記録と台帳実務2026.07.20 公開NP-07

冬用タイヤとチェーン規制|履き替えの決め方

目次

冬用タイヤに履き替える時期を、毎年その場で決めている。チェーン規制が出てから慌ててチェーンを探す。冬の運行は、準備の遅れがそのまま止まる時間になります。決め方を先に作っておくと、毎年の判断が速くなります。

この記事では、冬用タイヤとチェーンを、規制の種類履き替えの決め方チェーンの備え運転者への指示記録の残し方の順に整理します。規制の内容と対象の区間は地域と時期で変わります。最新の情報は、道路管理者や警察、日本道路交通情報センターの発表で確認してください。

タイヤの管理台帳そのものを探している場合は、商い屋に運送業向けのものがそろっています。

結論:規制には種類があり、冬用タイヤでは足りない区間がある

冬の道路の規制は、一律ではありません。種類を知っておかないと、備えがずれます。

分かれるのは3つです。

1つ目は、冬用タイヤ等の装着の規制です。冬用タイヤか、チェーンの装着が求められる形。

2つ目は、チェーンの装着の規制です。冬用タイヤだけでは通行できない区間が指定されます。大雪のときに出ます。

3つ目は、通行止めです。そもそも通れません。

規制は3つある冬用タイヤ等冬用タイヤかチェーンチェーン装着冬用タイヤだけでは通れない通行止めそもそも通れない
冬用タイヤ等・チェーン装着・通行止めという3つの規制を並べた層の図

2つ目を知らない事業所があります。「冬用タイヤを履いているから大丈夫」と思っていると、チェーン規制の区間で止められます。対象となる区間はあらかじめ公表されているので、運行の経路と重なるかを確かめてください。

履き替えの時期を決める

毎年その場で決めると、遅れます。基準を作っておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、日付の目安です。「11月◯日までに全車」という形。地域によって違います。

2つ目は、気温か予報の条件です。最低気温が一定を下回る予報が出たら。

3つ目は、走る地域です。同じ事業所でも、寒い地域へ行く車を先に履き替えます。

4つ目は、戻す時期です。春の履き戻しも決めておきます。

履き替えの4つの決め方決め方中身日付の目安地域によって違う気温の条件最低気温の予報で走る地域寒い地域へ行く便から戻す時期春の履き戻しも決める
日付の目安・気温の条件・走る地域・戻す時期という4つの決め方を並べた表

3つ目で優先順位が決まります。全車を同じ日に履き替えるのは現実的ではありません。寒い地域へ行く便から順に組むと、無理がありません。

台数分の段取り

履き替えは、タイヤと人と場所の3つがそろわないとできません。

段取りは4つです。

1つ目は、在庫の確認です。何台分あるか。溝の残りも見ます。去年使ったものが、今年も使えるとは限りません。

2つ目は、業者の予約です。時期が集中するので、夏のうちに押さえる事業所があります。

3つ目は、作業の場所と日程です。自社で行う場合、場所と人手。

4つ目は、増し締めの予定です。付け替えたら必ず行います。

段取りの4段1在庫溝の残りも見る2業者の予約夏のうちに押さえる3作業の日程場所と人手4増し締め付け替えたら必ず
在庫・業者の予約・作業の日程・増し締めという4つの段取りを並べたフロー

1つ目を秋に確かめてください。使えない本数が分かってから発注すると、間に合わないことがあります。夏の終わりに在庫を数えて、溝を見て、足りない分を発注する流れにしてください。

チェーンの備え

チェーン規制は、出てから買いに行っても間に合いません。

備えるのは4つです。

1つ目は、車両ごとのサイズです。タイヤのサイズに合ったものでないと使えません。

2つ目は、積む場所です。車のどこに積むか。すぐ出せる場所にします。

3つ目は、取り付けの練習です。雪の中で初めて取り付けるのは無理があります。天気の良い日に1回やっておきます。

4つ目は、点検です。錆び、切れ、留め具の欠け。年に1回は広げて見ます。

チェーンの4つの備え備え中身サイズタイヤに合ったもの積む場所すぐ出せる場所に取り付けの練習天気の良い日に1回点検年に1回広げて見る
サイズ・積む場所・取り付けの練習・点検という4つの備えを並べた表
点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

タイヤとチェーンの管理台帳をまとめてやるなら、商い屋の様式が近道です。

この様式をひらく

3つ目をやっていない事業所が多くあります。練習の時間を取るのは手間ですが、実際に規制が出た日に路肩で30分かかることを考えると、割に合います。冬の前の点呼のときに、順番に回してください。

運転者への指示

冬の運行では、運行指示書や点呼で伝えることが増えます。

伝えるのは4つです。

1つ目は、経路の規制の状況です。出発の時点で分かっている規制。

2つ目は、チェーンを積んでいることと、取り付ける判断です。どの時点で付けるか。

3つ目は、引き返す判断です。無理に進まないことを、会社として伝えます。

4つ目は、連絡の方法です。止まったとき、遅れたときに誰に連絡するか。

運転者へ伝える4つ規制の状況出発時点で分かっているものチェーンの判断どの時点で付けるか引き返す判断会社として認める連絡止まったときの相手
規制の状況・チェーンの判断・引き返す判断・連絡という4つの指示事項を並べた層の図

