体制と期限手続き2026.08.04 公開JG-01

運送業の事業報告書|出す時期と2つの書類

目次

毎年、運輸支局に出す書類があります。事業報告書と事業実績報告書です。出し忘れていても催促が来ないことがあり、気づかないまま何年も過ぎている事業者があります。巡回指導で「出していますか」と聞かれて、初めて知る形です。

この記事では、事業報告書を、2つの書類の違い出す時期書く中身出し忘れたときの動き準備の段取りの順に整理します。様式と提出の方法は制度の見直しで変わります。最新の扱いは所轄の運輸支局に確認してください。

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結論:毎年出す書類が2つあり、時期が違う

貨物自動車運送事業者には、毎年出す報告が求められています。

分かれるのは2つです。

1つ目は、事業報告書です。事業の概況、損益、貸借。決算に基づく内容です。

2つ目は、事業実績報告書です。輸送の実績。走行の距離、輸送の量、従業員の数など。

毎年出す書類は2つ事業報告書決算に基づく内容損益・貸借・事業の概況決算が終わってから事業実績報告書輸送の実績走行距離・輸送量・従業員毎年の共通の期日まで
事業報告書と事業実績報告書という2つの書類を並べた比較の図

2つは別の書類で、出す時期も違います。「毎年出している」と思っていても、片方だけという事業者があります。両方を出しているかを確かめてください。

出す時期

時期は、それぞれ決まっています。

押さえるのは3つです。

1つ目は、事業報告書の時期です。各事業年度の経過後、定められた期間内に提出することとされています。決算が終わってからになります。

2つ目は、事業実績報告書の時期です。毎年、定められた期日までに、前年度の実績を提出することとされています。

3つ目は、期日が決まっていることです。決算の時期にかかわらず、実績報告書の期日は共通です。

時期の3つの押さえどころ押さえること中身事業報告書の時期事業年度の経過後実績報告書の期日毎年の共通の期日決算との関係決算月で期限が違う
事業報告書の時期・実績報告書の期日・決算との関係という3つの押さえどころを並べた表

具体的な期日は所轄の運輸支局に確かめてください。決算の時期が事業者ごとに違うので、事業報告書の期限も違います。自社の決算月から逆算して、予定表に入れてください。

事業報告書に書く中身

事業報告書は、決算の数字が中心になります。

主な中身は4つです。

1つ目は、事業の概況です。営業所、車両数、従業員数。

2つ目は、損益の状況です。営業収益、営業費用、営業損益。

3つ目は、貸借の状況です。資産と負債。

4つ目は、運送の収入の内訳です。事業の区分ごと。

事業報告書の4つ項目中身事業の概況営業所・車両数・従業員数損益営業収益と営業費用貸借資産と負債収入の内訳事業の区分ごと
事業の概況・損益・貸借・収入の内訳という4つの記載事項を並べた表

経理の担当と組む作業になります。決算の数字がそろわないと書けません。決算が終わった時点で、報告書の作成を依頼する流れにしておくと、期限に追われません。

事業実績報告書に書く中身

実績報告書は、運んだ量と走った距離が中心です。

主な中身は4つです。

1つ目は、輸送の実績です。走行の距離、輸送の量。

2つ目は、車両の数です。年度末の保有台数。

3つ目は、従業員の数です。運転者とそれ以外。

4つ目は、事故の件数です。

実績報告書の4つ項目中身輸送実績走行距離と輸送量車両数年度末の保有台数従業員数運転者とそれ以外事故件数その年度の件数
輸送実績・車両数・従業員数・事故件数という4つの記載事項を並べた表
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1つ目のために、日ごとの記録が要ります。運転日報や運行記録計の記録から集計します。年度が終わってから1年分を数えるのは大変です。月ごとに集計しておく習慣にすると、報告書の作成が数時間で終わります。

出し忘れたときの動き

出していないことに気づいたら、隠さずに動きます。

動きは3段です。

1つ目は、所轄の運輸支局に連絡することです。いつから出していないかを伝えます。

2つ目は、過去の分をそろえることです。何年分を出すかは、支局の指示によります。

3つ目は、今後の仕組みを作ることです。期限を予定表に入れ、担当を決めます。

出し忘れたときの3段1連絡いつから出していないか2過去分の作成支局の指示による3仕組みづくり期限と担当を決め
連絡・過去分の作成・仕組みづくりという3段の流れのフロー

報告をしないこと自体が、行政処分の対象になることがあります。ただし、自分から気づいて出す場合と、指摘されてから出す場合では扱いが変わります。気づいた時点で連絡してください。

準備の段取り

毎年のことなので、段取りを決めておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、担当者です。事業報告書は経理と、実績報告書は運行管理と組みます。

