運送業の休日労働|2週に1回までの数え方
目次
休日に運行を入れたいが、どこまで入れてよいのか。運送業では、休日労働の回数に考え方が定められています。また、そもそも「休日」がいつからいつまでを指すのかが、一般の職場とは違います。ここを取り違えると、休ませているつもりで休みになっていません。
この記事では、休日労働を、休日の数え方、回数の考え方、休息期間との関係、シフトの組み方、記録の残し方の順に整理します。上限の値と条件は制度で定められ、見直されることがあります。最新の扱いは所轄の労働基準監督署に確認してください。
結論:休日は「休息期間+24時間」で数える
運送業の休日は、単なる暦の1日ではありません。
押さえるのは3つです。
1つ目は、休息期間に24時間を加えた時間が休日になることです。連続した時間として与えます。
2つ目は、その合計が一定の時間を下回ってはならないとされていることです。
3つ目は、休日労働は2週に1回を超えないこととされていることです。
1つ目を知らないと、休みにならない休みができます。夜に帰庫して、翌日の夜にまた出る。暦の上では1日空いていても、連続した時間としては足りていません。帰庫から次の出庫までの時間で数えてください。
数え方
具体的に、どこからどこまでを数えるかです。
数えるのは4つです。
1つ目は、前の乗務が終わった時刻です。帰庫して、業務が終わった時刻。
2つ目は、次の乗務が始まる時刻です。出庫のための業務が始まる時刻。
3つ目は、そのあいだの時間です。連続していることが前提です。
4つ目は、必要な時間を満たしているかです。
3つ目の「連続している」がポイントです。途中で1時間でも業務が入ると、そこで切れます。「点呼だけ受けてもらう」「電話で指示を出す」といったことも、扱いによっては業務になります。判断に迷うものは所轄の労働基準監督署に確かめてください。
2週に1回の意味
休日労働は、2週に1回を超えないこととされています。
押さえるのは4つです。
1つ目は、2週間をどこから数えるかです。起算の日を決めておきます。
2つ目は、1回とは何かです。その休日に少しでも働けば1回です。
3つ目は、連続してはいけない場合があることです。
4つ目は、拘束時間の上限も同時に守ることです。
1つ目を決めておいてください。起算の日が曖昧だと、都合のよい数え方になります。「毎月1日から2週間ごと」というように、就業規則か社内の規程で決めてください。
休息期間との関係
休日と休息期間は、つながっています。
違うのは4つです。
1つ目は、休息期間は乗務と乗務のあいだの時間です。毎日のこと。
2つ目は、休日は休息期間に24時間を足したものです。
3つ目は、休息期間が足りていないと、休日も足りません。
4つ目は、どちらも連続していることが前提です。
3つ目が実務で起きます。毎日の休息期間がぎりぎりの事業所では、休日の時間も自動的に短くなります。休日の問題に見えても、原因は毎日の運行の組み方にあることがあります。
シフトの組み方
休日を確保するには、組み方を変える必要があります。
工夫は4つです。
1つ目は、休日の前の運行を短くすることです。帰庫を早くすれば、休日の開始が早まります。
2つ目は、休日の後の運行を遅らせることです。出庫を遅くすれば、休日が長くなります。
3つ目は、休日を固定することです。曜日を決めると、本人も予定を立てられます。
4つ目は、交代で回すことです。全員が同じ日に休めない事業所では、順番を決めます。
1つ目と2つ目の組み合わせが効きます。休日そのものを増やさなくても、前後の運行を数時間ずらすだけで、必要な時間を満たせることがあります。配車の工夫で解決できる部分です。
記録に残すこと
休日と休息期間の記録は、日ごとに残します。
残すのは4つです。
1つ目は、乗務の開始と終了の時刻です。
2つ目は、休日の開始と終了です。
3つ目は、休日労働を行った日です。
4つ目は、2週間ごとの回数です。
4つ目を集計する形にしてください。日ごとの記録だけだと、2週に1回を超えているかが分かりません。カレンダーに印を付けるだけでも足ります。運転者ごとに1枚にすると見やすくなります。
賃金の扱い
休日に働いた場合、賃金の扱いが変わります。
押さえるのは4つです。
1つ目は、法定休日か所定休日かです。割増率が変わります。
2つ目は、割増賃金の率です。
