労働時間実務2026.09.01 公開RJ-10

荷役作業の時間を記録する|書く項目と使い方

目次

運転者が荷物を積んだり降ろしたりしている時間は、運転している時間と同じように拘束時間に入ります。ところが、この時間を記録していない事業所が多くあります。記録が無いと、拘束時間の管理もできず、運賃の交渉の材料にもなりません。

この記事では、荷役作業の時間を、記録が求められる場面書く項目荷待ちとの違い集計して使う方法荷主との話に持っていく形の順に整理します。記録が求められる範囲と条件は事業の形で変わります。自分の事業所に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。

荷待ち時間の記録の様式そのものを探している場合は、商い屋に運送業向けのものがそろっています。

結論:運転していない時間も、拘束時間に入る

運転者の拘束時間は、ハンドルを握っている時間だけではありません。

入るのは3つです。

1つ目は、運転している時間です。

2つ目は、荷待ちの時間です。荷物を積むか降ろすために待っている時間。

3つ目は、荷役の作業の時間です。積み込み、荷降ろし、仕分け、検品。

拘束時間の中身は3つ運転ハンドルを握っている時間荷待ち積み降ろしを待つ時間荷役作業積み込みと荷降ろし
運転・荷待ち・荷役作業という3つの拘束時間の中身を並べた層の図

2つ目と3つ目が記録されていないと、拘束時間の管理ができません。運転の時間だけ見て「収まっている」と思っていても、実際には超えていることがあります。記録から始めてください。

記録が求められる場面

一定の条件にあたる場合、荷待ちや荷役の時間を記録することが求められています。

押さえるのは4つです。

1つ目は、対象になる車両です。車両総重量や最大積載量の条件があります。

2つ目は、対象になる作業です。荷待ち、荷役、附帯の作業。

3つ目は、記録する内容です。発生した日時と場所、時間。

4つ目は、保存の期間です。定められた期間、保存します。

記録の4つの押さえどころ押さえること中身対象の車両総重量や積載量の条件対象の作業荷待ち・荷役・附帯記録の内容日時と場所と時間保存期間定められた期間
対象の車両・対象の作業・記録の内容・保存期間という4つの押さえどころを並べた表

条件や範囲は制度の見直しで変わります。自分の事業所が対象かどうかは、所轄の運輸支局に確かめてください。対象でなくても、記録を取る価値はあります。

書く項目

記録は、運転日報の中に欄を作る形が使いやすくなります。

書くのは5つです。

1つ目は、日付と運転者です。

2つ目は、場所です。荷主の名称と、現場の名前。

3つ目は、到着と出発の時刻です。

4つ目は、作業の内容です。荷待ちか、積み込みか、荷降ろしか、附帯の作業か。

5つ目は、作業の開始と終了の時刻です。

書く5つ荷役作業の記録日付日付と運転者場所荷主と現場名到着到着と出発内容荷待ちか荷役か作業開始と終了到着と作業開始を分ける分ければ荷待ちと荷役が分かれる
日付と運転者・場所・到着と出発・作業の内容・作業の時刻という5つの記載事項を並べた表

3つ目と5つ目を分けて書くことが大事です。到着してから作業が始まるまでが荷待ち、作業が始まってから終わるまでが荷役です。分けて書けば、どちらが長いかが分かります。

荷待ちと荷役を分ける

同じ「現場で止まっている時間」でも、中身が違います。

違うのは4つです。

1つ目は、何をしているかです。荷待ちは待っているだけ、荷役は作業しています。

2つ目は、責任の所在です。荷待ちは相手の都合で発生することが多く、荷役は誰がやるかの取り決めで決まります。

3つ目は、減らし方です。荷待ちは予約や時間の調整で減らせ、荷役は作業の分担を変えることで減らせます。

4つ目は、対価の考え方です。待機料と、荷役の作業の料金は別に立てられます。

荷待ちと荷役の4つの違い違い中身中身待つだけか作業しているか責任相手の都合か取り決めか減らし方予約の調整か分担の変更か対価待機料か作業の料金か
中身・責任・減らし方・対価という4つの違いを並べた表
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実際に使える様式が必要な方へ

荷待ち時間の記録と運転日報をまとめて整えるなら、商い屋の様式が近道です。

この様式をひらく

4つ目のために、記録を分けます。「現場で3時間かかりました」では交渉できません。「荷待ち2時間、荷役1時間」と分けて言えると、どちらの話をするかが決まります。

集計して使う

記録は、溜めて集計すると使えます。

集計するのは4つです。

1つ目は、荷主ごとの平均です。どの荷主の現場が長いか。

2つ目は、現場ごとの平均です。同じ荷主でも、現場によって違います。

3つ目は、時間帯による差です。朝いちばんと午後で違うことがあります。

4つ目は、運転者ごとの差です。同じ現場でも人によって違うなら、やり方に差があります。

1つ目と2つ目を月ごとに出してください。表にすると、どこを直せばいちばん効くかが一目で分かります。全部の現場を改善するのは無理でも、いちばん長い1か所から始められます。

