乗務割の作り方|拘束時間から逆算して組む
目次
配車は毎日その場で決めている。それでも回っているように見えるのは、誰かが無理をしているからであることが多くあります。乗務割を先に作ると、無理の起きる場所が事前に見えます。
この記事では、乗務割を、何のために作るか、組む順番、拘束時間から逆算する方法、崩れたときの直し方、運転者への伝え方の順に整理します。守るべき上限と条件は制度で定められています。最新の扱いは所轄の労働基準監督署と運輸支局に確認してください。
結論:先に組むと、無理が起きる場所が見える
乗務割は、誰がどの運行に乗るかを、あらかじめ決めた表です。
作る理由は3つあります。
1つ目は、拘束時間と休息期間を守るためです。その場で決めると、あとから超えていたことに気づきます。
2つ目は、休日を確保するためです。割り当てを先に決めないと、休みが後回しになります。
3つ目は、無理な運行を見つけるためです。組んだ時点で、どうしても入らない運行が分かります。
3つ目がいちばん価値があります。その場で配車すると、入らない運行を誰かが無理をして受けることになります。先に組めば、受注の段階で断るか、傭車を手配するかを決められます。
組む順番
順番を決めておくと、毎回の作業が速くなります。
順番は4段です。
1つ目は、決まっている運行を置くことです。曜日と時刻が固定の便。
2つ目は、休日を置くことです。運行より先に置きます。
3つ目は、残りの運行を割り当てることです。
4つ目は、はみ出した運行を処理することです。断る、傭車、日程の変更。
2つ目が肝です。運行を全部置いてから休みを入れようとすると、入る場所が無くなります。休日を先に置いて、そのあとに運行を入れる。この順番だけで、休日の確保が変わります。
拘束時間から逆算する
1人あたりに割り当てられる運行の量は、拘束時間の上限で決まります。
計算するのは4つです。
1つ目は、1日に使える時間です。1日の拘束時間の上限。
2つ目は、1か月に使える時間です。月の上限。
3つ目は、その月の稼働できる日数です。休日を引いた日数。
4つ目は、1日あたりの平均です。月の上限を稼働日数で割った時間。
4つ目が目安になります。「1日平均でこの時間まで」という数字が出れば、その日の運行が長いか短いかを判断できます。長い日があれば、他の日を短くする形で組めます。
休息期間から次の出庫を決める
前の運行の終わりから、次の出庫の時刻が決まります。
見るのは4つです。
1つ目は、前の乗務が終わった時刻です。
2つ目は、必要な休息期間です。
3つ目は、次に出られるいちばん早い時刻です。1つ目と2つ目を足した時刻。
4つ目は、実際の出庫の時刻です。3つ目より後であること。
3つ目を表に書き込む形にしてください。乗務割の表に、「最短で次に出られる時刻」の欄を作ると、間違いが減ります。手で計算しなくても、書いてあれば確かめられます。
崩れたときの直し方
乗務割は、その日のうちに崩れます。事故、渋滞、荷主の都合。
直し方は4つです。
1つ目は、崩れた範囲を確かめることです。その日だけか、翌日以降にも影響するか。
2つ目は、休息期間を確かめることです。遅れた分、次の出庫が後ろにずれます。
3つ目は、代わりの手を打つことです。別の人に回す、傭車、日程の変更。
4つ目は、記録に残すことです。変更した理由と、変更後の内容。
2つ目を必ず確かめてください。帰庫が3時間遅れたら、翌日の出庫も遅らせる必要があります。予定どおり出させると、休息期間が足りません。崩れたときこそ、この確認が要ります。
運転者への伝え方
乗務割は、早く伝えるほど価値があります。
決めるのは4つです。
1つ目は、いつ出すかです。前の月の何日までに。
2つ目は、どう渡すかです。紙、掲示、電子。
3つ目は、変更の伝え方です。誰が、どう連絡するか。
4つ目は、希望の受け方です。休日や運行の希望。
1つ目を決めて守ってください。「前の月の20日までに出す」と決めたら、多少不完全でも出すほうが喜ばれます。生活の予定を立てられることが、いちばん大きな価値です。
誰でも組める形にする
乗務割を組めるのが1人だけだと、その人が休めません。
作るのは4つです。
1つ目は、組み方の手順書です。順番と、確かめる項目。
2つ目は、固定の便の一覧です。曜日と時刻。
3つ目は、運転者ごとの情報です。資格、乗れる車、担当できる荷主。
