているわけではないとされています。ただし、点呼のうち少なくとも3分の1は運行管理者自身が行うこととされているため、補助者を増やしてもその割合は変わりません。