無事故無違反証明書|会社がまとめて出す
目次
運転者の運転歴を会社で確かめたい。そう思って調べると、似た名前の証明書が4つ出てきます。無事故・無違反証明書、運転記録証明書、累積点数等証明書、運転免許経歴証明書です。
どれも自動車安全運転センターが出すもので、会社がまとめて申請できます。ただし本人の委任と同意が要ります。条文が「本人の求めに応じて」交付すると決めているためです。
結論:4種類あって、会社が使うのは主に2つ
自動車安全運転センターが交付する「運転経歴に係る証明書」は4種類です。
無事故・無違反証明書は「無事故・無違反で経過した期間を証明」します。対象は昭和44年10月1日以降(沖縄県は昭和47年5月15日以降)です。
運転記録証明書は「過去5年・3年または1年の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録について証明」します。
累積点数等証明書は「交通違反や交通事故の点数が、現在何点になっているかを証明」します。いまの持ち点だけを見たいときに使います。
運転免許経歴証明書は「失効した免許、取り消された免許又は現在受けている免許の種類、取得年月日等について証明」します。
「期間」と「記録」で分かれる
無事故・無違反証明書は、いつからいつまで何も無かったかを出す紙です。中身は期間です。
運転記録証明書は、何があったかを出す紙です。違反、事故、行政処分が並びます。
会社が運転者の状態を把握したいなら、中身が並ぶのは運転記録証明書のほうです。無事故・無違反証明書は、表彰や安全運転の励みとして使われることが多くなります。
名前で選ぶと取り違えます。「無事故無違反証明書を取りたい」と言われたら、何を見たいのかを先に聞くところからです。見たいのが違反の中身なら、必要なのは運転記録証明書のほうになります。
期間は選べる
運転記録証明書は過去5年・3年・1年から選びます。採用のときは5年、毎年の確認は1年という使い分けが素直です。
5年を取れば、その中に1年ぶんも入っています。ただし古い記録が並ぶぶん、読む側の手間は増えます。何年分を取るかは、見たあとに何をするかで決まります。指導の相手を選ぶだけなら、直近1年で足ります。
経歴証明書には取れない範囲がある
運転免許経歴証明書は、取消免許は昭和46年12月31日以前のもの、失効免許は3年(違反歴があれば6年)経過したものについては証明できないとされています。
「昔いつ免許を取ったか」を確かめたいときに、範囲の外に落ちることがあります。取れないと分かってから動くと時間を失うので、先に範囲を見ておきます。
根拠は自動車安全運転センター法
4種類とも、法律で決まった業務として出ています。
自動車安全運転センター法29条は、センターが行う業務を並べています。その4号です。
運転免許を受けた者の自動車の運転に関する経歴に係る内閣府令で定める事項を記載した書面を、当該運転免許を受けた者の求めに応じて交付すること。
「本人の求めに応じて」が効いてくる
条文の主語は本人です。会社が自分の権限で取れる紙ではありません。
だから一括申請には委任が要ります。ここを飛ばすことはできない、という理解が出発点になります。本人に断られたら取れない、ということでもあります。
交通事故証明書は同じ条の5号
同じ29条の5号が、交通事故に関する書面の交付を定めています。こちらは「当該事故における加害者、被害者その他当該書面の交付を受けることについて正当な利益を有すると認められる者の求めに応じて」です。
事故証明だけは、本人以外にも道が開いています。運転経歴の4種類とは、申請できる人の範囲が違います。事故の報告は自動車事故報告書にまとめています。
会社が一括で申請する条件
自動車安全運転センターは、企業等による一括申請の条件をこう示しています。
従業員が運転記録証明書の交付申請手続きと受領を委任し、証明書の内容を統計分析資料の作成に使用すること並びに代理人が証明書の内容を確認の上、交通事故防止資料として活用することに同意する場合。
委任と同意は別のもの
委任は「手続きと受け取りを会社に任せる」ことです。同意は「中身を会社が見て、安全のために使ってよい」ことです。
この2つがそろって初めて一括申請になります。委任状だけあっても、中身を見る話が抜けていれば足りません。様式はセンターが用意しているので、自分で文面を考える必要はありません。
使い道が限定されている
同意の中身が「統計分析資料の作成」と「交通事故防止資料としての活用」に絞られています。