2つ目は、集計の時期です。実績は月ごとに集計しておきます。

3つ目は、期限の予定です。決算月から逆算した日付。

4つ目は、前年の写しの保管です。次の年に、そのまま形をなぞれます。

4つ目がいちばん時間を節約します。前年の報告書があれば、どの数字をどこから持ってきたかが分かります。写しを取って、次の年の担当が見られる場所に置いてください。

数字のつじつまを合わせる

報告書の数字は、他の書類と突き合わせられます。

そろえるのは4つです。

1つ目は、車両数です。車両管理台帳や、事業計画の届出と合っているか。

2つ目は、運転者の数です。運転者台帳の人数と合っているか。

3つ目は、営業所の数です。事業計画と合っているか。

4つ目は、走行の距離です。運転日報や運行記録計の記録と合っているか。

1つ目と3つ目がずれていると、事業計画の変更届が出ていない可能性があります。車を増やした、営業所を移した。報告書を作るときが、届出の抜けに気づく機会になります。

実績の集計を月ごとにする

年度末にまとめて数えると、丸1日仕事になります。月ごとにすれば、毎月30分です。

集計するのは4つです。

1つ目は、走行の距離です。車両ごとの月間の距離。

2つ目は、輸送の量です。トン数など。

3つ目は、事故の件数です。起きた月に記録します。

4つ目は、従業員の数の変化です。入社と退職。

1つ目は、運行記録計の記録から出せる事業所があります。デジタル式のものを使っているなら、月ごとの集計が自動で出ることがあります。使っている仕組みで何が出せるかを、一度確かめてください。

保存と管理

出した報告書は、控えを残します。

残すのは4つです。

1つ目は、提出した控えです。受付の印があるもの。

2つ目は、根拠になった集計の資料です。

3つ目は、提出した日と方法です。

4つ目は、次の年の期限です。

2つ目を残しておくと、数字を聞かれたときに答えられます。「この走行距離はどこから出したか」を後から聞かれることがあります。集計の表を一緒に綴じておくだけで足ります。

年間の届出の予定を1枚にする

運送事業には、毎年か随時に出す書類がいくつもあります。事業報告書だけを管理しても抜けます。

並べるのは4つです。

1つ目は、毎年出すものです。事業報告書、事業実績報告書。

2つ目は、期限が来たら出すものです。運行管理者や整備管理者の選任と解任、事業計画の変更。

3つ目は、更新が要るものです。許可、資格、講習の受講。

4つ目は、報告が要る場面です。事故が起きたとき。

届出の4つの種類種類中身毎年事業報告書・実績報告書随時選任・解任・事業計画の変更更新許可・資格・講習事故起きたときの報告
毎年・随時・更新・事故という4つの届出の種類を並べた表

1つ目と3つ目を、月ごとの表にしてください。決算月、実績報告書の期日、講習の時期。1枚あれば、年度の初めに1年分の予定が決まります。担当者が替わっても、この表があれば続けられます。

数字を経営にも使う

報告書のために集計した数字は、経営の判断にも使えます。

見るのは4つです。

1つ目は、車両あたりの走行距離です。車の使い方の偏りが見えます。

2つ目は、車両あたりの収入です。どの車が稼いでいるか。

3つ目は、運転者あたりの実績です。

4つ目は、事故の件数の推移です。

2つ目が判断の材料になります。「この車は年間これだけ走って、これだけの収入」という数字が出ると、増車や買い替えの判断ができます。報告のためだけに集計するのはもったいない数字です。

電子での届出を使う

報告の提出は、電子で行える仕組みが整ってきています。使えると、窓口へ行く時間が消えます。

確かめるのは4つです。

1つ目は、対応している手続きです。すべての届出が電子でできるとは限りません。

2つ目は、必要な登録です。利用のための登録やアカウントが要ることがあります。

3つ目は、控えの受け取り方です。画面で確かめるのか、印刷するのか。

4つ目は、添付する書類の形です。決算の書類などの出し方。

3つ目を確かめてください。窓口なら受付の印がもらえますが、電子では控えの形が違います。提出した証拠をどう残すかを決めて、社内のファイルに綴じる形にしてください。

担当者が替わるときに渡すもの

報告の担当は、1人が抱えていることが多い仕事です。引き継ぎの材料をそろえます。

渡すのは5つです。

1つ目は、前年の報告書の写しです。

2つ目は、集計の元になった資料と、その出どころです。

3つ目は、期限の一覧です。

4つ目は、提出の方法と、窓口の連絡先です。

5つ目は、過去に指摘された点です。

2つ目がいちばん助かります。「この走行距離の数字は、どこから持ってきたのか」が分からないと、一から数え直すことになります。集計の手順を1枚に書いて、報告書の控えと一緒に綴じてください。

