点呼の不備で多い8つ|巡回指導で見られる順に
目次
巡回指導で指摘がいちばん多く出るのは点呼です。やっていないのではなく、記録が要件を満たしていないという形がほとんどです。どこを見られるかが分かっていれば、その場で直せるものも多くあります。
この記事では、点呼の不備を、多い順の8つ、それぞれの直し方、記録の様式で防げること、指摘を受けたあとの動き、前日までにできる確認の順に整理します。指導の項目と評価の基準は制度の見直しで変わります。最新の扱いは所轄の運輸支局とトラック協会などの指導の実施機関に確認してください。
結論:多いのは「記録の書き方」で、やっていないことではない
点呼の不備は、大きく3つに分かれます。
1つ目は、実施していない場合です。該当する運行で点呼を行っていない。いちばん重い形です。
2つ目は、実施しているが記録が足りない場合です。項目が空欄、署名が無い、時刻が入っていない。いちばん件数が多い形です。
3つ目は、実施した人が要件を満たしていない場合です。資格の無い人が行っている。
2つ目のほとんどは、様式と習慣で防げます。欄があれば埋めようとし、欄が無ければ書けません。指摘を受けてから直すのではなく、様式を先に整えてください。
多い8つ
指摘として挙がりやすいものを、よく見る順に並べます。
1つ目は、酒気帯びの確認の記録が無いことです。検知器を使ったことと、その結果。
2つ目は、点呼の時刻が入っていないことです。何時に行ったか。
3つ目は、点呼を行った人の名前が無いことです。署名か記名。
4つ目は、指示した内容が空欄のことです。「特になし」でも書きます。
5つ目は、中間点呼を行っていないことです。泊まりの運行があるのに記録が無い。
6つ目は、運行の状況の確認が無いことです。道路、天候、荷物。
7つ目は、日付が飛んでいることです。運行した日の記録が無い。
8つ目は、実際と記録が合わないことです。運転日報の出庫時刻と、点呼の時刻が矛盾している。
8つ目がいちばん重い扱いになります。記録の信用そのものを疑われます。他の書類と突き合わせて矛盾が出る形は、直すのに時間がかかります。
酒気帯びの確認をどう残すか
いちばん多い指摘です。書き方が決まっていない事業所が多くあります。
残すのは4つです。
1つ目は、検知器を使ったことです。目視だけでは足りません。
2つ目は、測定の結果です。数値か、「検出なし」。
3つ目は、検知器の番号か種類です。複数ある事業所では、どれを使ったかが分かる形に。
4つ目は、対面か否かです。遠隔や電話の場合は、その旨。
2つ目を印だけにしている事業所があります。「○」だけでは、測ったのか聞いただけなのかが分かりません。数値か「検出なし」の文字を書く欄にしてください。
様式で防げること
不備の多くは、様式を直すだけで減ります。
直すのは4つです。
1つ目は、欄を増やすことです。時刻、実施者、検知器、中間点呼。書く場所が無いものは書かれません。
2つ目は、選択式にすることです。丸を付けるだけの形にすると、空欄が減ります。
3つ目は、必須の欄を目立たせることです。枠を太くする、色を変える。
4つ目は、1日1枚か1人1行かを決めることです。運行の形に合うほうを選びます。
1つ目で大半が解決します。指摘を受けた項目の欄が、そもそも様式に無かった、という事業所は珍しくありません。指摘の一覧と様式を並べて見てください。
指摘を受けたあとの動き
巡回指導で指摘を受けたら、改善の報告を求められます。
動きは4段です。
1つ目は、指摘の中身を分けることです。様式で直るもの、習慣で直るもの、体制が要るもの。
2つ目は、すぐ直せるものを直すことです。様式の変更はその日にできます。
3つ目は、改善の報告を出すことです。期限までに、何をどう直したかを書きます。
4つ目は、続いているかを確かめることです。1か月後に記録を見返します。
4つ目を飛ばす事業所が多くあります。報告を出した時点で終わりにすると、3か月後には元に戻ります。月に1回、記録を数枚抜き出して見る習慣にしてください。
前日までにできる確認
巡回指導の日程が分かったら、自分で先に見ておきます。
見るのは4つです。
1つ目は、直近3か月の記録です。全部ではなく、抜き出して見ます。
2つ目は、空欄の有無です。どの項目が空きやすいか。
3つ目は、運転日報との突き合わせです。時刻が合っているか。
