体制と期限書き方2026.08.28 公開KA-07

運行管理規程とは?書く中身と、現場で使う形

目次

運行管理規程は、運行管理者の職務と権限を定めた文書です。ひな形をそのまま印刷して綴じてある事業所が多く、中身を読んだことがある人がいないまま何年も過ぎていることがあります。ところが、問題が起きたときにいちばん効くのがこの文書です。

この記事では、運行管理規程を、何のためのものか書く中身ひな形から直すところ現場で使える形にする方法見直しの回し方の順に整理します。求められる内容と手続きは事業の種類で変わります。自分の事業に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。

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結論:運行管理者の職務と権限を、書面で決めておくもの

運行管理規程は、運行管理者が何をする人で、どこまで決められるかを定めた文書です。

押さえるのは3つです。

1つ目は、定めることが求められていることです。事業者が定めます。

2つ目は、職務と権限を書くことです。何をするかと、何を決められるかの両方。

3つ目は、守られる形にすることです。書いてあるとおりに運用します。

3つの押さえどころ定める事業者が定める職務と権限何を決められるかまで守られる形書いたとおりに運用する
定める・職務と権限・守られる形という3つの押さえどころを並べた層の図

2つ目の「権限」がいちばん大事です。運行管理者が「この運行は止めるべきだ」と判断しても、権限が無ければ止められません。規程に権限を書いておくことが、現場の判断を支えます。

書く中身

規程に書くのは、運行管理の全体です。

主なものは5つです。

1つ目は、運行管理者の職務と権限です。

2つ目は、補助者の選任と職務です。

3つ目は、点呼の実施です。方法、時間、記録。

4つ目は、運行の管理です。運行指示書、休憩、乗務の割り当て。

5つ目は、事故が起きたときの措置です。

書く5つ運行管理規程職務権限まで書く補助者選任と範囲点呼方法と記録運行指示書と休憩事故起きたときの措置事故の場面はいちばん慌てる誰が何をするかまで書く
職務と権限・補助者・点呼・運行の管理・事故のときという5つの記載事項を並べた表

5つ目を具体的に書いてください。事故は、いちばん慌てる場面です。誰に連絡し、誰が現場へ行き、誰が記録を取るか。規程に書いてあれば、その場で探さずに済みます。

権限をはっきり書く

運行管理者の権限は、書き方によって機能するかどうかが変わります。

書くのは4つです。

1つ目は、乗務させない判断ができることです。体調、酒気帯び、睡眠不足。

2つ目は、運行を中止か変更できることです。天候、道路の状況。

3つ目は、車両の使用を止められることです。整備の不具合があるとき。

4つ目は、事業者への報告と進言ができることです。

書くべき4つの権限権限中身乗務させない体調・酒気帯び・睡眠不足運行の中止と変更天候と道路の状況車両の使用停止整備の不具合があるとき報告と進言事業者に対して
乗務させない・運行の中止と変更・車両の使用停止・報告と進言という4つの権限を並べた表

1つ目と2つ目が書かれていない規程があります。職務だけが並んでいて、決められることが書かれていない形です。これだと、現場で営業や配車に押し切られます。「運行管理者は乗務させないことを決定できる」と書いてください。

ひな形から直すところ

団体や運輸支局が示すひな形があります。土台に使うのは構いませんが、直す部分があります。

直すのは4つです。

1つ目は、体制です。運行管理者の人数、補助者、営業所の数。

2つ目は、点呼の方法です。対面、電話、IT点呼、遠隔点呼。自社が実際にやっている形に合わせます。

3つ目は、時間帯と担当です。誰がいつ点呼をするか。

4つ目は、連絡先です。事故が起きたときの連絡の順番と番号。

ひな形から直す4か所1体制人数・補助者・営業所2点呼の方法実際にやっている形に3時間帯と担誰がいつ行うか4連絡先実在する番号に
体制・点呼の方法・時間帯と担当・連絡先という4つの直す場所を並べたフロー
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2つ目が実態とずれている事業所が多くあります。規程には対面としか書いていないのに、実際は電話でやっているという形です。どちらかを直してください。実態に合わせて規程を直すのが普通の順番です。