採用の可否を決める材料として使う、とは書かれていません。社内でどう使うかを決めるときに、この線は意識しておくところです。個人情報の扱いにも関わります。
申請の方法は3つ
センターは3つの申請方法を示しています。
センター窓口申請は、申請書様式と委任状様式(15名用または1名用)を使います。Kフォーマット申請は、申請書(PDF)、委任状(PDF)、申請用フォーマット(Excel)を使います。グループウェアによる申請は、申請書(PDF)、アンケート回答結果(Excel)、誓約書(PDF)を使います。
人数が多いほど、紙以外の方法が楽になります。15名用の委任状様式があるのは、まとめて出すことが前提だからです。1名用もあるので、途中で入った人を1人だけ足すこともできます。
申請先は都道府県の方面事務所
申請は各都道府県方面事務所に対して行います。連絡先はセンターの事務所所在地一覧に載っています。
運輸支局でも警察署でもありません。ここを間違えると往復が1回増えます。免許の手続きと同じ窓口ではない、と覚えておくと取り違えません。
運送業でどう使うか
証明書そのものは、取っただけでは何も変わりません。何に使うかを先に決めるほうが続きます。
採用のときに5年分を見る
新しく入る運転者について、過去5年の違反と事故を見ます。運転者台帳に書いてもらう内容と、証明書の中身が合っているかを突き合わせる形です。
台帳の作り方は運転者台帳の書き方にまとめています。自己申告と証明書がずれていたら、そこから話を始めることになります。
毎年の確認は1年分で回す
在籍している運転者は、1年分を毎年取る形が回しやすくなります。前の年から増えているかどうかが分かれば十分だからです。
一括申請なら、年に1回まとめて出せます。人数が変わらなければ、前の年の名簿をそのまま使えます。
指導する相手を決める材料にする
違反や事故が出た運転者には、個別の指導が要ります。証明書は、誰に何時間の指導が必要かを決める材料になります。
特定の運転者への指導は特定運転者への指導にまとめています。
安全性優良事業所の評価にも関わる
安全への取り組みを外から評価してもらう仕組みがあります。取っているだけでなく、取ったあと何をしたかが問われます。証明書を取り、結果に応じて指導した記録まで残っているかどうかです。GマークについてはGマークの認定にまとめています。
申請の前にそろえるもの
委任状を回し始める前に、手元で決めておくことがあります。これが決まっていないと、集める途中で止まります。
誰の分を取るか
全員か、乗務する運転者だけか、社用車に乗る事務の人まで含めるか。対象の線を先に引きます。
運転者台帳に載っている人を対象にすると、名簿がそのまま使えます。あとから増えた人をどう足すかも決めておきます。
何年分を取るか
人によって変えるのか、全員そろえるのか。そろえたほうが集計は楽です。
採用の年だけ5年、以降は1年、という決め方にするなら、名簿に「次はどちらか」を書く欄が要ります。
いつ取るか
年度の初めか、決まった月か。毎年同じ時期にすると忘れません。
適性診断や健康診断と同じ月にまとめると、本人に声をかける回数が減ります。適性診断は適性診断の管理にまとめています。
誰が回すか
委任状を配り、集め、申請し、受け取る。この4つを誰がやるかを決めます。
運行管理者が兼ねている会社が多い作業です。人数が多いと、集めるところがいちばん時間を食います。点呼のついでに渡して回収する形にすると、1人ずつ捕まえる手間が消えます。
取ったあとの扱い
証明書は個人の違反歴が書かれた紙です。取ったあとの置き場所まで決めておきます。
誰が見るかを決める
同意の中身は「代理人が証明書の内容を確認の上、交通事故防止資料として活用する」ことです。全社員が見てよい紙ではありません。
運行管理者と、指導に関わる人まで。範囲を決めて、それ以外は見ない運用にします。決めていないと、配車の都合で誰かが見に行く形が生まれます。
保管の場所を1か所にする
運転者ごとのファイルに入れるか、証明書だけまとめるか。どちらでもよいので、1つに決めます。
分散すると、必要なときに出てきません。運転者台帳と同じ場所にしておくのが分かりやすい形です。巡回指導で運転者ごとの資料をまとめて出すときにも、そのほうが早くなります。
いつまで持つかを決める
法令で保存期間が決まっている書類ではありません。だからこそ、自分で決めておかないと溜まり続けます。
次の年の分を取ったら前の年の分を処分する、という決め方でも構いません。決めていないことが問題になります。処分するときは、個人の違反歴が載っている紙だという前提で扱います。