4つ目は、泊まりの運行の中間点呼です。該当する運行を洗い出して、記録があるか。
3つ目と4つ目で見つかるものは、当日には直せません。だから先に見ます。見つけたら、直したことと再発を防ぐ手を書いた紙を用意しておくと、当日の説明が変わります。
日々の運用で防ぐ
様式を整えても、毎日の運用がずれると不備は出ます。
決めるのは4つです。
1つ目は、記録を書くタイミングです。点呼をしながら書く。あとでまとめて書かない。
2つ目は、確認する人です。その日の記録を、翌日に別の人が見る形にすると、空欄に気づけます。
3つ目は、空欄を残さない決めごとです。「該当なし」と書く。斜線を引く。
4つ目は、月末の点検です。1か月分を見返して、抜けを探します。
2つ目がいちばん効きます。書いた本人は空欄に気づきません。別の人が翌日に目を通すだけで、その月のうちに直せます。
記録が実態と合わない形を作らない
いちばん重い指摘は、記録が実態と違うことです。
避けるのは4つです。
1つ目は、あとからまとめて書かないことです。
2つ目は、行っていない人の名前を書かないことです。
3つ目は、やっていない日の記録を作らないことです。
4つ目は、できなかったことを書けるようにすることです。「できなかった」と書ける空気が無いと、埋める方向に力が働きます。
4つ目を作るのは、経営の側の仕事です。空欄や「未実施」があると叱られる、という運用にすると、必ず嘘の記録が生まれます。未実施の理由を書く欄を作って、責めない形にしてください。
指摘の重さを知っておく
点呼の不備といっても、重さが違います。どれから直すかを決める材料になります。
分かれるのは4つです。
1つ目は、記録の書き方の不備です。空欄、様式の不足。直しやすく、指摘の件数はいちばん多い形です。
2つ目は、実施の頻度の不足です。中間点呼をやっていない、補助者の割合が多すぎる。体制を変える必要があります。
3つ目は、実施者の要件の不備です。資格の無い人が行っている。
4つ目は、記録が実態と違う場合です。やっていないのに記録がある。いちばん重い扱いになります。
4つ目に近づかないことが、いちばん大事です。1つ目から3つ目は、指摘を受けて直せば済みます。4つ目は、記録全体の信用を落とします。できていないことを、できていると書かないでください。
3か月に1回、自分で見る
巡回指導の前だけ見ても、その場しのぎになります。3か月に1回、自分で見る習慣にします。
見る手順は4つです。
1つ目は、無作為に10日分を抜き出すことです。全部は見ません。月の初め、半ば、終わりから3日ずつ選ぶと偏りません。
2つ目は、空欄を数えることです。どの項目が空きやすいか。項目ごとに数えると、直す場所が決まります。
3つ目は、運転日報と突き合わせることです。出庫と帰庫の時刻が合っているか。1日分だけでも確かめます。
4つ目は、結果を1枚にすることです。見た日、抜き出した範囲、見つかったこと、直したこと。
4つ目を残しておくと、巡回指導のときに示せます。「自分たちで定期的に見ています」という事実は、指摘の受け止め方を変えます。用紙1枚で足ります。
点呼以外の指摘とまとめて見る
巡回指導では、点呼以外の項目も見られます。点呼だけを直しても、全体の評価は上がりません。
まとめて見るのは4つです。
1つ目は、運転者の記録です。運転者台帳、適性診断の受診、指導と監督の記録。
2つ目は、車両の記録です。日常点検、定期点検、整備管理者の選任。
3つ目は、労働時間の記録です。拘束時間、休息期間、時間外の管理。
4つ目は、事業の記録です。事業報告書、運行管理規程、運送約款の掲示。
4つとも、様式と期限の管理でつながっています。点呼の不備を直すときに様式を見直すなら、同じ機会に他の帳票も並べて見てください。欄の不足や期限の管理の抜けは、同じ原因で起きています。
直したことが続いているかを見る
改善の報告を出したあと、3か月後に同じ状態に戻ることがよくあります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、様式が新しいものに替わっているかです。古い様式が残っていて、両方が混ざることがあります。
2つ目は、新しく入った人が知っているかです。担当が替わると、決めごとが伝わりません。
3つ目は、忙しい時期でも守られているかです。繁忙期に崩れる形がいちばん多くあります。
4つ目は、決めた確認が続いているかです。翌日に別の人が見る、月末に見返す。