現場で使える形にする

規程そのものは、分厚くて読まれません。抜き書きを作ります。

作るのは4つです。

1つ目は、点呼の手順の1枚です。確認する項目と順番。

2つ目は、事故のときの連絡の1枚です。順番と番号。

3つ目は、判断の基準の1枚です。乗務させない目安、運行を止める目安。

4つ目は、担当の一覧です。時間帯ごとに誰が点呼をするか。

4枚を点呼の場所に貼ってください。規程の本体は綴じて保管し、現場では抜き書きを使います。使われない規程は、書いていないのと同じです。

補助者について書く

補助者を置いている事業所では、規程に書いておく必要があります。

書くのは4つです。

1つ目は、選任の方法です。誰が選任するか。

2つ目は、要件です。資格者証か基礎講習の修了。

3つ目は、行える範囲です。点呼のうち、どこまで行えるか。

4つ目は、異常を認めたときの報告です。誰に、どう報告するか。

3つ目と4つ目をセットで書いてください。補助者が異常を認めたとき、運行管理者に報告して判断を仰ぐという流れを規程に書いておくと、現場が迷いません。

見直しの回し方

規程は、作ったきりになりがちです。見直す機会を作ります。

見直すのは4つです。

1つ目は、体制が変わったときです。人が替わった、営業所が増えた。

2つ目は、制度が変わったときです。点呼の項目や方法。

3つ目は、事故や指摘があったときです。規程どおりに動けていたかを確かめます。

4つ目は、年に1回の定期の見直しです。

3つ目がいちばん価値があります。事故や巡回指導の指摘が出たとき、規程に書いてあることと、実際の動きが合っていたかを見ます。合っていなければ、どちらかを直します。

事故のときに効く

規程がいちばん効くのは、事故が起きたときです。

効くのは4つです。

1つ目は、その場の動きが決まっていることです。慌てずに動けます。

2つ目は、誰が判断するかが決まっていることです。

3つ目は、記録が残ることです。規程に沿って動けば、記録も残ります。

4つ目は、事業者としての体制を示せることです。行政や保険の対応で問われます。

4つ目のために、規程と実際の運用が合っていることが要ります。規程はあるが守られていなかった、という形がいちばん厳しく見られます。書いたことをやる。やれないことは書かない。この原則で作ってください。

規程を全員に伝える

規程を作っても、知っている人が1人だけでは意味がありません。

伝える機会は4つです。

1つ目は、新しく入った人への説明です。点呼を受ける側にも、何が確認されるかを伝えます。

2つ目は、点呼を行う人への説明です。運行管理者と補助者。権限の範囲まで伝えます。

3つ目は、営業と配車への説明です。運行管理者が運行を止められることを、営業の側にも知らせておきます。

4つ目は、年に1回の振り返りです。

伝える4つの機会機会中身新任点呼を受ける側にも点呼を行う人権限の範囲まで営業と配車運行を止められること年1回振り返りの場で
新任・点呼を行う人・営業と配車・年1回という4つの伝える機会を並べた表

3つ目が抜けると、規程が機能しません。運行管理者が「止める」と言っても、営業が知らなければ押し切ろうとします。「会社の規程で、運行管理者が止められることになっている」と全員が知っている状態にしてください。

事故のときの手順を細かく書く

事故の場面は、その場で考える余裕がありません。規程に細かく書いておきます。

書くのは5つです。

1つ目は、運転者がすることです。負傷者の救護、危険の防止、警察への連絡。

2つ目は、事業所への連絡です。誰に、何を伝えるか。

3つ目は、事業所がすることです。現場へ行く人、家族への連絡、荷主への連絡。

4つ目は、報告が要る場合の手続きです。自動車事故報告書、速報。

5つ目は、記録することです。

1つ目を運転者が持てる形にしてください。規程から抜き書きして、カードにして車に積む方法があります。事故の直後に、その紙を見ながら動けます。順番を間違えないことが大事です。

規程どおりに動けたかを振り返る

規程は、使われて初めて意味を持ちます。年に1回、動けたかを見ます。

見るのは4つです。

1つ目は、乗務させない判断をした件数です。0件なら、判断の場面が無かったのか、判断できていないのか。

2つ目は、運行を止めた件数です。天候や道路の状況で。

3つ目は、事故のときに規程どおり動けたかです。

4つ目は、指摘の内容です。巡回指導で言われたこと。

振り返りの4つの観点見ること中身乗務させない判断0件なら理由を確かめる運行の中止天候や道路の状況で事故時の動き規程どおり動けたか指摘巡回指導で言われたこと
乗務させない判断・運行の中止・事故時の動き・指摘という4つの振り返りの観点を並べた表

1つ目が0件のときは、確かめてください。本当に該当する場面が無かったのか、判断できずに乗務させたのか。後者なら、権限が機能していません。乗務させなかった件数を数える習慣にすると、規程が生きているかが分かります。

他の規程や書類とのつながり

運行管理規程は、単体では回りません。他の書類とつながっています。

つながるのは4つです。

1つ目は、点呼の要領書です。規程で決めた点呼のやり方を、手順に落とします。

2つ目は、就業規則です。乗務させない判断をしたときの、勤務や給与の扱い。

3つ目は、指導と監督の計画です。運転者への教育の内容と時期。

4つ目は、事故のときの手順書です。

2つ目が抜けていると、判断が鈍ります。乗務させないと決めたとき、その日の給与がどうなるかが決まっていないと、運行管理者が判断をためらいます。就業規則の側で扱いを決めて、規程とそろえてください。