荷主との話に持っていく

集計した数字は、荷主との話の材料になります。

持っていくのは4つです。

1つ目は、その現場の平均の時間です。月ごとの推移も添えます。

2つ目は、他の現場との比較です。「他社では30分です」。

3つ目は、影響です。待った分、次の運行が遅れる。拘束時間が超える。

4つ目は、提案です。時間を分けて予約する、フォークリフトを貸してもらう、着時刻を変える。

4つ目を必ず添えてください。「長いので何とかしてください」だけでは動きません。相手ができることを具体に示すと、話が進みます。予約の仕組みを入れるだけで解決することがあります。

拘束時間の管理に使う

荷役の時間は、改善基準告示で定められた拘束時間の一部です。

見るのは4つです。

1つ目は、1日の拘束時間です。運転、荷待ち、荷役を足した時間。

2つ目は、1か月の拘束時間です。

3つ目は、超えそうな運行の見つけ方です。荷役が長い現場を含む運行。

4つ目は、超えたときの記録です。理由と対応。

3つ目が配車で効きます。「この現場は平均2時間かかる」と分かっていれば、その日の他の運行を減らす判断ができます。当日に超えてから気づくのでは遅すぎます。

運転者に記録してもらう

記録を取るのは運転者です。負担が大きいと続きません。

工夫は4つです。

1つ目は、書く項目を絞ることです。到着、作業開始、作業終了、出発の4つの時刻。

2つ目は、運転日報の中に欄を作ることです。別の紙にしない。

3つ目は、選択式にすることです。作業の内容は丸で囲む形に。

4つ目は、何に使うかを伝えることです。運賃の交渉と、拘束時間の管理に使うと伝えると、書く意味が伝わります。

4つ目が続くかどうかを決めます。「書かされている」と感じていると、あとからまとめて書く形になります。記録を使って待機料が取れたという結果が出ると、書き方が変わります。

記録から改善の順番を決める

集計した数字は、どこから手を付けるかを決めるために使います。

決め方は4つです。

1つ目は、時間の長さです。平均がいちばん長い現場。

2つ目は、件数の多さです。時間は短くても、回数が多ければ合計は大きくなります。

3つ目は、直せそうかどうかです。相手が話を聞いてくれる関係か。

4つ目は、拘束時間への影響です。その現場のせいで超えている運行があるか。

改善の4つの優先の決め方決め方中身長さ平均がいちばん長い現場件数短くても回数が多い現場直しやすさ話を聞いてくれる関係か拘束時間そのせいで超える運行があるか
長さ・件数・直しやすさ・拘束時間への影響という4つの優先の決め方を並べた表

1つ目と2つ目を掛け算してください。「2時間 × 月4回」より「30分 × 月40回」のほうが合計は大きくなります。平均だけを見ると、回数の多い現場を見落とします。

荷主の側にも仕組みがある

荷待ちや荷役の負担については、荷主の側にも取り組みが求められる仕組みが整ってきています。

知っておくのは4つです。

1つ目は、荷主に対する要請や勧告の仕組みがあることです。

2つ目は、荷主の側でも計画や責任者を置く仕組みが進んでいることです。

3つ目は、相談できる窓口があることです。

4つ目は、制度が変わり続けていることです。

1つ目と3つ目を知っておくと、話し方が変わります。「お願いする」だけでなく、制度として双方が取り組む話として持っていけます。最新の扱いは、所轄の運輸支局や、トラック協会などの窓口に確かめてください。

記録の様式を運転日報と一体にする

荷役の記録を別の紙にすると、書かれません。運転日報の中に組み込みます。

組み込むのは4つです。

1つ目は、行を増やすことです。立ち寄り先ごとに1行。

2つ目は、時刻の欄を4つにすることです。到着、作業開始、作業終了、出発。

3つ目は、作業の内容を選択式にすることです。荷待ち、積み込み、荷降ろし、附帯。

4つ目は、備考の欄を1つ置くことです。待たされた理由など。

様式の4つの工夫工夫中身行を増やす立ち寄り先ごとに1行4つの時刻到着・開始・終了・出発選択式作業の内容は丸で囲む備考待たされた理由
行を増やす・4つの時刻・選択式・備考という4つの様式の工夫を並べた表

2つ目が核心です。時刻が2つ(到着と出発)しかないと、荷待ちと荷役が分かれません。4つにするだけで、集計できる記録になります。運転者の手間は、数字を2つ増やすだけです。

拘束時間の集計に組み込む

荷役の記録は、拘束時間の集計に直接つながります。別々に管理しないでください。

つなげるのは4つです。

1つ目は、1日の合計です。出庫から帰庫までの時間に、すべてが含まれます。

2つ目は、月の合計です。日ごとの拘束時間を足します。

3つ目は、超えそうな人の見つけ方です。月の半ばで、ペースを見ます。

4つ目は、次の月の配車への反映です。

3つ目を月の半ばにやってください。月末に気づいても、もう調整できません。15日の時点で月の合計を見て、超えそうな人の運行を減らす。この1回の確認で、月末の無理が消えます。

