Gマークとは?安全性優良事業所の認定と3つの評価
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取引先から「Gマークはお持ちですか」と聞かれた。名前は知っているけれど、何をすれば取れるのか、取ると何が変わるのかが分からない。申請の時期も過ぎてしまって、また来年になっている。
この記事では、Gマークを、評価の中身・申請の条件・取ったあとに変わることの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社が申請できる状態かどうかを判断できるようにします。
結論:Gマークは安全性優良事業所の認定。評価は3つの区分
Gマークとは、貨物自動車運送事業の安全性評価事業にもとづいて、安全性の高い事業所を認定する制度の通称です。認定を受けた事業所は「安全性優良事業所」と呼ばれます。
評価するのは、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関とされています。行政ではなく、巡回指導を行っているのと同じ側の組織です。
ポイントはここです。評価は3つの区分に分かれていて、それぞれに配点があります。安全性に対する法令の順守状況、事故や違反の状況、安全性に対する取り組みの積極性の3つです。合計の点数と、区分ごとの基準の両方を満たす必要があります。
このうち、法令の順守状況の配点がいちばん大きいとされています。巡回指導の結果がここに効いてくるため、日々の記録がそのまま評価につながります。
申請できる事業所の条件
申請するには、いくつかの条件を満たしている必要があります。よく挙がるのは次のものです。
1つ目は、事業を開始してから一定の期間が経っていることです。新規に許可を受けたばかりの事業所は、申請できない形になっています。
2つ目は、巡回指導を受けていることです。評価の材料になるため、直近の巡回指導の結果が使われます。
3つ目は、事故や行政処分の状況です。重大な事故を起こしている、処分を受けている、という場合は評価が下がります。
この3つ目は、過去にさかのぼって直せません。だからこそ、日々の記録と事故のあとの対応が効いてきます。事故が起きた年に申請しても届かないなら、翌年に向けて何を変えたかを積んでおくことになります。
申請の受付は年に1回で、期間が限られています。時期を逃すと1年待つことになるため、申請の期間を期限の管理表に入れておくのが実務的です。
申請の受付は夏ごろに設定されることが多く、結果が出るのは年末から年明けにかけてです。申請から認定まで半年ほどかかると見ておくと、取引先への説明の予定も立てやすくなります。
申請の書類は、実施機関の案内に従って作ります。多くは既に社内にあるものの写しですが、評価の区分ごとに求められる形が決まっているため、案内をよく読んでから集め始めます。集めてから形が違うと分かると、二度手間になります。
評価の3区分を、社内の書類に置き換える
3つの区分は、言葉だけでは動けません。社内の何を見られるのかに置き換えます。
安全性に対する法令の順守状況は、巡回指導で見られる38項目とほぼ重なります。点呼記録簿、運転日報、指導監督の記録、選任と届出、点検整備の記録。日々埋めている書類がそのまま材料になります。
事故や違反の状況は、事故報告書の対象になった事故と、行政処分の有無です。ここは過去のことなので、申請の直前には動かせません。
安全性に対する取り組みの積極性は、社内で何をしているかです。安全に関する会議を開いている、運転者に対する研修を行っている、ドライブレコーダーや運行記録計を入れている、健康診断を全員に受けさせている、といった内容が挙げられます。
動かせるのは1つ目と3つ目です。とくに3つ目は、既にやっていることを記録に残していないだけ、という事業所が多くあります。やっているのに書いていないという状態が、そのまま点数の差になります。
取ると何が変わるのか
認定を受けると、いくつかの点で扱いが変わるとされています。
1つ目は、行政の側の扱いです。違反点数の消える期間が短くなる、認定の期間中は行政処分の際の考慮がある、といった内容が案内されています。
2つ目は、各種の手続きです。IT点呼を導入できる、点呼の一部について緩和が受けられる、といった形があります。遠隔での点呼を考えている事業所には、ここが直接効きます。
3つ目は、取引の面です。荷主が取引先を選ぶときに、安全の取り組みを条件にする動きがあります。認定を受けていること自体が説明の材料になります。
このうち、事業所として測りやすいのは2つ目です。IT点呼が使えるようになると、営業所をまたいだ点呼が組めるため、運行管理者の時間の使い方が変わります。
運転者の側にも効きます。認定を受けている事業所で働いていることは、安全に手をかけている会社だという説明になります。人を採る場面で、荷主向けとは別の意味を持ちます。
保険料の割引を用意している損害保険会社があるほか、特定の制度で優遇を受けられる場合もあるとされています。自社が受けられるものがあるかどうかは、加入している保険会社や所轄のトラック協会に確かめます。
落ちる事業所に共通していること
申請しても認定に届かない事業所には、共通点があります。ほとんどが書類の不備です。
点呼記録簿の空欄、指導監督の記録が無い、選任の届出が古いまま、日常点検の記録が丸だけ。制度を知らないのではなく、記録が埋まっていないという形です。
この4つは、どれも巡回指導で指摘されるものと同じです。巡回指導で評価が低い事業所が、Gマークだけ取れるということはありません。順番としては、巡回指導で指摘されない状態を作るのが先になります。
もう1つ多いのが、申請の期間を逃すことです。書類は整っているのに、受付が終わっていた。これは準備の問題ではなく、日程の管理の問題です。車検や免許証と同じ表に、申請の期間の行を作っておけば防げます。
逆に言えば、日々の書類が埋まっていれば、特別な準備はほとんど要りません。申請のために新しく作るものは、取り組みの積極性を示す部分だけです。
