事業計画の変更|認可と届出の分かれ目
目次
車を増やした。営業所を移した。運行管理者が替わった。これらはすべて、運輸支局への手続きが要る場面です。ところが、認可が要るものと届出で足りるものが分かれていて、そこを間違えると手続きがやり直しになります。
この記事では、事業計画の変更を、認可と届出の分かれ目、よくある変更の場面、手続きの流れ、出し忘れに気づいたときの動き、社内の仕組みの順に整理します。手続きの区分と必要な書類は変更の内容で変わります。自分の場合に何が要るかは、所轄の運輸支局に確認してください。
結論:先に許しをもらうものと、あとから知らせるものがある
事業計画に関わる変更は、手続きの重さが3つに分かれます。
1つ目は、認可が要るものです。先に申請して、認可を受けてから実施します。営業所の新設や位置の変更など。
2つ目は、届出で足りるものです。実施したあと、定められた期間内に届け出ます。車両数の変更など。
3つ目は、事前の届出が要るものです。実施する前に届け出ます。
1つ目を届出だと思って進めると、やり直しになります。営業所を作ってしまってから「認可が要ります」と言われると、使えない期間が生まれます。変更を考えた時点で、どちらかを確かめてください。
よくある変更の場面
実務でよく出てくるものを並べます。
1つ目は、車両数の変更です。増車、減車。
2つ目は、営業所や車庫です。新設、移転、廃止。
3つ目は、休憩や睡眠の施設です。位置や収容の人数。
4つ目は、事業者の情報です。名称、住所、代表者。
2つ目と3つ目は、認可が要ることが多い部分です。車庫の広さや、営業所からの距離に基準があります。物件を決める前に相談してください。契約してから基準を満たさないと分かると、費用が無駄になります。
管理者の選任と解任
事業計画の変更とは別に、管理者の届出があります。混同しやすい部分です。
押さえるのは4つです。
1つ目は、運行管理者です。選任と解任のたびに届け出ます。
2つ目は、整備管理者です。同じく届け出ます。
3つ目は、人数の基準です。車両数によって、必要な人数が変わります。
4つ目は、期限です。定められた期間内に届け出ます。
3つ目が増車と連動します。車を増やすと、運行管理者の必要な人数が増えることがあります。増車の手続きだけして、管理者の選任を忘れる形が起きます。車両数を変えるときは、管理者の人数も確かめてください。
手続きの流れ
認可が要る場合と届出の場合で、流れが違います。
認可の流れは4段です。
1つ目は、事前の相談です。基準を満たすかを確かめます。
2つ目は、申請です。必要な書類をそろえて出します。
3つ目は、審査です。期間がかかります。
4つ目は、認可を受けてから実施します。
届出の場合は、実施と届出の順番が逆になるものがあります。どちらの順番かを、手続きの前に確かめてください。間違えると、実施していない期間の届出になったり、遅れた届出になったりします。
出し忘れに気づいたとき
何年も前の変更が、届け出られていないことがあります。
動きは3段です。
1つ目は、現状を整理することです。いまの車両数、営業所、管理者。届け出た内容と何が違うか。
2つ目は、所轄の運輸支局に相談することです。いつからずれているかを伝えます。
3つ目は、必要な手続きを行うことです。
巡回指導や監査で見つかるより、自分から相談したほうが扱いが軽く済みます。とくに事業報告書を作るときが、ずれに気づく機会になります。報告書の車両数と、届け出た内容を突き合わせてください。
社内の仕組み
手続きが漏れるのは、変更が起きたことを担当が知らないからです。
作るのは4つです。
1つ目は、変更が起きたときに連絡が来る形です。車を買う、営業所を探す、人が替わる。決める人から担当へ連絡が行く流れを作ります。
2つ目は、手続きの一覧です。どの変更に、どの手続きが要るか。
3つ目は、期限の管理です。届出の期限を予定表に入れます。
4つ目は、控えの保管です。出した書類の写しをまとめます。
1つ目がいちばん大事です。「車を買ったことを、手続きの担当が3か月後に知った」という形が起きます。車両を買う稟議の欄に「運輸支局への手続き」を入れておくだけで防げます。
増車のときに一緒に確かめること
車を増やすときは、手続き以外にも確かめることがあります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、車庫の広さです。台数分の面積があるか。