まとめ

荷役作業の時間は、運転していなくても拘束時間に入ります。

  • 拘束時間は、運転・荷待ち・荷役の3つを足したもの
  • 一定の条件にあたる場合、荷待ちや荷役の時間の記録が求められる
  • 到着と出発、作業の開始と終了を分けて書くと、荷待ちと荷役が分かれる
  • 荷主ごと現場ごとに集計すると、いちばん長い1か所が見える
  • 荷主には、数字と比較と提案をセットで持っていく

記録が求められる範囲と条件は事業の形で変わります。自分の事業所に何が適用されるかは、所轄の運輸支局に確認してください。

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実際に使える様式が必要な方へ

荷待ち時間の記録と運転日報をまとめて整えるなら、商い屋の様式が近道です。

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よくある質問

Q. 荷役の時間も拘束時間に入りますか。 A. 入ります。運転していない時間でも、事業者の指揮のもとにある時間は拘束時間です。運転の時間だけ見て「収まっている」と思っていても、実際には超えていることがあります。

Q. 記録はどの車両が対象ですか。 A. 車両総重量や最大積載量の条件があります。制度の見直しで変わることがあるので、所轄の運輸支局に確かめてください。対象でなくても、記録を取る価値はあります。

Q. 荷待ちと荷役は、分けて書く必要がありますか。 A. 分けてください。待機料と、荷役の作業の料金は別に立てられます。「現場で3時間」では交渉できませんが、「荷待ち2時間、荷役1時間」なら、どちらの話をするかが決まります。

Q. 運転者が書いてくれません。 A. 書く項目を絞り、運転日報の中に欄を作り、選択式にしてください。何に使うかを伝えることも大事です。記録を使って待機料が取れた結果が出ると、書き方が変わります。

Q. 集計は誰がやりますか。 A. 運行管理者か事務の担当です。月に1回、荷主ごと現場ごとの平均を出すだけで足ります。表にすると、どこを直せばいちばん効くかが一目で分かります。

Q. 荷主に何を持っていきますか。 A. その現場の平均の時間、他の現場との比較、影響、提案の4つです。提案を必ず添えてください。「長いので何とかしてください」だけでは動きません。

Q. 提案には何がありますか。 A. 時間を分けて予約する、フォークリフトを貸してもらう、着時刻を変える、荷役の分担を変える。相手ができることを具体に示すと話が進みます。

Q. 荷役を運転者がやるのは当たり前ですか。 A. 契約の内容によります。運送そのものと、荷役の作業は別として扱えます。誰が行うかを取り決めで決めて、運転者が行うなら対価の話をしてください。

Q. 記録は何年保存しますか。 A. 定められた期間です。所轄の運輸支局に確かめてください。集計した表は、交渉に使うために別に残しておくと役に立ちます。

Q. 拘束時間が超えそうなとき、どうしますか。 A. 配車の段階で気づけるようにしてください。「この現場は平均2時間かかる」と分かっていれば、その日の他の運行を減らせます。当日に超えてから気づくのでは遅すぎます。

Q. 同じ現場でも、運転者によって時間が違います。 A. やり方に差がある可能性があります。早い人のやり方を聞いて共有してください。ただし、急がせる方向の指導にはしないでください。安全が先です。

Q. 附帯の作業とは何ですか。 A. 仕分け、検品、棚入れ、ラベル貼りなど、運送そのもの以外の作業です。契約に入っているかを確かめてください。入っていないなら、対価の話ができます。

Q. どの現場から改善しますか。 A. 時間の長さと件数を掛け算してください。「2時間 × 月4回」より「30分 × 月40回」のほうが合計は大きくなります。平均だけを見ると、回数の多い現場を見落とします。

Q. 荷主が話を聞いてくれません。 A. 荷主の側にも取り組みが求められる仕組みが整ってきています。制度として双方が取り組む話として持っていってください。相談できる窓口もあるので、所轄の運輸支局やトラック協会に確かめてください。

Q. 記録の様式は、どこを直せばよいですか。 A. 時刻の欄を4つ(到着、作業開始、作業終了、出発)にしてください。2つしかないと、荷待ちと荷役が分かれません。運転者の手間は、数字を2つ増やすだけです。

Q. デジタル式運行記録計の記録で代えられますか。 A. 停車の時間は分かりますが、待っていたのか作業していたのかは分かりません。作業の内容は運転者が書く必要があります。両方を突き合わせると、記録の確かさが上がります。

Q. 拘束時間の集計は、いつやりますか。 A. 月の半ばに1回、途中のペースを見てください。月末に気づいても調整できません。15日の時点で超えそうな人が分かれば、後半の運行を減らせます。

Q. 荷役の時間を減らす方法はありますか。 A. 荷主との分担を変える、機材を借りる、着時刻を変える。記録が無いと、どれが効くかを判断できません。まず現場ごとの平均を出すところから始めてください。

Q. 荷待ちの記録を、荷主に見せてもよいですか。 A. 見せて構いません。事実の記録なので、話の材料になります。ただし他の荷主の名前が出ない形にしてください。比較を示すときは「他社では」という言い方にします。