まとめ

運送業の事業報告書は、毎年出す書類が2つあるという点を先に押さえます。

  • 事業報告書は決算に基づく内容、事業実績報告書は輸送の実績
  • 出す時期が違う。事業報告書は決算から、実績報告書は共通の期日
  • 実績は月ごとに集計しておくと、年度末に数時間で終わる
  • 車両数や営業所の数がずれていたら、事業計画の変更届が抜けている可能性
  • 出していないことに気づいたら、自分から運輸支局に連絡する

様式と提出の方法は制度の見直しで変わります。最新の扱いは所轄の運輸支局に確認してください。

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よくある質問

Q. 事業報告書と事業実績報告書は、何が違いますか。 A. 事業報告書は決算に基づく内容(損益、貸借、事業の概況)、事業実績報告書は輸送の実績(走行距離、輸送量、従業員数など)です。別の書類で、出す時期も違います。

Q. 出す時期はいつですか。 A. 事業報告書は各事業年度の経過後、実績報告書は毎年の定められた期日までとされています。具体的な期日は所轄の運輸支局に確かめてください。決算月から逆算して予定に入れます。

Q. 出していないことに気づきました。 A. 所轄の運輸支局に連絡してください。隠して次の年だけ出すことはできません。自分から気づいて出す場合と、指摘されてから出す場合では扱いが変わります。

Q. 誰が作りますか。 A. 事業報告書は経理と、実績報告書は運行管理と組みます。担当を決めておいてください。決算が終わった時点で作成を依頼する流れにすると、期限に追われません。

Q. 走行距離はどこから出しますか。 A. 運転日報や運行記録計の記録です。デジタル式のものを使っているなら、月ごとの集計が自動で出ることがあります。使っている仕組みで何が出せるかを確かめてください。

Q. 年度末にまとめて集計しています。 A. 月ごとに集計する形に変えてください。毎月30分で済み、年度末が数時間で終わります。まとめて数えると、丸1日仕事になります。

Q. 車両数が事業計画と合いません。 A. 事業計画の変更届が出ていない可能性があります。報告書を作るときが、届出の抜けに気づく機会になります。所轄の運輸支局に相談してください。

Q. 提出の方法は何ですか。 A. 窓口への提出のほか、電子での届出が用意されていることがあります。所轄の運輸支局に確かめてください。方法によって、控えの受け取り方が変わります。

Q. 控えは何年残しますか。 A. 法令で年数が定められているものに従いますが、少なくとも前年分は残してください。次の年に、どの数字をどこから持ってきたかが分かります。集計の資料も一緒に綴じておきます。

Q. 報告しないと、どうなりますか。 A. 行政処分の対象になることがあります。扱いは所轄の運輸支局に確かめてください。出していない年数が増えるほど、対応に時間がかかります。

Q. 決算が遅れています。 A. 事業報告書は決算に基づく内容なので、決算が終わらないと作れません。遅れる見込みが立った時点で、所轄の運輸支局に相談してください。黙って期限を過ぎるより、先に連絡したほうが扱いが軽く済みます。

Q. 前年の報告書が見つかりません。 A. 所轄の運輸支局に、提出の記録があるかを相談してください。次からは写しを取って、担当が見られる場所に置く運用にしてください。前年の形があると、作成の時間が大きく変わります。

Q. 届出の予定表には何を入れますか。 A. 毎年出すもの、期限が来たら出すもの、更新が要るもの、事故のときの報告。月ごとの表にすると、年度の初めに1年分の予定が決まります。担当者が替わっても続けられます。

Q. 集計した数字を他に使えますか。 A. 使えます。車両あたりの走行距離と収入、運転者あたりの実績、事故の推移。増車や買い替えの判断の材料になります。報告のためだけに集計するのはもったいない数字です。

Q. 電子で提出した場合、控えはどうなりますか。 A. 窓口とは形が違います。画面の写しを印刷するか、受付の通知を保存するなど、提出した証拠の残し方を決めてください。社内のファイルに綴じる形にしておきます。

Q. 担当が替わるときに何を渡しますか。 A. 前年の報告書の写し、集計の元になった資料とその出どころ、期限の一覧、提出の方法、過去の指摘。集計の手順を1枚に書いておくと、一から数え直さずに済みます。

Q. 営業所ごとに出しますか。 A. 事業者として出すものです。ただし営業所ごとの数字を集める必要があります。各営業所から集計を出してもらう期限を、本社の期限から逆算して決めておいてください。

Q. 事故の件数は、どの範囲を数えますか。 A. 報告書の様式で求められている範囲です。自動車事故報告書の対象になったものと、それ以外の扱いが違うことがあります。所轄の運輸支局に確かめてください。

Q. 実績報告書の期日は、決算月が違っても同じですか。 A. 実績報告書の期日は共通で、事業報告書は決算に基づくため事業者ごとに違います。2つを別々に予定へ入れてください。同じ時期だと思い込んでいると、片方を落とします。