点呼と記録解説2026.06.03 公開TK-08

点呼は誰がやれるか|運行管理者と補助者の線

目次

早朝と深夜に運行がある事業所では、点呼を誰がやるかが毎日の悩みになります。点呼を行えるのは運行管理者と、選任された補助者だけです。事務員が代わりにやっている、社長が名前だけ書いている。そういう状態は、巡回指導で必ず指摘されます。

この記事では、点呼を行える人を、運行管理者と補助者の線補助者が行える範囲選任の手続き1人しかいない事業所での回し方指摘されやすい形の順に整理します。選任の要件と補助者の扱いは事業の種類と規模で変わります。自分の事業所に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。

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結論:行えるのは運行管理者と、選任された補助者だけ

点呼は、誰でもできる作業ではありません。行える人が定められています。

分かれるのは3つです。

1つ目は、運行管理者です。資格者証を持ち、選任されて届け出られている人。点呼の全部を行えます。

2つ目は、補助者です。一定の要件を満たし、事業者が選任した人。行える範囲に限りがあります。

3つ目は、それ以外の人です。点呼を行えません。事務員、配車担当、整備の担当。資格が無ければ行えません。

3つの立場運行管理者点呼の全部を行える補助者行える範囲に限りがあるそれ以外点呼を行えない
運行管理者・補助者・それ以外という3つの立場を並べた層の図

3つ目が現場でいちばん起きています。朝いちばんに出社した人が点呼をして、あとから運行管理者が記録に判を押す。この形は、点呼を行っていないことになります。

補助者になれる人

補助者は、誰でもなれるわけではありません。要件があります。

満たすのは3つです。

1つ目は、運行管理者の資格者証を持っていることです。試験に合格していれば、選任されていなくても資格者証は持てます。

2つ目は、または基礎講習を修了していることです。国土交通大臣が認定する講習実施機関が行う基礎講習。

3つ目は、事業者が選任していることです。要件を満たしていても、選任されていなければ補助者ではありません。

補助者の3つの要件要件中身資格者証運行管理者の試験に合格または基礎講習認定された機関の講習選任事業者が選任している
資格者証・基礎講習・選任という3つの要件を並べた表

2つ目が現実的な道です。運行管理者試験に受かるのは簡単ではありませんが、基礎講習は受講すれば修了できます。点呼を回す人を増やしたい事業所は、ここから始めます。

補助者が行える範囲

補助者は点呼を行えますが、すべてを任せられるわけではありません。

線は3つです。

1つ目は、割合の制限です。点呼の総回数の一定割合は、運行管理者が行う必要があるとされています。全部を補助者に任せることはできません。

2つ目は、判断の範囲です。乗務させてよいかどうかの最終的な判断は、運行管理者が行います。補助者は、異常を認めたときに運行管理者に報告します。

3つ目は、指示の範囲です。補助者が独自の判断で運行の指示を出すことはできません。

補助者に引かれる3つの線中身割合の制限一定割合は運行管理者が行う判断の範囲乗務の可否は運行管理者指示の範囲独自の判断で指示しない
割合の制限・判断の範囲・指示の範囲という3つの線を並べた表

1つ目の割合は、制度で定められています。具体的な割合と数え方は所轄の運輸支局に確かめてください。「補助者がいるから運行管理者は来なくてよい」ではありません。

選任の手続き

補助者は、事業者が選任します。運行管理者とは手続きが違います。

押さえるのは4つです。

1つ目は、運行管理者は届出が要ることです。選任と解任のたびに、所轄の運輸支局へ届け出ます。

2つ目は、補助者は届出の扱いが異なることです。選任したことを事業所の中で明確にしておく必要があります。扱いは所轄の運輸支局に確かめてください。

3つ目は、記録に残すことです。誰をいつ選任したか。資格者証か基礎講習の修了証の写しを保管します。

4つ目は、掲示することです。点呼を行う場所に、誰が行えるかを掲示しておくと、当日に迷いません。

手続きの4つ1運行管理者選任と解任を届け出る2補助者事業者が選任する3記録資格の写しを保管4掲示誰が行えるかを貼る
運行管理者の届出・補助者の選任・記録・掲示という4つの手続きを並べたフロー
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3つ目が抜けやすい部分です。「あの人は講習を受けている」と口で言えても、修了証の写しが無いと示せません。採用のときと、講習を受けたときに、その場で写しを取る運用にしてください。

1人しかいない事業所での回し方

運行管理者が1人しかいない事業所では、24時間その人が点呼をすることはできません。

考えるのは4つです。

1つ目は、補助者を作ることです。基礎講習を受けてもらいます。いちばん確実な方法です。

2つ目は、点呼の時間帯をまとめることです。出庫の時刻を寄せられないか。

3つ目は、IT点呼や遠隔点呼です。営業所が複数ある場合に使えます。

4つ目は、運行の形を変えることです。深夜の出庫を減らせないか。

1人しかいないときの4つ補助者を作る基礎講習を受けてもらう時間帯をまとめる出庫の時刻を寄せるIT点呼と遠隔点呼営業所が複数なら運行の形深夜の出庫を減らす
補助者・時間帯をまとめる・IT点呼と遠隔点呼・運行の形という4つの選択肢を並べた層の図