2つ目は、運行管理者の人数です。基準を満たすか。
3つ目は、整備管理者の要件です。
4つ目は、休憩や睡眠の施設です。運転者が増える場合。
1つ目で止まることがあります。車庫がいっぱいなのに車を買ってしまうと、置く場所が無いという形になります。増車の検討を始めた時点で、車庫の残りの面積を確かめてください。
記録として残しておく
手続きの記録は、まとめて1つのファイルにします。
残すのは4つです。
1つ目は、提出した書類の控えです。受付の印があるもの。
2つ目は、認可書や受理の通知です。
3つ目は、いつ何を変えたかの一覧です。日付順に。
4つ目は、現在の事業計画の内容です。車両数、営業所、車庫、管理者。
4つ目を1枚にして最新に保ってください。「いま届け出ている内容はこれ」という紙が1枚あると、変更のたびに突き合わせられます。事業報告書を作るときにも、そのまま使えます。
認可に時間がかかることを見込む
営業所や車庫の認可は、申請してすぐ下りるものではありません。
見込むのは4つです。
1つ目は、事前の相談の期間です。基準を満たすかの確認に、何度かやり取りがあります。
2つ目は、書類をそろえる期間です。土地の図面、契約書、配置図。
3つ目は、審査の期間です。公表されている標準の期間があります。
4つ目は、実施の準備です。認可が下りてから動きます。
4つ目を前倒ししないでください。認可を受ける前に使い始めると、手続きの違反になります。引っ越しの日程を先に決めてしまうと、認可が間に合わないときに困ります。認可が下りてから日程を決める順番にしてください。
届出の期限を管理する
届出には期限があります。遅れた届出は、指摘の対象になります。
管理するのは4つです。
1つ目は、事由が発生した日です。車を登録した日、人が替わった日。
2つ目は、期限です。事由の発生から何日以内か。
3つ目は、提出した日です。
4つ目は、控えの保管です。
1つ目を正確に押さえてください。期限は、事由が発生した日から数えます。「手続きの担当が知った日」ではありません。車を買ったら、登録の日を担当に伝える流れにしてください。
増車と減車のときの車両の扱い
車両数の変更では、車そのものの手続きも並行します。
進めるのは4つです。
1つ目は、登録です。新しい車の登録、外す車の抹消や名義の変更。
2つ目は、事業用の表示です。緑ナンバーの手続き。
3つ目は、任意保険です。加入と解約。
4つ目は、車両管理台帳への記載です。社内の記録。
4つ目が抜けやすい部分です。外部への手続きは進めても、社内の台帳が古いままになります。台帳がずれていると、事業報告書の車両数もずれます。登録の手続きと同じ日に台帳も直す運用にしてください。
監査で見られるところ
監査では、届け出た内容と実態が合っているかが確かめられます。
見られるのは4つです。
1つ目は、車両数です。実際に置いてある台数と、届け出た数。
2つ目は、車庫です。場所と広さ。届け出た車庫に置いているか。
3つ目は、管理者です。選任されている人が実際にいるか。
4つ目は、営業所です。実態があるか。
2つ目でずれが見つかることがあります。車が増えて、届け出ていない場所に停めているという形です。青空駐車や路上駐車が常態化していると、重い指摘になります。車を増やす前に、置く場所を確かめてください。
新規の許可のときと同じ基準を見る
変更の認可では、新しく許可を取るときと同じ基準が見られる部分があります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、車庫の面積です。台数分あるか。
2つ目は、営業所と車庫の距離です。基準があります。
3つ目は、休憩や睡眠の施設です。位置と収容の人数。
4つ目は、都市計画などの制限です。その場所で事業ができるか。
4つ目で止まることがあります。土地の用途地域によって、車庫として使えない場所があります。物件を探す段階で、用途地域と、運送事業の車庫として使えるかを確かめてください。不動産の仲介が知らないことがあります。
まとめ
事業計画の変更には、認可が要るものと届出で足りるものがあります。
- 営業所や車庫の新設と移転は、認可が要ることが多い。物件を決める前に相談する
- 車両数の変更は、運行管理者の必要な人数とつながっている
- 管理者の選任と解任は、そのつど届け出る
