車検と保険の期限管理|社用車を止めない方法
目次
車検の期限は、台数が5台くらいまでなら頭の中で足ります。10台を超えたあたりから、記憶と車検証だけでは回らなくなります。しかも切らしたことに気づくのは、たいてい車を出そうとした朝です。
この記事では、車検と保険の期限をどうやってまとめて把握するか、いつ手配を始めるか、そして切らさない形をどう作るかを整理します。制度の説明ではなく、月に5分で回る仕組みの作り方として書きます。
結論:車検の期限管理は「並べ替えられる1枚」があれば終わる
車検の期限管理でつまずくのは、情報が無いからではありません。車検証を全部集めても、期限の近い順に並べ替えられないからです。車検証は1台1枚で、束ねると探すことになります。
ポイントはここです。期限管理に必要なのは、新しい情報ではなく並べ替えられる形です。車検証に書いてあることを1台1行の表に写すだけで、管理はほぼ終わります。
車検証を束ねて持っているだけの状態は、情報を持っているのに使えていない形です。束ねた紙は、期限順に並びません。1台1行の表に写した瞬間から、月初に5分見るだけで済むようになります。
一般には、自動車の検査証の有効期間は車の種類や用途によって変わるとされています。自家用の乗用車と、貨物用の車と、事業用の車で周期が違うので、「うちは2年ごと」と一律に決めてしまうと外れます。
同じ車に、期限が4つある
車1台につき、切らすと困る期限は1つではありません。まとめて見ないと、片方だけ手配して安心してしまいます。
1つ目が車検です。切れると公道を走れません。2つ目が自賠責保険で、これは車検と連動していることが多いのですが、期間の取り方によってはずれます。3つ目が任意保険で、こちらは車検とまったく別に動きます。4つ目がリースやローンの満了日です。
4つとも、切れたときに気づく場面が違います。車検は車を出すとき、自賠責は事故のとき、任意保険は請求のとき、リースは引き落としのとき。いちばん遅く気づくのが任意保険で、そのときにはもう事故が起きています。
いちばんずれやすいのが任意保険です。車検は整備工場から連絡が来ることがありますが、任意保険は代理店任せになっていて、担当者が変わった年に案内が届かない、ということが起きます。
自賠責は、車検の期間より少し長く掛けるのが一般的です。車検の日に切れていると受けられないので、あえて余裕を持たせてあります。そのため自賠責の満了日は車検の満了日と一致しません。両方を別の列で持っておきます。
表に入れる列
列は7つで足ります。増やすと埋まらなくなります。
車両番号、車種、車検の満了日、自賠責の満了日、任意保険の満了日、リースの満了日、そして手配の状況。
列を7つに絞るのには理由があります。埋めるのに時間がかかる表は、更新されなくなるからです。あれば便利だと思って備考や連絡先を足していくと、1台あたりの入力が増えて、車が増えたときに手が止まります。必要になってから足すほうが、続きます。
7列目が要点です。期限だけの表は、見た人が次に何をすればよいか分かりません。「予約済み・5月12日入庫」まで書ける欄があると、月の途中で誰が見ても状況が分かります。
車両番号は、ナンバーの4桁だけでなく全部を書いておきます。同じ4桁の車が2台になったときに、区別できなくなるからです。
出どころは車検証と保険証券とリース契約書の3つです。最初に集めるのがいちばん時間のかかる作業ですが、1回やれば以後は更新のたびに1行直すだけになります。
台数が増えると、車検の月が偏る
車をまとめて導入した会社では、車検の満了日が同じ月に固まります。10台を一度に入れれば、2年後に10台の車検が同じ月に来ます。
これが起きると、その月だけ手配が回らなくなります。整備工場の枠も取れず、代車も足りず、稼働できない車が出ます。期限を守れていても、業務は止まります。
表を作ると、この偏りが一目で分かります。月ごとに何台あるかを数えるだけです。偏っているなら、次に車を入れ替えるときに時期をずらす、という判断ができます。
偏りが見えていれば、代車の手配や外注の段取りも先に組めます。同じ台数でも、月ごとにならしてあるかどうかで、現場の忙しさがまったく変わります。
すでに固まっている場合でも、打つ手はあります。1台だけ早めに車検を受けると、その車の次回は前倒しになります。早く受けたぶん有効期間が短くなる場合があるので、工場に確かめてから決めます。
いつ手配を始めるか
見る日を月初に決めて、2か月先まで拾います。ここが要点です。