1つ目から検討してください。基礎講習は受講すれば修了できます。点呼を回せる人が2人になるだけで、事業所の運営がまったく変わります。受講の費用と日程は、講習実施機関に確かめてください。

指摘されやすい形

巡回指導では、点呼を行った人について確かめられます。

指摘されやすいのは4つです。

1つ目は、資格の無い人が行っている場合です。記録の署名が、資格者でない人の名前になっている。

2つ目は、記録だけ後から書いている場合です。実際には点呼をしていないのに、記録が埋まっている。

3つ目は、補助者の割合が多すぎる場合です。運行管理者が行った回数が少なすぎる。

4つ目は、選任の記録が無い場合です。補助者として選任した記録も、修了証の写しも無い。

指摘されやすい4つ指摘中身無資格署名が資格者でない後書き実施せずに記録がある補助者の割合運行管理者の回数が少ない選任の記録修了証の写しが無い
無資格・後書き・補助者の割合・選任の記録という4つの指摘を並べた表

2つ目がいちばん重い扱いになります。記録が実態と違うことは、帳簿の信用そのものを疑われます。できていないなら、できていないと分かる形で残すほうがはるかに軽く済みます。

点呼の要領書を作る

誰が行うかを決めたら、やり方を書面にします。人が替わっても同じ点呼になります。

書くのは4つです。

1つ目は、行う人です。運行管理者と補助者の氏名。時間帯ごとの担当。

2つ目は、確認する項目です。乗務前、乗務後、中間。それぞれ何を確認するか。

3つ目は、異常を認めたときの流れです。誰に報告し、誰が判断するか。

4つ目は、記録の書き方です。どの欄に何を書くか。

3つ目を具体的に書いてください。補助者が異常を認めたとき、運行管理者に連絡がつかない時間帯があります。そのときにどうするかまで決めておかないと、現場が押し切ることになります。

交代と引き継ぎ

点呼を行う人が交代するとき、引き継ぎが要ります。

引き継ぐのは4つです。

1つ目は、その日の運行の状況です。遅れ、変更、体調の気になる運転者。

2つ目は、前の時間帯で出た異常です。報告した内容と、その後の対応。

3つ目は、機器の状態です。アルコール検知器が正常か、記録の端末が動くか。

4つ目は、未記入の記録です。書きかけの欄を残さないこと。

2つ目を口頭だけで済ませないでください。「あの運転者は体調が気になる」という情報は、次の日の点呼にも効きます。記録の備考欄に一言残す形にすると、交代しても引き継がれます。

人を増やすときの考え方

事業が大きくなると、点呼を回す人の数が足りなくなります。計画的に増やします。

考えるのは4つです。

1つ目は、いま何人で回しているかです。時間帯ごとに、誰が行っているか。

2つ目は、休みと欠勤への備えです。1人休んだら回らない状態になっていないか。

3つ目は、資格を取る順番です。基礎講習を先に、試験はそのあと。

4つ目は、費用と時間です。講習の費用と、受講のあいだの人の手当て。

2つ目を確かめてください。運行管理者1人と補助者1人という体制は、どちらかが休むと崩れます。余裕を持って3人にしておくと、急な欠勤でも回ります。

点呼の時間を確保する

点呼を行える人がいても、時間が取れなければ形だけになります。時間の確保も体制の一部です。

考えるのは4つです。

1つ目は、1回にかかる時間です。確認の項目を全部やると、1人あたり数分かかります。5台が同時に出るなら、それだけの時間が要ります。

2つ目は、出庫の時刻の分散です。同じ時刻に集中していると、点呼が流れ作業になります。5分か10分ずらすだけで変わります。

3つ目は、点呼を行う場所です。事務所の入口で立ち話になっていないか。顔色を見て、受け答えを聞ける場所が要ります。

4つ目は、点呼の担当が他の仕事を持っていないかです。電話を受けながら点呼をしている状態では、確認が雑になります。

2つ目がいちばん手を付けやすい部分です。配車の段階で出庫時刻を少しずらすだけで、1人あたりにかけられる時間が増えます。人を増やさずに質を上げられる方法です。

記録に残す署名の扱い

点呼記録簿の署名は、実際に行った人の名前にします。

押さえるのは4つです。

1つ目は、行った人が書くことです。あとから別の人が書く形にしない。

2つ目は、印だけにしないことです。判を押すだけだと、誰が押したか分かりません。

3つ目は、補助者が行った場合も、その人の名前にすることです。運行管理者の名前にしてはいけません。

4つ目は、運行管理者の確認の欄を別に作ることです。補助者が行った点呼を、運行管理者があとで確かめた記録は、別の欄に残します。

3つ目を取り違えている事業所があります。「責任は運行管理者だから」と、行っていない人の名前を書く形です。実際に行った人の名前でないと、記録が実態と違うことになります。

