中間点呼とは?泊まりの運行で要る3つの確認
目次
出庫のときと帰庫のときには点呼をしている。ところが泊まりの運行では、その間が何日も空きます。乗務の途中で営業所に戻らない運行では、中間点呼が求められています。電話で済ませられる点呼ですが、記録の残し方でつまずく事業所が多くあります。
この記事では、中間点呼を、要る場面、確認する3つ、やり方と記録、巡回指導で見られるところ、忘れないための仕組みの順に整理します。適用される範囲は事業の種類と運行の形で変わります。自分の事業所に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。
結論:泊まりの運行で、乗務の途中に1回入れる点呼
中間点呼は、乗務の途中で行う点呼です。出庫のときの乗務前点呼と、帰庫のときの乗務後点呼だけでは足りない運行のために置かれています。
要るのは、次の条件がそろったときです。
1つ目は、乗務の途中に営業所を離れている場合です。泊まりの運行、長距離の運行。
2つ目は、対面での点呼ができない場合です。運転者が営業所にいないので、対面ではできません。
3つ目は、乗務前と乗務後のどちらの点呼も対面でできない乗務がある場合です。この条件にあたる乗務について、少なくとも1回、電話などで点呼を行うこととされています。
日帰りの運行では要りません。出庫と帰庫が同じ日で、どちらも対面でできるなら、中間点呼の出番はありません。自分の事業所の運行に、該当する形があるかどうかを先に確かめてください。
確認する3つ
中間点呼で確認するのは、乗務前や乗務後の点呼とは少し違います。
1つ目は、酒気帯びの有無です。アルコール検知器を使い、運転者が携行した検知器で測った結果を確かめます。
2つ目は、疾病・疲労・睡眠不足などの状況です。乗務を続けられる状態かどうか。
3つ目は、道路や運行の状況です。渋滞、天候、事故の有無。このあとの運行に関わる情報を伝えます。
3つ目は、営業所から運転者へ伝える内容です。点呼は一方的に確認するだけではなく、必要な指示を与える場でもあります。天候の急変や規制の情報は、ここで伝えます。
やり方
中間点呼は、電話その他の方法で行います。対面である必要はありません。
押さえるのは4つです。
1つ目は、行う人です。運行管理者か、選任された補助者が行います。
2つ目は、時刻です。乗務の途中であること。出庫の直後や帰庫の直前では、中間点呼の意味がありません。
3つ目は、アルコール検知器です。運転者が検知器を携行し、その結果を報告する形になります。
4つ目は、記録することです。行った時刻、相手、確認した内容、指示した内容。
2つ目が実務でずれます。運転者が寝ている時間を避けようとして、出庫の直後にかけてしまう形です。運行の日数と時間帯から、どのタイミングで行うかを先に決めておくと、ずれません。
記録に残すこと
点呼記録簿には、中間点呼の欄を設けます。乗務前と乗務後の欄だけでは書けません。
書くのは5つです。
1つ目は、点呼の日時です。日付と時刻。
2つ目は、点呼の方法です。電話か、それ以外か。
3つ目は、酒気帯びの有無と検知器の使用です。
4つ目は、健康状態と疲労の状況です。
5つ目は、指示した内容です。
様式に中間点呼の欄が無い事業所があります。乗務前と乗務後の2列しかない様式だと、書く場所がありません。中間点呼のある運行を持っているなら、様式に欄を足してください。
巡回指導で見られるところ
中間点呼は、巡回指導でよく指摘が出る項目です。
見られるのは4つです。
1つ目は、該当する運行で実施しているかです。泊まりの運行がある事業所で、中間点呼の記録が1件も無いと指摘されます。
2つ目は、記録の中身です。時刻、方法、確認した内容。
3つ目は、行った人です。運行管理者か補助者か。資格の無い人が行っていると指摘されます。
4つ目は、アルコール検知器の使用です。携行の有無と、結果の記録。
1つ目が最多です。「泊まりの運行はあるが、中間点呼はやっていない」という状態が、いちばん多く見つかります。運行の形を洗い出して、該当するものがあるかを確かめてください。
忘れないための仕組み
中間点呼は、泊まりの運行のときだけ必要になります。だから忘れます。
仕組みは4つです。
1つ目は、運行指示書とセットにすることです。中間点呼が要る運行では、指示書にその旨を書きます。指示書を作る人が気づける形にします。