1か月先だけ見ていると、整備工場の予約が取れないことがあります。車検は月末と年度末に集中するので、その時期に当たる車は特に早めに動きます。2か月先まで見ておけば、ほとんどの場合は間に合います。
保険のほうは、満了日の1か月前に代理店へ連絡すれば足りることが多くなります。ただし車を増減したときは、保険の内容そのものを見直す場面なので、満了を待たずに連絡します。
拾ったら、その場で状況の欄に「手配中」と書きます。書かないと、翌月に同じ車をもう一度拾うことになります。
切らしたときに何が起きるか
なぜここまでやるのかを、結果の側から押さえておきます。
車検が切れた車を公道で走らせると、無車検運行になります。運転者だけでなく、運行させた会社の側も問われる形になるとされています。あわせて、車検が切れている状態では自賠責も切れていることが多く、その場合は無保険運行にもなります。2つ同時に成立するのが、この違反のきつさです。
任意保険が切れていた場合、法令違反にはなりませんが、事故を起こしたときの負担が全部会社に来ます。金額の大きさで言えば、こちらのほうが会社を傾ける可能性があります。
もう1つ、荷主や元請から車検証の写しを求められる場面があります。切れた状態のものを出すと、取引そのものに影響します。切らさないことは、法令の話であると同時に、仕事を続けられるかの話でもあります。
どれも「気づかなかった」で軽くなりません。だから、気づける形を先に作っておきます。表を作るのに半日、月に5分見る。かかるのはそれだけです。
緑ナンバーの車はもう1つ増える
ここまでは白ナンバーの社用車を前提に書いてきました。事業用自動車、つまり緑ナンバーの車では、期限がもう1つ増えます。
定期の点検です。事業用自動車には期間を決めた点検が定められているとされており、車検とは別に回ってきます。車検だけを追っていると、この点検を飛ばすことになります。
周期が車検とずれるのが厄介なところです。車検は2年や1年の周期で来ますが、定期の点検はもっと短い周期で回ってきます。同じ表の中に列を足しておかないと、必ず抜けます。
事業用の側の詳しい話は事業用自動車の3ヶ月点検にまとめました。点検の記録を誰が確認するかについては整備管理者の選任で説明しています。
保険の見直しと期限管理は別に考える
期限管理の表を作ると、保険の内容そのものを見直したくなります。ここは分けて考えたほうが、どちらも進みます。
期限管理でやるのは、切らさないことだけです。満了日を把握して、1か月前に連絡する。これで目的は達します。
保険の内容の見直しは、別の作業になります。補償の範囲、免責の金額、等級、運転者の年齢条件。車ごとに違うので、1台ずつ見ることになり、時間がかかります。期限管理と一緒にやろうとすると、どちらも終わりません。
分けておくと、期限の表が軽いままで済むという利点もあります。補償の条件まで列に入れると、1台あたりの情報が増えて、更新するのが億劫になります。軽い表ほど続きます。
おすすめの順番は、先に期限の表を作って回し始め、落ち着いてから年に1回の見直しの日を別に取る形です。表があれば、見直しのときに全車の条件を並べられるので、そのときも役に立ちます。
車を増減したときだけは例外で、そのタイミングで内容の確認も一緒にやります。台数が変わると、フリート契約の条件や安全運転管理者の選任の要否も変わることがあるからです。台数の数え方は安全運転管理者の選任にまとめました。
手配から完了までを1つの流れにする
期限を拾ったあと、実際に車検が終わるまでには何段か挟まります。ここが途切れると、拾った意味がなくなります。
流れは4段です。拾う、予約する、入庫する、次回を入れる。4段目を忘れる会社がとても多くあります。車検が終わって車が戻ってきた時点で気が済んでしまい、表の満了日が古いまま残ります。
次回を入れるのは、新しい車検証を受け取った瞬間にやります。別の日に回すと、車検証がファイルに綴じられて、誰も開かなくなります。手に持っているうちに書き写すのが確実です。
入庫の日程を決めるときは、その車が使えない日が業務に当たらないかを先に見ます。月末の配送が集中する日に入庫させると、車が足りなくなります。表があれば、他の車の状況も一緒に見られます。
代車が要るかどうかも、この段で決めます。要るなら予約のときに一緒に頼みます。当日に言っても出てきません。
表が続かなくなる理由
期限の表は、作るより続けるほうが難しい書類です。止まる理由は3つに決まっています。
1つ目が、見る日を決めていないことです。「気づいたときに見る」運用は、忙しい月に止まります。月初の5分を決めておきます。