4つ目は、確かめる項目の一覧です。拘束時間、休息期間、休日の回数。
3つ目が無いと、代わりの人が組めません。「この人はこの車に乗れる」という情報が、特定の人の頭の中にだけある事業所があります。表にして共有してください。
記録として残す
乗務割は、作った版と実際の版の両方を残します。
残すのは4つです。
1つ目は、作った乗務割です。月の初めの版。
2つ目は、変更した内容です。いつ、何を、なぜ変えたか。
3つ目は、実際の運行の記録です。運転日報。
4つ目は、月の集計です。
1つ目と3つ目の差を見てください。計画と実際が大きく違うなら、計画の立て方に問題があります。毎月同じところで崩れているなら、その運行の組み方を変える必要があります。
表に入れる列を決める
乗務割の表は、入れる列で使いやすさが変わります。
入れるのは5つです。
1つ目は、運転者の名前です。縦に並べます。
2つ目は、日付です。横に並べます。
3つ目は、運行の名前か番号です。どの便に乗るか。
4つ目は、出庫と帰庫の予定時刻です。
5つ目は、その日の拘束時間の見込みです。
5つ目を入れると、月の合計がその場で出ます。予定の段階で合計が見えれば、組んだ時点で上限を超えるかが分かります。実績が出てから気づく形から抜けられます。表計算のソフトを使うなら、合計は自動で出せます。
応援と傭車を組み込む
自社の運転者だけで回らないときは、応援と傭車を組み込みます。
決めるのは4つです。
1つ目は、どの運行を出すかです。自社でやる運行と、出す運行の線引き。
2つ目は、依頼の時期です。直前だと受けてもらえません。
3つ目は、費用です。その運行の採算。
4つ目は、記録の区別です。自社の運転者と傭車を分けて書きます。
1つ目を先に決めておいてください。「回らなくなったら傭車」ではなく、この運行は出す、と決めておくほうが手配が早くなります。毎月同じ運行を出しているなら、相手との関係も安定します。
実績と突き合わせて直す
乗務割は、作って終わりではありません。翌月に向けて直します。
見るのは4つです。
1つ目は、予定と実績の差です。出庫と帰庫の時刻が、どれだけずれたか。
2つ目は、ずれた運行です。特定の便で毎回ずれていないか。
3つ目は、ずれの理由です。荷待ち、渋滞、積み込みの遅れ。
4つ目は、翌月の見込みへの反映です。
2つ目が分かると、計画の精度が上がります。「この便は毎回1時間半ずれる」なら、最初から1時間半多く見込んで組みます。そうすれば、他の運行にしわ寄せが行きません。ずれを前提にした計画のほうが、結果として守られます。
急な依頼への備え
計画を立てても、急な依頼は入ります。備え方を決めておきます。
決めるのは4つです。
1つ目は、受ける枠を空けておくことです。全員を埋めない。
2つ目は、誰に振るかの順番です。余裕のある人から。
3つ目は、断る基準です。拘束時間が足りない、休息期間が取れない。
4つ目は、傭車に回す判断です。
1つ目が現実的な備えです。すべての枠を埋めると、1件の急な依頼で全体が崩れます。月の初めに、1日あたり1件分の余裕を空けておく形にすると、急な依頼を受けられます。埋まらなければ、その日は早く上がれます。
表計算で作るときの工夫
乗務割を表計算のソフトで作る事業所が増えています。手作業より速くなる部分があります。
工夫は4つです。
1つ目は、拘束時間を自動で合計することです。日ごとの見込みを入れれば、月の合計が出ます。
2つ目は、上限に近づいたら色が変わる形にすることです。目で気づけます。
3つ目は、休日の回数を数えることです。2週間ごとの区切りで。
4つ目は、前の月の数字を引き継ぐことです。年間の累計につながります。
2つ目がいちばん効きます。数字を見て判断するより、色で気づくほうが速いからです。上限の8割を超えたら黄色、超えたら赤。配車をしながら気づけます。
まとめ
乗務割は、誰がどの運行に乗るかを先に決めた表です。
- 先に組むと、入らない運行が受注の段階で分かる
- 順番は、固定の便、休日、残りの運行、はみ出しの処理
- 休日を運行より先に置く。あとから入れようとすると場所が無くなる
- 表に「最短で次に出られる時刻」の欄を作ると、休息期間の間違いが減る
- 崩れたときは、翌日の出庫も遅らせる必要があるかを必ず確かめる
守るべき上限と条件は制度で定められています。最新の扱いは所轄の労働基準監督署と運輸支局に確認してください。
