冬用タイヤとチェーン規制|履き替えの決め方
目次
冬用タイヤに履き替える時期を、毎年その場で決めている。チェーン規制が出てから慌ててチェーンを探す。冬の運行は、準備の遅れがそのまま止まる時間になります。決め方を先に作っておくと、毎年の判断が速くなります。
この記事では、冬用タイヤとチェーンを、規制の種類、履き替えの決め方、チェーンの備え、運転者への指示、記録の残し方の順に整理します。規制の内容と対象の区間は地域と時期で変わります。最新の情報は、道路管理者や警察、日本道路交通情報センターの発表で確認してください。
結論:規制には種類があり、冬用タイヤでは足りない区間がある
冬の道路の規制は、一律ではありません。種類を知っておかないと、備えがずれます。
分かれるのは3つです。
1つ目は、冬用タイヤ等の装着の規制です。冬用タイヤか、チェーンの装着が求められる形。
2つ目は、チェーンの装着の規制です。冬用タイヤだけでは通行できない区間が指定されます。大雪のときに出ます。
3つ目は、通行止めです。そもそも通れません。
2つ目を知らない事業所があります。「冬用タイヤを履いているから大丈夫」と思っていると、チェーン規制の区間で止められます。対象となる区間はあらかじめ公表されているので、運行の経路と重なるかを確かめてください。
履き替えの時期を決める
毎年その場で決めると、遅れます。基準を作っておきます。
決めるのは4つです。
1つ目は、日付の目安です。「11月◯日までに全車」という形。地域によって違います。
2つ目は、気温か予報の条件です。最低気温が一定を下回る予報が出たら。
3つ目は、走る地域です。同じ事業所でも、寒い地域へ行く車を先に履き替えます。
4つ目は、戻す時期です。春の履き戻しも決めておきます。
3つ目で優先順位が決まります。全車を同じ日に履き替えるのは現実的ではありません。寒い地域へ行く便から順に組むと、無理がありません。
台数分の段取り
履き替えは、タイヤと人と場所の3つがそろわないとできません。
段取りは4つです。
1つ目は、在庫の確認です。何台分あるか。溝の残りも見ます。去年使ったものが、今年も使えるとは限りません。
2つ目は、業者の予約です。時期が集中するので、夏のうちに押さえる事業所があります。
3つ目は、作業の場所と日程です。自社で行う場合、場所と人手。
4つ目は、増し締めの予定です。付け替えたら必ず行います。
1つ目を秋に確かめてください。使えない本数が分かってから発注すると、間に合わないことがあります。夏の終わりに在庫を数えて、溝を見て、足りない分を発注する流れにしてください。
チェーンの備え
チェーン規制は、出てから買いに行っても間に合いません。
備えるのは4つです。
1つ目は、車両ごとのサイズです。タイヤのサイズに合ったものでないと使えません。
2つ目は、積む場所です。車のどこに積むか。すぐ出せる場所にします。
3つ目は、取り付けの練習です。雪の中で初めて取り付けるのは無理があります。天気の良い日に1回やっておきます。
4つ目は、点検です。錆び、切れ、留め具の欠け。年に1回は広げて見ます。
3つ目をやっていない事業所が多くあります。練習の時間を取るのは手間ですが、実際に規制が出た日に路肩で30分かかることを考えると、割に合います。冬の前の点呼のときに、順番に回してください。
運転者への指示
冬の運行では、運行指示書や点呼で伝えることが増えます。
伝えるのは4つです。
1つ目は、経路の規制の状況です。出発の時点で分かっている規制。
2つ目は、チェーンを積んでいることと、取り付ける判断です。どの時点で付けるか。
3つ目は、引き返す判断です。無理に進まないことを、会社として伝えます。
4つ目は、連絡の方法です。止まったとき、遅れたときに誰に連絡するか。
3つ目を会社から伝えておくことが大事です。運転者の判断だけに任せると、納期を優先して無理をします。「引き返してよい」と会社が言っているかどうかで、現場の判断が変わります。
立ち往生への備え
大雪で止まると、何時間も動けないことがあります。
積んでおくのは4つです。
1つ目は、燃料です。暖房のために回し続けることになります。満タンにしてから入るのが基本です。
2つ目は、水と食料です。数食分。
3つ目は、防寒の道具です。毛布、使い捨てカイロ。
4つ目は、スコップです。排気口の周りの雪をどけるために使います。