申請の前に、38項目のチェック表で自社を1回見ておくと、足りないところが分かります。半日もかかりません。
取り組みの積極性は、記録の形にする
3つの区分のうち、いちばん手を入れやすいのが取り組みの積極性です。新しいことを始めるのではなく、いまやっていることを記録に残すのが近道になります。
たとえば、月に1回の安全会議。開いているのに議事録が無ければ、示すものがありません。日付、出席者、話した内容を1枚残すだけで形になります。
運転者への研修も同じです。乗務員教育の12項目を年間計画で回していれば、その記録がそのまま使えます。別の書類を作る必要はありません。
機器の導入も材料になります。ドライブレコーダー、運行記録計、アルコール検知器。入れた日と、何台に入れたかを1枚にまとめておくと、説明が早くなります。
健康に関する取り組みも入ります。健康診断の受診率、深夜業の健康診断、睡眠時無呼吸症候群の検査。受けさせているなら、人数と実施の年月を書き出します。
まとめる先は、1つのファイルにします。申請の時期になってから集めると、どこに何があるか分からなくなります。年の初めにファイルを1つ作り、やったことをそのつど入れていく形にしておくと、申請の作業がほとんど要らなくなります。
まとめ
Gマークは、貨物自動車運送事業の安全性評価事業にもとづく安全性優良事業所の認定です。評価は、法令の順守状況・事故や違反の状況・取り組みの積極性の3つの区分で行われます。
配点がいちばん大きいのは法令の順守状況で、巡回指導で見られる項目とほぼ重なります。日々の記録がそのまま評価になります。
動かせるのは、法令の順守状況と取り組みの積極性の2つです。とくに取り組みの積極性は、やっているのに記録していない事業所が多いところです。
申請の受付は年に1回で期間が限られています。期限の管理表に入れておくと逃しません。申請の条件や評価の詳細は、所轄のトラック協会または全国貨物自動車運送適正化事業実施機関に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. Gマークの認定には期限がありますか。 A. 認定には有効の期間があり、更新の手続きが必要とされています。初回と更新で期間が異なる形があるため、認定を受けたら次の更新の時期を期限の管理表に入れておきます。
Q. 営業所ごとに申請するのですか。 A. 評価の単位は営業所です。同じ会社でも、営業所ごとに認定を受ける形になります。1つの営業所が認定を受けても、他の営業所は別に申請することになります。
Q. 申請に費用はかかりますか。 A. 申請の費用や必要な書類は、実施機関の案内で確かめます。年度によって扱いが変わることがあるため、申請の期間が始まる前に最新の案内を見ておきます。
Q. 事故を起こすと認定は取り消されますか。 A. 重大な事故や行政処分があった場合、認定が取り消される形が定められています。取ったあとも、日々の記録と安全の取り組みを続ける必要があります。
Q. IT点呼は、認定を受けていないと導入できませんか。 A. 認定を受けた事業所を対象とする形が案内されています。ただし、点呼の方法については制度の見直しが続いているため、最新の要件は所轄の運輸支局に確かめるのが確実です。
Q. 小さな事業所でも申請できますか。 A. 車両の台数による制限が置かれているわけではありません。台数が少ない事業所でも、書類が整っていれば評価は受けられます。むしろ人数が少ないぶん、記録の形をそろえやすい面もあります。
Q. 認定を受けていない事業所は、安全性が低いということですか。 A. そうではありません。申請していない事業所も多くあります。事業を開始してからの期間など、申請そのものができない事業所もあります。認定の有無だけで安全性が決まるわけではありません。
Q. 認定を受けたことは、どこで示せますか。 A. 認定を受けた事業所には、車両に貼るステッカーや、認定を示す書面が交付される形があります。自社のウェブサイトや見積書に記載している会社もあります。表示の方法に決まりがある場合があるので、実施機関の案内を確かめます。
Q. 更新のときも、初回と同じ準備が要りますか。 A. 更新の際の評価の方法は、初回と扱いが異なる部分があるとされています。認定を受けている期間の実績が見られるため、日々の記録を続けていることが前提になります。更新の要件は実施機関の案内で確かめます。
Q. 申請したが届かなかった場合、翌年も申請できますか。 A. 申請できます。届かなかった区分がどこかを確かめて、そこを埋めてから再度申請する形になります。法令の順守状況で届かなかったのであれば、巡回指導で指摘された項目がそのまま課題になります。
Q. Gマークという呼び方は正式な名称ですか。 A. 通称です。正式には安全性優良事業所の認定にあたります。書類や案内では正式な呼び方が使われることがあるため、両方を知っておくと調べるときに迷いません。
Q. 申請の準備は、いつから始めればよいですか。 A. 受付の期間は限られているので、その数か月前から書類を集め始めると余裕があります。もっとも、日々の記録が整っていれば集めるだけで済みます。年の初めに取り組みをまとめるファイルを1つ作っておくのがいちばん軽い方法です。
Q. 認定を受けた事業所の一覧は公開されていますか。 A. 認定を受けた事業所が示される仕組みがあります。取引先が確かめられる形になっているため、営業の場面で説明の材料として使えます。
Q. 巡回指導の評価が高ければ、Gマークも取れますか。 A. 巡回指導の結果は評価の一部で、それだけで決まるわけではありません。事故や違反の状況、取り組みの積極性も合わせて見られます。ただし、巡回指導で指摘が多い状態では届きにくいのは確かです。
Q. 認定を受けると、荷主から仕事が増えますか。 A. 直接に仕事が増える仕組みではありません。ただし、荷主が取引先を選ぶ条件に安全の取り組みを入れる動きがあり、その場面で説明の材料になります。認定そのものより、認定を取れる状態を保っていることのほうが、長い目では効いてきます。