3つ目を意識して見てください。普段は守られていても、年末や月末の忙しい時期だけ空欄が増えるという形が起きます。忙しい日の記録を抜き出して見ると、崩れる場面が分かります。
まとめ
点呼の不備は、やっていないことより、記録の書き方で出ます。
- 多いのは、酒気帯びの記録、時刻、実施者の名前、指示した内容の4つ
- 中間点呼の未実施と、運転日報との矛盾は、当日には直せない
- 欄が無い項目は書かれない。指摘の一覧と様式を並べて見る
- 翌日に別の人が記録を見る形にすると、空欄に気づける
- 「できなかった」と書ける空気が無いと、嘘の記録が生まれる
指導の項目と評価の基準は制度の見直しで変わります。最新の扱いは所轄の運輸支局と、指導の実施機関に確認してください。
よくある質問
Q. 巡回指導はどのくらいの頻度で来ますか。 A. 事業所の評価や前回からの期間によって変わります。所轄の運輸支局や、指導を行う機関に確かめてください。日程が分かったら、直近3か月の記録を自分で先に見ておきます。
Q. 指摘された項目を、当日に直せますか。 A. 様式の変更はその日にできます。過去の記録の空欄は直せません。さかのぼって埋めることは、記録の改ざんにあたります。やらないでください。
Q. 空欄はどう扱えばよいですか。 A. 「該当なし」と書くか、斜線を引いてください。空欄のままだと、書き忘れなのか該当が無いのか分かりません。
Q. 酒気帯びの記録に数値を書く必要がありますか。 A. 検知器を使ったことと結果が分かる形にします。「○」だけでは、測ったのか聞いただけなのか分かりません。数値か「検出なし」の文字を書く欄にしてください。
Q. 運転日報と点呼の時刻が合っていません。 A. どちらかが実態と違っています。まずどちらが正しいかを確かめてください。書く人と書くタイミングを決め直すことで防げます。さかのぼって直さないでください。
Q. 泊まりの運行があるのに、中間点呼の記録がありません。 A. 該当する運行を洗い出して、今日から実施してください。過去の分は作れません。指摘を受けたときは、いつから始めたかを含めて報告します。
Q. 記録を月末にまとめて書いています。 A. 点呼をしながら書く形に変えてください。まとめて書いた記録は、実態と合わない形になります。その場で書けない理由があるなら、様式か体制のほうを直します。
Q. 未実施があると叱られるので、埋めてしまいます。 A. その運用が嘘の記録を作ります。未実施の理由を書く欄を作り、責めない形にしてください。埋めた記録は、あとで矛盾として必ず出てきます。
Q. 改善の報告は、何を書きますか。 A. 何をどう直したかと、再発を防ぐ手です。「注意します」ではなく、様式を変えた、担当を決めた、確認の仕組みを作ったという事実を書いてください。
Q. 指摘が多いと、どうなりますか。 A. 評価が下がり、次の指導が早まることがあります。重い不備は行政処分につながることもあります。扱いは所轄の運輸支局に確かめてください。
Q. 自主点検はどのくらいの頻度でやりますか。 A. 月に1回、記録を数枚抜き出して見る形で足ります。全部を見る必要はありません。抜き出して空欄と矛盾を探すだけで、傾向が分かります。
Q. 様式を変えると、前の記録と揃わなくなりませんか。 A. 揃わなくて構いません。変えた日を記録に残して、その日から新しい様式にしてください。前の分をさかのぼって書き直さないでください。
Q. 自主点検の結果は、記録に残す必要がありますか。 A. 義務として定められているものではありませんが、残しておくと巡回指導のときに示せます。見た日、抜き出した範囲、見つかったこと、直したこと。1枚で足ります。
Q. 抜き出す日は、どう選びますか。 A. 月の初め、半ば、終わりから3日ずつ選ぶと偏りません。忙しい日を意図的に入れると、崩れやすい場面が見つかります。
Q. 点呼以外はどこを見られますか。 A. 運転者の記録、車両の記録、労働時間の記録、事業の記録です。点呼だけを直しても、全体の評価は上がりません。様式を見直す機会に、他の帳票も並べて見てください。
Q. 指摘の件数を減らすには、何から手を付けますか。 A. 様式で直るものからです。欄を足す、選択式にする。その日にできて、件数がいちばん減ります。体制が要るものは、そのあとで計画を立てます。