本人にも返す
一括申請では会社が受け取りますが、中身は本人のものです。写しを渡すか、見せるかを決めておくと、あとで揉めません。
免許の期限管理は免許証の期限管理にまとめています。
まとめ
自動車安全運転センターが交付する運転経歴に係る証明書は4種類です。無事故・無違反証明書は無事故・無違反で経過した期間を証明し(昭和44年10月1日以降、沖縄県は昭和47年5月15日以降)、運転記録証明書は過去5年・3年または1年の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録を証明します。累積点数等証明書は現在の点数、運転免許経歴証明書は失効・取消・現在の免許の種類と取得年月日を証明します。
会社が中身を見て使いたいなら、並ぶのは運転記録証明書のほうです。無事故・無違反証明書は期間を証明する紙です。
根拠は自動車安全運転センター法29条4号で、書面は「当該運転免許を受けた者の求めに応じて」交付されます。本人の紙なので、会社が取るには委任が要ります。
企業等による一括申請ができるのは、従業員が交付申請手続きと受領を委任し、証明書の内容を統計分析資料の作成に使用すること、代理人が内容を確認の上、交通事故防止資料として活用することに同意する場合です。委任と同意は別物で、両方そろって初めて成り立ちます。
申請方法はセンター窓口申請(申請書様式+委任状様式、15名用または1名用)、Kフォーマット申請(申請書PDF+委任状PDF+申請用フォーマットExcel)、グループウェアによる申請(申請書PDF+アンケート回答結果Excel+誓約書PDF)の3つです。申請先は各都道府県方面事務所です。
まず手を付けるなら、採用のときは5年、毎年の確認は1年と決めて、一括申請の委任状を回すところからです。取ったあと誰が見るか、どこに置くか、いつまで持つかも同時に決めておきます。
なお、申請の様式や手数料、方面事務所の所在地は自動車安全運転センターにご確認ください。
この証明書がおもしろいのは、会社のために作られた制度ではないところです。条文は「本人の求めに応じて」としか書いていません。会社が使えるのは、本人が委任して同意したぶんだけです。
だから一括申請の条件に「統計分析資料の作成」「交通事故防止資料としての活用」と、使い道まで書いてあります。取ること自体は簡単ですが、取ったあとの扱いに線が引かれている書類です。回し始める前に、誰が見て、どこに置いて、いつ捨てるかを決めておくと、あとで困りません。
よくある質問
証明書は何種類ありますか。
4種類です。無事故・無違反証明書、運転記録証明書、累積点数等証明書、運転免許経歴証明書です。
無事故・無違反証明書と運転記録証明書はどう違いますか。
無事故・無違反証明書は無事故・無違反で経過した期間を証明します。運転記録証明書は過去5年・3年または1年の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録を証明します。
会社がまとめて申請できますか。
できます。ただし従業員が交付申請手続きと受領を委任し、内容を統計分析資料の作成に使用すること、代理人が内容を確認の上、交通事故防止資料として活用することに同意する場合とされています。
なぜ委任が要るのですか。
自動車安全運転センター法29条4号が、書面を「当該運転免許を受けた者の求めに応じて」交付すると定めているためです。本人の紙だからです。
何年分を取ればよいですか。
運転記録証明書は過去5年・3年・1年から選べます。採用のときは5年、毎年の確認は1年という使い分けが素直です。
申請の方法は何がありますか。
センター窓口申請、Kフォーマット申請、グループウェアによる申請の3つが示されています。人数が多いほど紙以外の方法が楽になります。
どこに申請しますか。
各都道府県方面事務所です。所在地はセンターの事務所所在地一覧で確認します。運輸支局や警察署ではありません。
採用の可否を決める材料にしてよいですか。
一括申請の同意の中身は「統計分析資料の作成」と「交通事故防止資料としての活用」に絞られています。社内での使い方を決めるときは、この線を踏まえます。
保存期間は決まっていますか。
法令で保存期間が定められた書類ではありません。だからこそ社内で決めておかないと溜まり続けます。
交通事故証明書も同じですか。
同じ29条の5号ですが、申請できる人の範囲が違います。加害者、被害者その他書面の交付を受けることについて正当な利益を有すると認められる者の求めに応じて交付されます。