2つ目が、更新したのに表を直していないことです。車検を受けたあと、新しい満了日を書き込む手順が無いと、表が古いまま残ります。完了した行に次回の日付を入れるところまでを1セットにします。
3つ目が、1人の頭の中にあることです。担当者のパソコンにしかない表は、その人が休んだ月に誰も見ません。共有できる場所に置くか、印刷して貼るかのどちらかにします。紙で貼る場合は更新した日を大きく書いておきます。古い紙が貼られたまま残っていると、見た人が古い期限を信じます。
誰が見るのかを決めておく
最後に、担当の話です。期限管理が止まる会社は、たいてい担当が決まっていません。
決めるのは2つです。表を更新する人と、月初に見る人。同じ人でも構いませんが、決まっていないことが問題になります。「総務が見ているだろう」「現場が気づくだろう」でお互いに見ていない状態が、いちばんよくある形です。
決めたら、その人が休んだときどうするかも決めます。月初の5分なので、休むと翌月まで空きます。副担当を1人置くか、見る日を月初の1週間のうちどこかにしておくと、休みで飛ぶことがなくなります。
もう1つ決めておくとよいのが、期限が近いのに手配できていない車をどう扱うかです。整備工場の枠が取れない、予算の承認が下りていない。こうしたときに、誰に上げるのかを決めておきます。決まっていないと、担当者が1人で抱えたまま日が過ぎます。
そのうえで、車を使う人にも表を見せておくと効きます。期限に気づくのは1人でなくて構いません。自分が毎日乗っている車の車検が来月だと知っていれば、「そろそろですよね」と言ってもらえます。気づける人が増えるほど、落ちる確率は下がります。
まとめ
車検と保険の期限管理は、車検証に書いてあることを1台1行の表に写して、期限の近い順に並べ替えられる形にするだけで、ほとんど終わります。難しいのは情報を集めることではなく、続けることです。
まず手を付けるなら、車検証を全部集めて表に写すところからです。台数が20台でも半日で終わります。次に、月初に2か月先まで拾う日を決めると、予約が取れないという事故が消えます。
台数が少ないうちは記憶で足ります。足りなくなる境目は、だいたい5台から10台の間です。足りなくなってから作るのではなく、足りているうちに作っておくと、切り替えの痛みがありません。
なお、車検の有効期間や必要な手続きは、車の種類や用途によって変わります。最終的な判断は、所轄の運輸支局や整備を依頼する工場にご確認ください。
期限管理は地味な作業ですが、止まったときの損失がはっきりしています。車が1台動かせない日の損失と、表を作る半日を比べれば、答えは出ています。
表を1枚持つだけで、月初の5分が車を止めない保険になります。台数が5台を超えたら、記憶に頼るのはやめどきです。
よくある質問
車検の有効期間は何年ですか。
車の種類と用途によって変わるとされています。自家用の乗用車と貨物用の車、事業用の車で周期が違うため、車検証に記載された満了日で確かめるのが確実です。
自賠責の満了日が車検と同じではないのはなぜですか。
車検を受ける日に自賠責が切れていると受けられないため、車検の期間より少し長く掛けるのが一般的だからです。そのぶん満了日がずれるので、別の列で持っておきます。
車検が切れた車は動かせますか。
公道を走らせることはできません。車検を受けるために運ぶ場合の扱いは手続きが定められているので、所轄の運輸支局にご確認ください。
車検と定期点検はまとめて受けられますか。
同じ入庫でまとめて受けている会社は多くあります。車が止まる時間が1回で済むので、稼働の面では有利になります。ただし周期が違うため、毎回まとめられるわけではありません。表で両方の満了日を見てから判断します。
リース車の車検は誰が手配するのですか。
契約の内容によって変わります。リース会社が手配する契約と、使用者が手配する契約があります。どちらかを表の備考に書いておくと、担当者が変わっても迷いません。
何台くらいから表を作ったほうがよいですか。
台数で決まる話ではありませんが、5台を超えたあたりから記憶では回らなくなります。白ナンバーの場合、5台は安全運転管理者の選任が必要になる台数とも重なります。
期限の表は紙とパソコンのどちらがよいですか。
並べ替えが必要なので、表計算で作るほうが向いています。ただし、事務所に貼っておくほうが見られるという職場もあります。どちらでも構いませんが、更新したものが1つだけになるようにします。
車を手放したら、その行は消すのですか。
消さずに残して、抹消した日を書き込んでおくのが安全です。過去にどの車を使っていたかを聞かれる場面があります。