2つ目は、配車の段階で印を付けることです。泊まりの運行に印を付け、点呼を行う担当が分かるようにします。
3つ目は、時刻を決めておくことです。「翌朝6時に電話」と決めておけば、双方が待ちません。
4つ目は、記録の様式に欄を用意することです。欄があれば、埋めようとします。
1つ目がいちばん効きます。運行指示書を作るのは、その運行を組んだ人です。その人が「中間点呼あり」と書けば、点呼の担当も運転者も分かります。
運行指示書との関係
中間点呼が必要になる運行は、運行指示書も必要になる運行と重なることが多くあります。
重なるのは3つです。
1つ目は、泊まりの運行であることです。乗務前と乗務後の点呼のいずれも対面でできない運行では、運行指示書の作成が求められます。
2つ目は、運転者が携行することです。指示書は運転者が持って運行します。
3つ目は、変更があったときの記録です。運行の途中で内容が変わったら、指示書にも記録します。中間点呼のときに変更を伝えたなら、両方に残ります。
2つの書類を別々に考えないでください。同じ運行について、営業所側と運転者側の記録になります。中間点呼で伝えた指示が、指示書の変更の欄に書かれている形が自然です。
対面の点呼との違いを知っておく
中間点呼は、対面の点呼の代わりではありません。目的が少し違います。
違うのは3つです。
1つ目は、確認できることの範囲です。電話では、顔色や足取りは見えません。声と受け答えで判断することになります。
2つ目は、その場で止められないことです。離れているので、その場で乗務を交代させることはできません。どう対応するかを決めておく必要があります。
3つ目は、記録の書き方です。対面でないことが分かる形で残します。
2つ目への備えが要ります。中間点呼で「体調が悪い」と分かったとき、どうするか。休ませる、代わりの運転者を手配する、運行を変更する。選択肢を先に決めておかないと、その場で押し切ることになります。
該当する運行を洗い出す
中間点呼が要るかどうかは、運行の形で決まります。まず洗い出します。
見るのは4つです。
1つ目は、泊まりの運行があるかです。日をまたぐ運行、車中泊を伴う運行。
2つ目は、出庫と帰庫の場所です。営業所を出て、営業所に戻るまでに何日かかるか。
3つ目は、乗務前と乗務後の点呼の方法です。どちらも対面でできない乗務があるか。
4つ目は、運行の頻度です。毎日あるのか、月に数回なのか。
4つ目で対応の形が変わります。毎日ある事業所なら、点呼の時刻と担当を固定します。月に数回なら、その運行が入った時点で担当を決める流れにします。頻度が低いほど忘れやすいので、配車の段階で印を付ける仕組みが効きます。
運転者への伝え方
中間点呼は、運転者の協力が要ります。何のためにやるかを伝えておきます。
伝えるのは4つです。
1つ目は、時刻です。いつ電話が来るか。寝ている時間にかかると、関係が悪くなります。
2つ目は、検知器を携行することです。出発の前に、動くかどうかを確かめます。
3つ目は、体調が悪いときは正直に言ってよいことです。言ったら責められる、という空気があると、正しい答えが返ってきません。
4つ目は、道路や天候の情報を伝える場でもあることです。一方的に確認されるだけではないと分かると、受け止め方が変わります。
3つ目がいちばん大事です。中間点呼は、運行を止める判断ができる最後の機会になることがあります。正直に言える関係を作っておかないと、確認の形だけが残ります。
記録の書き方をそろえる
中間点呼の記録は、書く人によって中身が変わりやすい項目です。書き方をそろえます。
そろえるのは4つです。
1つ目は、確認した言葉をそのまま書くことです。「異常なし」だけでなく、運転者が何と答えたかを短く書きます。「昨夜7時間眠れた」「腰が少し痛いが運転に支障なし」。
2つ目は、数値を書くことです。アルコールの測定値、睡眠の時間。印だけでは、あとから状況が分かりません。
3つ目は、指示した内容を書くことです。「雪のため◯◯インターで一般道へ」。伝えたことが残ります。
4つ目は、書く欄を決めておくことです。自由記入の欄が1つだけだと、人によって書く量が変わります。
1つ目を入れるだけで、記録の質が変わります。「異常なし」が並ぶ記録は、確認したのか、書いただけなのかが区別できません。一言でも運転者の言葉が入っていれば、確認したことが伝わります。
まとめ
中間点呼は、乗務の途中で営業所に戻らない運行のために置かれた点呼です。