3つ目は、時間外労働との重なりです。
4つ目は、就業規則の定めです。
1つ目を就業規則で決めておいてください。どの日が法定休日かが決まっていないと、割増の計算ができません。「日曜日を法定休日とする」というように決めておくと、計算が単純になります。詳しくは所轄の労働基準監督署に確かめてください。
守れないときの考え方
どうしても回らない場合があります。その場合の考え方を持っておきます。
考えるのは4つです。
1つ目は、なぜ回らないかを特定することです。人手か、運行の量か、特定の荷主か。
2つ目は、断ることを選択肢に入れることです。受けられない仕事は受けない。
3つ目は、荷主と話すことです。着時刻や曜日を変えられないか。
4つ目は、採用の計画です。
2つ目を経営の判断として認めてください。現場に「何とかしろ」と言うと、記録のほうを合わせる形になります。守れない量の仕事を受けているなら、量のほうを調整する判断が要ります。
カレンダーで回す
休日の管理は、表よりカレンダーのほうが分かりやすいことがあります。
作るのは4つです。
1つ目は、運転者ごとに1か月のカレンダーを作ることです。
2つ目は、休日に印を付けることです。
3つ目は、休日労働をした日は別の印にすることです。
4つ目は、2週間の区切りに線を引くことです。
4つ目があると、回数が一目で分かります。線で区切られた中に、休日労働の印が2つあれば超えています。数えなくても目で分かる形にすると、配車のときに気づけます。
有給休暇とあわせて管理する
休日とは別に、年次有給休暇の管理があります。同じ表で見ると効率的です。
見るのは4つです。
1つ目は、付与した日数と時期です。
2つ目は、取得した日数です。
3つ目は、残りの日数です。
4つ目は、年5日の取得の状況です。一定の要件にあたる労働者について、時季を指定して取得させることが求められています。
4つ目を年度の途中で確かめてください。年度末に「取れていない人がいる」と分かっても、運行を止めて取らせることになります。半期の時点で取得の状況を見て、計画的に割り振ってください。扱いは所轄の労働基準監督署に確かめます。
週休2日に近づける取り組み
休日を増やす方向の取り組みは、採用にも効きます。
考えるのは4つです。
1つ目は、いまの休日の日数です。年間で何日か。
2つ目は、増やすために必要なことです。人か、運行の量か、効率か。
3つ目は、段階的に進めることです。いきなり週休2日は難しくても、月に1日ずつ増やせないか。
4つ目は、採用への影響です。休日の日数は、求人で見られる項目です。
4つ目を数字で出してみてください。休日が少ないことで採用に時間がかかっているなら、その分の費用と比べられます。休日を増やすために1人採用する費用と、採用できないことによる費用。どちらが大きいかは、事業所によって違います。
休日の希望をどう扱うか
休日は、本人の生活に直接ひびきます。希望を聞く仕組みがあると、定着が変わります。
決めるのは4つです。
1つ目は、希望を出す時期です。前の月の何日までに。
2つ目は、優先の考え方です。早い者順か、順番か、事情のあるものを先にするか。
3つ目は、通らなかったときの扱いです。次の月に優先する、など。
4つ目は、決めた結果を早く伝えることです。
4つ目がいちばん喜ばれます。希望が通るかどうかより、早く決まることのほうが生活の予定を立てられます。前の月の20日までに翌月のシフトを出す、という形にしている事業所があります。
まとめ
運送業の休日は、休息期間に24時間を加えた連続した時間です。
- 暦の1日ではなく、帰庫から次の出庫までの連続した時間で数える
- 休日労働は2週に1回を超えないこととされている。起算の日を決めておく
- 毎日の休息期間が足りていないと、休日も自動的に短くなる
- 前後の運行を数時間ずらすだけで満たせることがある
- 守れない量の仕事を受けているなら、量のほうを調整する判断が要る
上限の値と条件は制度で定められ、見直されることがあります。最新の扱いは所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
Q. 暦の上で1日空いていれば休日ですか。 A. 違います。休息期間に24時間を加えた連続した時間が休日です。夜に帰庫して翌日の夜に出る形では、足りていないことがあります。帰庫から次の出庫までの時間で数えてください。