- 出し忘れに気づいたら、自分から運輸支局に相談する
- 手続きが漏れるのは、変更が起きたことを担当が知らないから。連絡の流れを作る
手続きの区分と必要な書類は変更の内容で変わります。自分の場合に何が要るかは、所轄の運輸支局に確認してください。
よくある質問
Q. 車を1台増やすだけでも手続きが要りますか。 A. 要ります。車両数の変更は届出の対象です。あわせて、運行管理者の必要な人数が変わらないかを確かめてください。車庫の広さも確かめます。
Q. 営業所を移すとき、いつ相談しますか。 A. 物件を決める前です。車庫の広さや、営業所からの距離に基準があります。契約してから基準を満たさないと分かると、費用が無駄になります。
Q. 認可と届出は、どう見分けますか。 A. 変更の内容によります。自分で判断せず、所轄の運輸支局に確かめてください。認可が要るものを届出だと思って進めると、やり直しになります。
Q. 運行管理者が退職しました。 A. 解任の届出と、後任の選任の届出が要ります。定められた期間内に行ってください。後任が決まっていない場合も、まず相談してください。
Q. 何年も前の変更を届け出ていません。 A. 現状を整理して、所轄の運輸支局に相談してください。巡回指導や監査で見つかるより、自分から相談したほうが扱いが軽く済みます。
Q. ずれに気づく機会はありますか。 A. 事業報告書を作るときです。報告書の車両数と、届け出た内容を突き合わせてください。営業所の数や管理者の氏名も同じように確かめます。
Q. 手続きが漏れるのを防ぐには。 A. 変更を決める人から、手続きの担当へ連絡が行く流れを作ってください。車両を買う稟議の欄に「運輸支局への手続き」を入れるだけで、多くが防げます。
Q. 車庫を増やすだけでも手続きが要りますか。 A. 車庫の位置や面積の変更は、手続きの対象になります。認可か届出かは内容によります。所轄の運輸支局に確かめてください。
Q. 代表者が替わりました。 A. 事業者の情報の変更として手続きが要ります。名称、住所、代表者は、いずれも対象になります。登記の変更と一緒に進めてください。
Q. 提出の控えは何年残しますか。 A. 法令で定められた年数に従いますが、現在の事業計画の内容を示す書類は、期限にかかわらず残してください。いま届け出ている内容が分からなくなると、変更のたびに調べ直すことになります。
Q. 休憩や睡眠の施設にも基準がありますか。 A. あります。位置や収容の人数についての基準です。運転者が増えるときは、あわせて確かめてください。増車の検討の段階で見ておくと、あとで困りません。
Q. 手続きに必要な書類は何ですか。 A. 変更の内容によって違います。所轄の運輸支局に確かめてください。車庫の変更なら、土地の図面や賃貸借の契約書などが求められます。事前の相談のときに一覧をもらってください。
Q. 認可が下りる前に営業所を使い始めてもよいですか。 A. いけません。認可を受けてから実施します。引っ越しの日程を先に決めると、認可が間に合わないときに困ります。認可が下りてから日程を決めてください。
Q. 届出の期限は、いつから数えますか。 A. 事由が発生した日からです。「担当が知った日」ではありません。車を買ったら登録の日を、人が替わったらその日を、担当に伝える流れを作ってください。
Q. 車を外したときの手続きは何ですか。 A. 登録の抹消か名義の変更、事業用の表示の返納、保険の解約、そして車両数の変更の届出です。社内の車両管理台帳も同じ日に直してください。台帳がずれると、事業報告書もずれます。
Q. 監査では何を見られますか。 A. 届け出た内容と実態が合っているかです。車両数、車庫、管理者、営業所。届け出ていない場所に停めている状態は重い指摘になります。車を増やす前に置く場所を確かめてください。
Q. 車庫に使える土地かどうか、どう確かめますか。 A. 用途地域などの制限を確かめます。不動産の仲介が知らないことがあります。所轄の運輸支局に相談し、市区町村の都市計画の担当にも確かめてください。契約の前に確かめます。
Q. 営業所と車庫の距離に決まりがありますか。 A. 基準があります。離れすぎていると認可されません。物件を探す段階で、既存の営業所からの距離を確かめてください。所轄の運輸支局に相談すると、判断の目安を教えてもらえます。