まとめ

運行管理規程は、運行管理者の職務と権限を定めた文書です。

  • 職務だけでなく、権限を書く。乗務させない、運行を止める、車両の使用を止める
  • ひな形から直すのは、体制・点呼の方法・時間帯と担当・連絡先の4つ
  • 規程の本体は保管し、現場では抜き書きの1枚を使う
  • 補助者の行える範囲と、異常を認めたときの報告をセットで書く
  • 書いたことをやる。やれないことは書かない

求められる内容と手続きは事業の種類で変わります。自分の事業に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。

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よくある質問

Q. ひな形をそのまま使ってよいですか。 A. 土台には使えますが、そのままは危険です。体制、点呼の方法、時間帯と担当、連絡先は自社の実態に合わせて直してください。無い設備や、やっていない方法が書かれたままになります。

Q. 権限は、どう書けばよいですか。 A. 「運行管理者は、乗務させないことを決定できる」というように、決められることを明記してください。職務だけが並んでいると、現場で営業や配車に押し切られます。

Q. 規程と実態がずれています。 A. どちらかを直してください。実態に合わせて規程を直すのが普通の順番です。ただし、法令で求められる内容を下回る形にはできません。所轄の運輸支局に確かめてください。

Q. 規程は誰が作りますか。 A. 事業者が定めます。運行管理者が原案を作る形が一般的です。作ったら、実際に点呼をする人全員に中身を伝えてください。読まれない規程は機能しません。

Q. 現場で使える形とは何ですか。 A. 点呼の手順、事故のときの連絡、判断の基準、担当の一覧。この4枚を点呼の場所に貼ってください。規程の本体は綴じて保管します。

Q. 補助者について何を書きますか。 A. 選任の方法、要件、行える範囲、異常を認めたときの報告です。行える範囲と報告の流れをセットで書くと、現場が迷いません。

Q. 見直しはいつやりますか。 A. 体制が変わったとき、制度が変わったとき、事故や指摘があったとき、年に1回の定期。事故や指摘のあとがいちばん価値があります。規程と実際の動きが合っていたかを見ます。

Q. 規程を変えたら、届出が要りますか。 A. 事業の種類や変更の内容によって扱いが違います。所轄の運輸支局に確かめてください。届出が要らない場合も、変えた日と内容を社内の記録に残してください。

Q. 事故のときに規程はどう効きますか。 A. その場の動きと、誰が判断するかが決まっているので、慌てずに動けます。事業者としての体制を示す材料にもなります。ただし、規程はあるが守られていなかった形がいちばん厳しく見られます。

Q. 安全管理規程とは違うものですか。 A. 別のものです。安全管理規程は、一定の規模の事業者に求められる別の文書です。両方が必要な事業者もあります。自分の事業に何が要るかは、所轄の運輸支局に確かめてください。

Q. 規程の分量はどのくらいですか。 A. 決まりはありません。必要な内容が入っていれば、短いほうが読まれます。長くすると、現場は読みません。抜き書きの1枚と組み合わせる前提で作ってください。

Q. 運行管理者が複数いる場合、どう書きますか。 A. 役割の分担と、統括する人を書いてください。時間帯ごとの担当も決めます。誰が最終的に判断するかが書かれていないと、複数いることがかえって判断を遅らせます。

Q. 規程を営業にも伝える必要がありますか。 A. あります。運行管理者が運行を止められることを、営業が知らないと押し切ろうとします。「会社の規程でそうなっている」と全員が知っている状態にしてください。

Q. 事故の手順を運転者に持たせる方法はありますか。 A. 規程から抜き書きしてカードにし、車に積む方法があります。事故の直後に、その紙を見ながら動けます。救護、危険の防止、警察への連絡、事業所への連絡の順番を書いてください。

Q. 乗務させない判断が1件もありません。 A. 該当する場面が無かったのか、判断できずに乗務させたのかを確かめてください。後者なら、権限が機能していません。乗務させなかった件数を数える習慣にすると、規程が生きているかが分かります。

Q. 規程の抜き書きは、どのくらいの分量にしますか。 A. 1枚です。点呼の手順、事故のときの連絡、判断の基準、担当の一覧。それぞれ1枚ずつ、計4枚を点呼の場所に貼ってください。長いと読まれません。

Q. 乗務させなかった日の給与の扱いは、どこに書きますか。 A. 就業規則です。規程で「乗務させない」と決めても、給与の扱いが決まっていないと判断がためらわれます。労働時間や休業手当の扱いは、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

Q. 規程はどこに保管しますか。 A. 営業所に備え付けます。巡回指導で提示を求められます。本体は事務所の書棚に、抜き書きは点呼の場所に。営業所が複数あるなら、それぞれに置いてください。