まとめ

点呼を行えるのは、運行管理者と、選任された補助者だけです。

  • 資格の無い人が行った点呼は、点呼を行っていないことになる
  • 補助者になるには、運行管理者の資格者証か基礎講習の修了が要る。選任も必要
  • 補助者には割合の制限があり、乗務の可否の最終的な判断は運行管理者が行う
  • 選任の記録と、資格者証か修了証の写しを保管する
  • 1人しかいない事業所は、基礎講習で補助者を作るのがいちばん確実

選任の要件と補助者の扱いは事業の種類と規模で変わります。自分の事業所に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。

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点呼の要領書と有資格者の一覧をまとめて整えるなら、商い屋の様式が近道です。

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よくある質問

Q. 事務員が点呼をしてもよいですか。 A. 運行管理者の資格者証を持っているか、基礎講習を修了して補助者として選任されていれば行えます。それ以外の人は行えません。基礎講習の受講から始めてください。

Q. 基礎講習はどこで受けられますか。 A. 国土交通大臣が認定する講習実施機関が行っています。日程と費用は機関によって違います。申し込みが混む時期があるので、早めに確かめてください。

Q. 補助者は何人まで選任できますか。 A. 人数の上限が定められているわけではありませんが、点呼の総回数に対する割合の制限があります。全部を補助者に任せることはできません。所轄の運輸支局に確かめてください。

Q. 補助者が異常を認めたら、どうしますか。 A. 運行管理者に報告します。乗務させてよいかどうかの最終的な判断は運行管理者が行います。連絡がつかない時間帯の手順も、要領書に書いておいてください。

Q. 社長が運行管理者を兼ねてもよいですか。 A. 資格者証を持ち、選任されていれば行えます。ただし実際に点呼を行える時間にいるかが問われます。名前だけの選任は、巡回指導で指摘されます。

Q. 点呼の記録は、行った人が書きますか。 A. 行った人が書きます。あとから別の人がまとめて書く形は避けてください。実態と違う記録は、帳簿の信用そのものを疑われます。

Q. 運行管理者が休んだ日は、どうしますか。 A. 補助者が行います。ただし割合の制限があるので、運行管理者が行う回数を確保できる形にしてください。1人と1人の体制は、どちらかが休むと崩れます。

Q. 補助者の選任は、届け出ますか。 A. 運行管理者の選任と解任は届出が要ります。補助者の扱いは異なるので、所轄の運輸支局に確かめてください。いずれにしても、事業所の中で記録に残してください。

Q. 資格者証の写しは、どこに保管しますか。 A. 運行管理の書類と一緒に、事業所で保管してください。採用のときと講習を受けたときに、その場で写しを取る運用にすると抜けません。

Q. 点呼を行う人を、掲示する必要がありますか。 A. 掲示の義務として定められているものではありませんが、点呼を行う場所に貼っておくと当日に迷いません。時間帯ごとの担当まで書いておくと確実です。

Q. 巡回指導で何を見られますか。 A. 記録の署名の人が資格を持っているか、補助者の割合、選任の記録、修了証の写し。「あの人は講習を受けている」と口で言っても、写しが無ければ示せません。

Q. 人を増やしたいのですが、費用がかかります。 A. 基礎講習の費用と、受講のあいだの人の手当てがかかります。1人休んだら回らない状態のほうが、結果として高くつきます。3人体制にしておくと、急な欠勤でも回ります。

Q. 運行管理者の資格者証は、どのくらいで取れますか。 A. 試験は年に複数回行われています。受験には実務の経験か基礎講習の修了が求められます。まず基礎講習を受けて補助者になり、そのあと試験を受ける流れが現実的です。

Q. 出庫が同じ時刻に集中しています。 A. 配車の段階で5分か10分ずらせないかを見てください。人を増やさずに、1人あたりにかけられる時間を増やせます。点呼が流れ作業になる原因の多くは、時刻の集中です。

Q. 補助者が行った点呼の署名は、誰の名前にしますか。 A. 実際に行った補助者の名前です。運行管理者の名前にしてはいけません。運行管理者があとで確認した記録は、別の欄に残してください。

Q. 点呼の場所に決まりはありますか。 A. 場所そのものの決まりより、顔色を見て受け答えを聞ける環境かが問われます。立ち話で済ませず、明るい場所で、他の作業をしながらにならない形にしてください。

Q. 運行管理者が複数いる場合、誰が点呼をしますか。 A. どの運行管理者でも行えます。時間帯ごとに担当を決めて掲示しておくと、当日に迷いません。休みのときの代わりも、あわせて決めておいてください。

Q. 点呼を行う人の教育は必要ですか。 A. 資格を取ったあとも、確認の項目や制度は変わります。運行管理者の一般講習を受ける機会に、補助者にも内容を伝える形にしている事業所があります。