Q. 休日に少しだけ働いた場合も1回ですか。 A. その休日に働けば1回として数えます。「少しだから」という扱いはありません。2週に1回を超えないよう、回数を数えてください。
Q. 2週間はどこから数えますか。 A. 起算の日を決めておいてください。曖昧だと、都合のよい数え方になります。就業規則か社内の規程で「毎月1日から2週間ごと」などと定めます。
Q. 休日の途中に点呼だけ受けてもらうのは。 A. 扱いによっては業務になり、連続が切れます。判断に迷うものは所轄の労働基準監督署に確かめてください。電話での指示も同じです。
Q. 休日が足りません。どこから直しますか。 A. 休日の前の運行を短くし、後の運行を遅らせてください。前後を数時間ずらすだけで満たせることがあります。配車の工夫で解決できる部分があります。
Q. 毎日の休息期間もぎりぎりです。 A. その場合、休日も自動的に短くなります。休日の問題に見えても、原因は毎日の運行の組み方にあります。日ごとの運行から見直してください。
Q. 休日出勤の賃金はどうなりますか。 A. 法定休日か所定休日かで割増率が変わります。どの日が法定休日かを就業規則で決めておいてください。決まっていないと計算ができません。所轄の労働基準監督署に確かめます。
Q. 全員が同じ日に休めません。 A. 交代で回す形にしてください。順番を決めて、全員が同じ頻度で休めるようにします。特定の人だけが休日労働を続ける形にならないよう、回数を人ごとに数えてください。
Q. 記録はどう残しますか。 A. 乗務の開始と終了、休日の開始と終了、休日労働を行った日、2週間ごとの回数です。カレンダーに印を付けるだけでも足ります。運転者ごとに1枚にすると見やすくなります。
Q. 繁忙期だけ休日労働が増えます。 A. 2週に1回の考え方は、繁忙期でも変わりません。繁忙期の前後で調整するか、応援を手当てするか、受ける量を調整してください。記録だけを合わせる形にしないでください。
Q. 守れない場合、どうしますか。 A. なぜ回らないかを特定し、受ける量の調整や荷主との話を検討してください。現場に「何とかしろ」と言うと、記録のほうを合わせる形になります。量の調整は経営の判断です。
Q. 年次有給休暇との関係はありますか。 A. 別の制度です。有給休暇は、休日とは別に与えるものです。休日に有給を充てることはできません。取得の状況も、あわせて管理してください。
Q. 休日の管理はカレンダーと表のどちらがよいですか。 A. カレンダーのほうが分かりやすいことが多くあります。2週間の区切りに線を引くと、休日労働の回数が目で分かります。数えなくても気づける形にしてください。
Q. 有給休暇はどう管理しますか。 A. 付与、取得、残り、年5日の取得の状況です。半期の時点で取得の状況を見てください。年度末に気づくと、運行を止めて取らせることになります。
Q. 休日を増やすと、運べる量が減りませんか。 A. 減る可能性はあります。ただし採用の難しさが和らぐことがあります。休日の日数は求人で見られる項目です。増やすための費用と、採用できないことによる費用を比べてください。
Q. 段階的に増やす方法はありますか。 A. 月に1日ずつという進め方があります。いきなり週休2日にするのが難しくても、年間の休日を数日増やすところから始められます。配車の工夫で吸収できる部分を探してください。
Q. 休日の希望はどう受けますか。 A. 提出の時期と、優先の考え方を決めてください。通らなかった人を次の月に優先する仕組みにすると、不公平感が減ります。決めた結果は早く伝えてください。
Q. シフトはいつ出しますか。 A. 前の月の20日までに翌月分を出している事業所があります。希望が通るかどうかより、早く決まることのほうが、生活の予定を立てられます。
Q. 長距離の運行が続くと、休日が取れません。 A. 運行の組み方から見直してください。帰庫の時刻と次の出庫の時刻を数時間ずらすだけで満たせることがあります。それでも回らないなら、受ける量の調整が要ります。
Q. 休日出勤を断る運転者がいます。 A. 断れることが前提です。休日労働は2週に1回を超えないこととされており、そもそも回数に限りがあります。断られる前提で運行を組んでください。特定の人に集中しない形にします。