4つ目の理由を運転者に伝えてください。排気口が雪でふさがると、排気が車内に入る危険があります。エンジンをかけたまま止まっている場合は、定期的に排気口の周りをどける必要があります。
事故と遅延が起きたとき
冬は、事故も遅れも増えます。手順を先に決めておきます。
決めるのは4つです。
1つ目は、連絡の順番です。運行管理者、荷主、警察。
2つ目は、遅れの見込みの伝え方です。「分からない」ではなく、次に連絡する時刻を伝えます。
3つ目は、代替の手配です。別の車を出すか、翌日に回すか。
4つ目は、記録です。何が起きて、どう対応したか。
2つ目が荷主との関係を左右します。止まっていること自体は防げませんが、連絡が来ないことが不信につながります。「1時間ごとに連絡する」と決めておくだけで、印象が変わります。
記録に残すこと
冬の備えは、毎年繰り返します。記録を残すと、翌年が速くなります。
残すのは4つです。
1つ目は、履き替えた日と車両です。
2つ目は、チェーンの在庫と点検の記録です。
3つ目は、規制で止まった日の記録です。どこで、どのくらい、何が要ったか。
4つ目は、翌年に変えたいことです。
3つ目と4つ目が効きます。「去年はこの区間で3時間止まった」という記録があれば、今年は経路を変えるか、出発を早めるかの判断ができます。記憶だけでは、毎年同じ場所で止まります。
冬の運行計画を早めに組む
冬は、時間がかかることを前提に計画を組みます。
見直すのは4つです。
1つ目は、出発の時刻です。早めに出せないか。渋滞と規制の前に抜けられます。
2つ目は、経路です。峠を通らない経路があるか。距離が伸びても、確実に着くほうが良い場合があります。
3つ目は、休憩の場所です。除雪された場所に停められるか。
4つ目は、荷主との約束です。冬は遅れる可能性があることを、シーズンの前に伝えておきます。
4つ目をシーズンの前に伝えてください。当日に「雪で遅れます」と言うより、11月のうちに「冬は遅れる可能性があります」と伝えておくほうが、はるかに通ります。年に1回の連絡で済みます。
冬の前にやることを1枚にする
毎年同じことをやるので、チェックリストにします。
並べるのは5つです。
1つ目は、タイヤの在庫の確認と発注です。8月から9月。
2つ目は、業者の予約です。9月から10月。
3つ目は、チェーンの点検と補充です。10月。
4つ目は、履き替えです。11月。
5つ目は、運転者への周知と練習です。11月。
この5つを日付とセットで1枚にして、毎年使い回してください。年ごとに直すのは日付だけです。担当の名前も書いておくと、忙しい時期でも進みます。冬の備えは、やることが分かっていても時期を逃すと間に合いません。
雪の降らない地域でも備えがいる
「うちは雪が降らないから関係ない」という事業所でも、運行の先が雪の地域なら備えが要ります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、運行の行き先です。年に数回でも雪の地域へ行くか。
2つ目は、通る峠です。平野は降らなくても、峠は積もります。
3つ目は、荷主の所在地です。納品先の地域の気候。
4つ目は、急な依頼です。普段は行かない地域への便が入ることがあります。
4つ目が抜けやすい形です。普段の運行では要らなくても、急に雪の地域への依頼が入ることがあります。全車に備えるのが難しいなら、その便に出す車だけ決めておく形にしてください。冬用タイヤを履いた車を1台か2台用意しておけば、急な依頼にも出せます。
冬の事故の傾向を見る
冬に起きた事故は、翌年の備えの材料になります。
見るのは4つです。
1つ目は、起きた場所です。同じ峠、同じ交差点に集まっていないか。
2つ目は、時間帯です。早朝の凍結の時間に集まっていないか。
3つ目は、状況です。スリップ、追突、立ち往生。
4つ目は、そのときの装備です。冬用タイヤだったか、チェーンを積んでいたか。
1つ目と2つ目が分かると、翌年の運行を変えられます。「この峠を朝6時に通るのをやめる」という判断ができます。事故の記録を、場所と時間で並べるだけで見えてきます。年に1回、冬が終わったところで見返してください。
まとめ
冬の運行は、規制の種類を知って、先に備えることで止まる時間が減ります。
- 規制は、冬用タイヤ等・チェーン装着・通行止めの3つ。冬用タイヤでは足りない区間がある