- 乗務前と乗務後の点呼のいずれも対面でできない乗務について、少なくとも1回行う
- 確認するのは、酒気帯びの有無、健康と疲労の状況、道路と運行の状況の3つ
- 電話などで行い、運行管理者か補助者が行う。運転者は検知器を携行する
- 点呼記録簿に中間点呼の欄を作る。乗務前と乗務後の2列しかない様式では書けない
- 巡回指導では「泊まりの運行があるのに記録が無い」がいちばん多い指摘
適用される範囲は事業の種類と運行の形で変わります。自分の事業所に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。
よくある質問
Q. 日帰りの運行でも中間点呼は要りますか。 A. 乗務前と乗務後の点呼が対面でできるなら、中間点呼の出番はありません。自分の事業所の運行に該当する形があるかを確かめてください。判断に迷うものは所轄の運輸支局に確かめます。
Q. 電話でよいのですか。 A. 電話その他の方法で行うこととされています。対面である必要はありません。ただし記録は残します。時刻、方法、確認した内容、指示した内容を書いてください。
Q. 運転者はアルコール検知器を持っていく必要がありますか。 A. 中間点呼でも酒気帯びの有無を確認するため、運転者が検知器を携行する形になります。携行用の検知器が動くかを、出発の前に確かめてください。電池切れが起きます。
Q. 誰が行いますか。 A. 運行管理者か、選任された補助者です。資格の無い人が行っていると、巡回指導で指摘されます。夜間や早朝に行うことになるので、担当の割り振りを先に決めてください。
Q. 何日かかる運行では、何回行いますか。 A. 少なくとも1回とされていますが、運行の日数によっては複数回行うほうが安全です。運行の形ごとに、何回行うかを事業所で決めておいてください。
Q. 記録の様式に中間点呼の欄がありません。 A. 欄を足してください。乗務前と乗務後の2列しかない様式では書けません。様式を変えたら、いつから変えたかを記録に残しておいてください。
Q. 点呼の時刻は、いつがよいですか。 A. 乗務の途中であることが前提です。出庫の直後や帰庫の直前では意味がありません。運行の日数と時間帯から、事業所で時刻を決めておくと、双方が待ちません。
Q. 中間点呼で体調が悪いと分かったら、どうしますか。 A. 休ませる、代わりの運転者を手配する、運行を変更する。選択肢を先に決めておいてください。その場で決めようとすると、運行を優先する判断になりがちです。
Q. 遠隔点呼やIT点呼とは違うものですか。 A. 別のものです。遠隔点呼やIT点呼は、機器を使って対面と同等とみなす仕組みです。中間点呼は、乗務の途中に行う点呼で、電話などで行います。併用する場合の扱いは、所轄の運輸支局に確かめてください。
Q. 運行指示書も必要になりますか。 A. 乗務前と乗務後の点呼のいずれも対面でできない運行では、運行指示書の作成が求められます。中間点呼が要る運行と重なることが多くあります。両方をセットで用意してください。
Q. 記録は何年保存しますか。 A. 点呼記録簿の保存期間に従います。1年間とされています。中間点呼の記録も同じ簿冊に綴じて、まとめて保存してください。
Q. 巡回指導で、中間点呼のどこを見られますか。 A. 該当する運行で実施しているか、記録の中身、行った人、検知器の使用の4つです。泊まりの運行があるのに記録が1件も無い状態が、いちばん多く見つかる形です。
Q. 運転者が電話に出ませんでした。 A. かけた時刻と、出なかったことを記録に残してください。そのままにしないことです。時間を置いてかけ直し、つながった時点で点呼を行います。つながらない状態が続く場合の手順も決めておいてください。
Q. 点呼の時刻を運転者に合わせて変えてよいですか。 A. 構いません。運行の実態に合った時刻にするほうが、点呼として機能します。ただし変えたことを記録に残し、事業所の中で共有してください。
Q. 記録に「異常なし」とだけ書いてもよいですか。 A. 書けますが、確認したことが伝わりにくくなります。運転者が答えた言葉を一言入れてください。睡眠の時間や体調の様子が書かれていると、あとから経過をたどれます。
Q. 中間点呼の担当を、運転者と同じ人が兼ねてよいですか。 A. 点呼を行うのは運行管理者か補助者です。運転者が自分で自分に点呼をすることはできません。1人で回している事業所では、補助者の選任を検討してください。