よくある質問
Q. その場で配車しています。困りますか。 A. 回っているように見えても、誰かが無理をしていることが多くあります。先に組めば、入らない運行が受注の段階で分かります。断るか傭車にするかを、早く決められます。
Q. 組む順番はどうしますか。 A. 固定の便、休日、残りの運行、はみ出しの処理です。休日を運行より先に置いてください。全部の運行を置いてから休みを入れようとすると、入る場所がなくなります。
Q. 1人あたりどれだけ割り当てられますか。 A. 月の拘束時間の上限を、稼働できる日数で割ってください。「1日平均でこの時間まで」という目安が出ます。長い日があれば、他の日を短くする形で組めます。
Q. 次の出庫の時刻は、どう決めますか。 A. 前の乗務が終わった時刻に、必要な休息期間を足します。乗務割の表に「最短で次に出られる時刻」の欄を作ると、手で計算しなくても確かめられます。
Q. 遅れが出て乗務割が崩れました。 A. 崩れた範囲と、休息期間への影響を確かめてください。帰庫が3時間遅れたら、翌日の出庫も遅らせる必要があります。予定どおり出させると、休息期間が足りません。
Q. 乗務割はいつ出しますか。 A. 前の月の20日までに出している事業所があります。多少不完全でも、決めた日に出すほうが喜ばれます。生活の予定を立てられることが、いちばん大きな価値です。
Q. 組めるのが1人しかいません。 A. 手順書、固定の便の一覧、運転者ごとの情報、確かめる項目の一覧を作ってください。「この人はこの車に乗れる」という情報が、特定の人の頭の中にだけある状態を解消します。
Q. 希望はどこまで聞きますか。 A. 提出の時期と優先の考え方を決めてください。全部は通りませんが、通らなかった人を次の月に優先する仕組みにすると、不公平感が減ります。
Q. 毎月同じところで崩れます。 A. その運行の組み方に問題があります。計画と実際の差を見てください。時刻の見込みが甘いのか、荷待ちが読めていないのか。記録から原因が分かります。
Q. はみ出した運行はどうしますか。 A. 断る、傭車を手配する、日程を変える。受注の段階で決められれば、当日に無理をせずに済みます。先に組む価値は、ここにあります。
Q. 乗務割の記録は残しますか。 A. 作った版、変更の内容と理由、実際の運行の記録、月の集計を残してください。計画と実際の差が、次の月の材料になります。
Q. 傭車を組み込んでもよいですか。 A. 組み込めます。ただし自社の運転者と傭車を区別して書いてください。拘束時間の管理の対象が違います。傭車先が無理な条件になっていないかも、あわせて確かめます。
Q. 表に拘束時間の見込みを入れる意味はありますか。 A. あります。予定の段階で月の合計が出るので、組んだ時点で上限を超えるかが分かります。実績が出てから気づく形から抜けられます。表計算のソフトなら自動で出せます。
Q. 傭車はどう組み込みますか。 A. 自社でやる運行と出す運行の線引きを先に決めてください。「回らなくなったら傭車」ではなく、この運行は出すと決めておくほうが手配が早くなります。記録は自社の運転者と分けて書きます。
Q. 予定と実績がいつもずれます。 A. ずれる運行を特定してください。「この便は毎回1時間半ずれる」なら、最初からその分を見込んで組みます。ずれを前提にした計画のほうが、結果として守られます。
Q. 急な依頼で計画が崩れます。 A. 受ける枠を空けておいてください。すべての枠を埋めると、1件の急な依頼で全体が崩れます。1日あたり1件分の余裕を空けておく形にすると、受けられます。
Q. 表計算のソフトで作ると、何が変わりますか。 A. 拘束時間の合計が自動で出て、上限に近づいたら色で気づけます。数字を見て判断するより、色で気づくほうが速いからです。休日の回数も自動で数えられます。
Q. 乗務割は誰が承認しますか。 A. 運行管理者が内容を確かめる形が基本です。拘束時間と休息期間と休日が守られているかを見ます。配車の担当が作り、運行管理者が確かめる二段の形にしている事業所があります。
Q. 運転者が特定の運行を嫌がります。 A. 理由を聞いてください。荷待ちが長い、荷役が重い、着時刻が厳しいといった具体の理由があることが多くあります。運行の側を直せる部分が見つかることがあります。