- 履き替えの基準を作る。寒い地域へ行く便から順に
- 在庫の確認は夏の終わりに。去年のタイヤが今年も使えるとは限らない
- チェーンは、サイズ・積む場所・取り付けの練習・点検の4つ
- 「引き返してよい」と会社が伝えるかどうかで、現場の判断が変わる
規制の内容と対象の区間は地域と時期で変わります。最新の情報は、道路管理者や警察、日本道路交通情報センターの発表で確認してください。
よくある質問
Q. 冬用タイヤを履いていれば、チェーンは要りませんか。 A. チェーン規制が出た区間では、冬用タイヤだけでは通行できません。対象の区間はあらかじめ公表されています。運行の経路と重なるかを確かめて、重なるなら積んでください。
Q. 履き替えの時期はいつですか。 A. 地域によって違います。日付の目安と、気温か予報の条件を決めておいてください。寒い地域へ行く便から順に履き替えると、無理がありません。
Q. 去年のタイヤは今年も使えますか。 A. 溝の残りと、ゴムの状態によります。夏の終わりに在庫を数えて、溝を見てください。使えない本数が分かってから発注すると、間に合わないことがあります。
Q. チェーンの取り付けを練習する必要がありますか。 A. あります。雪の中で初めて取り付けるのは無理があります。天気の良い日に1回やっておくだけで、実際の時間が大きく変わります。冬の前の点呼のときに順番に回してください。
Q. 大雪で立ち往生したら、何が要りますか。 A. 燃料、水と食料、防寒の道具、スコップです。スコップは排気口の周りの雪をどけるために要ります。排気口がふさがると、排気が車内に入る危険があります。
Q. 運転者が無理をして進んでしまいます。 A. 会社から「引き返してよい」と伝えてください。運転者の判断だけに任せると、納期を優先します。点呼と運行指示書の両方で伝えると、受け止め方が変わります。
Q. 荷主にどう連絡しますか。 A. 遅れの見込みと、次に連絡する時刻を伝えてください。「分からない」だけだと、不信につながります。「1時間ごとに連絡する」と決めておくと、印象が変わります。
Q. チェーンの点検はどうしますか。 A. 年に1回、広げて見てください。錆び、切れ、留め具の欠け。積みっぱなしで何年も見ていないことがあります。冬の前の点検の項目に入れてください。
Q. 規制の情報はどこで見られますか。 A. 道路管理者や警察、日本道路交通情報センターの発表です。出発の前に確かめて、点呼で伝えてください。運行の途中で変わることもあるので、中間の連絡でも伝えます。
Q. 履き戻しはいつですか。 A. 地域と運行の範囲によります。戻す時期も決めておいてください。冬用タイヤのまま夏を走ると、すり減りが早く、次の冬に使えなくなります。
Q. 増し締めは履き替えのときもやりますか。 A. やります。付け替えたら必ずです。台数分をまとめて履き替えるので、増し締めの予定も一緒に組んでください。抜けると脱輪につながります。
Q. 記録には何を残しますか。 A. 履き替えた日と車両、チェーンの在庫と点検、規制で止まった日の状況、翌年に変えたいこと。止まった日の記録があると、翌年の経路や出発時刻を変えられます。
Q. 冬の遅れを荷主にどう伝えますか。 A. シーズンの前に、年に1回伝えておいてください。11月のうちに「冬は遅れる可能性があります」と伝えるほうが、当日に言うよりはるかに通ります。
Q. 冬の準備はいつから始めますか。 A. タイヤの在庫の確認が8月から9月、業者の予約が9月から10月、チェーンの点検が10月、履き替えと周知が11月。日付と担当を書いた1枚を作って、毎年使い回してください。
Q. 雪の降らない地域の事業所でも、冬用タイヤは必要ですか。 A. 運行の行き先と通る峠によります。平野は降らなくても、峠は積もります。全車が難しければ、雪の地域へ出す車を1台か2台決めて、その車だけ備える形にしてください。
Q. 急に雪の地域への依頼が入りました。 A. 備えのある車を出してください。備えの無い車で行くと、規制で止められるか、事故につながります。受けられない依頼は断るという判断も、会社として決めておいてください。
Q. 冬の事故の記録は、どう使いますか。 A. 場所と時間で並べてください。同じ峠、同じ時間帯に集まっていれば、運行を変えられます。冬が終わったところで年に1回見返す形にすると、翌年の計画に反映できます。