3つ目を会社から伝えておくことが大事です。運転者の判断だけに任せると、納期を優先して無理をします。「引き返してよい」と会社が言っているかどうかで、現場の判断が変わります。

立ち往生への備え

大雪で止まると、何時間も動けないことがあります。

積んでおくのは4つです。

1つ目は、燃料です。暖房のために回し続けることになります。満タンにしてから入るのが基本です。

2つ目は、水と食料です。数食分。

3つ目は、防寒の道具です。毛布、使い捨てカイロ。

4つ目は、スコップです。排気口の周りの雪をどけるために使います。

4つ目の理由を運転者に伝えてください。排気口が雪でふさがると、排気が車内に入る危険があります。エンジンをかけたまま止まっている場合は、定期的に排気口の周りをどける必要があります。

事故と遅延が起きたとき

冬は、事故も遅れも増えます。手順を先に決めておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、連絡の順番です。運行管理者、荷主、警察。

2つ目は、遅れの見込みの伝え方です。「分からない」ではなく、次に連絡する時刻を伝えます。

3つ目は、代替の手配です。別の車を出すか、翌日に回すか。

4つ目は、記録です。何が起きて、どう対応したか。

2つ目が荷主との関係を左右します。止まっていること自体は防げませんが、連絡が来ないことが不信につながります。「1時間ごとに連絡する」と決めておくだけで、印象が変わります。

記録に残すこと

冬の備えは、毎年繰り返します。記録を残すと、翌年が速くなります。

残すのは4つです。

1つ目は、履き替えた日と車両です。

2つ目は、チェーンの在庫と点検の記録です。

3つ目は、規制で止まった日の記録です。どこで、どのくらい、何が要ったか。

4つ目は、翌年に変えたいことです。

3つ目と4つ目が効きます。「去年はこの区間で3時間止まった」という記録があれば、今年は経路を変えるか、出発を早めるかの判断ができます。記憶だけでは、毎年同じ場所で止まります。

冬の運行計画を早めに組む

冬は、時間がかかることを前提に計画を組みます。

見直すのは4つです。

1つ目は、出発の時刻です。早めに出せないか。渋滞と規制の前に抜けられます。

2つ目は、経路です。峠を通らない経路があるか。距離が伸びても、確実に着くほうが良い場合があります。

3つ目は、休憩の場所です。除雪された場所に停められるか。

4つ目は、荷主との約束です。冬は遅れる可能性があることを、シーズンの前に伝えておきます。

冬の運行計画の4つの見直し見直す点中身出発の時刻早めに出せないか経路峠を通らない道はあるか休憩の場所除雪された場所に停まれるか荷主との約束シーズンの前に伝える
出発時刻・経路・休憩の場所・荷主との約束という4つの見直しの観点を並べた表

4つ目をシーズンの前に伝えてください。当日に「雪で遅れます」と言うより、11月のうちに「冬は遅れる可能性があります」と伝えておくほうが、はるかに通ります。年に1回の連絡で済みます。

冬の前にやることを1枚にする

毎年同じことをやるので、チェックリストにします。

並べるのは5つです。

1つ目は、タイヤの在庫の確認と発注です。8月から9月。

2つ目は、業者の予約です。9月から10月。

3つ目は、チェーンの点検と補充です。10月。

4つ目は、履き替えです。11月。

5つ目は、運転者への周知と練習です。11月。

この5つを日付とセットで1枚にして、毎年使い回してください。年ごとに直すのは日付だけです。担当の名前も書いておくと、忙しい時期でも進みます。冬の備えは、やることが分かっていても時期を逃すと間に合いません。

雪の降らない地域でも備えがいる

「うちは雪が降らないから関係ない」という事業所でも、運行の先が雪の地域なら備えが要ります。

確かめるのは4つです。

1つ目は、運行の行き先です。年に数回でも雪の地域へ行くか。

2つ目は、通る峠です。平野は降らなくても、峠は積もります。

3つ目は、荷主の所在地です。納品先の地域の気候。

4つ目は、急な依頼です。普段は行かない地域への便が入ることがあります。

4つ目が抜けやすい形です。普段の運行では要らなくても、急に雪の地域への依頼が入ることがあります。全車に備えるのが難しいなら、その便に出す車だけ決めておく形にしてください。冬用タイヤを履いた車を1台か2台用意しておけば、急な依頼にも出せます。

冬の事故の傾向を見る

冬に起きた事故は、翌年の備えの材料になります。

見るのは4つです。

1つ目は、起きた場所です。同じ峠、同じ交差点に集まっていないか。

2つ目は、時間帯です。早朝の凍結の時間に集まっていないか。

3つ目は、状況です。スリップ、追突、立ち往生。

4つ目は、そのときの装備です。冬用タイヤだったか、チェーンを積んでいたか。

1つ目と2つ目が分かると、翌年の運行を変えられます。「この峠を朝6時に通るのをやめる」という判断ができます。事故の記録を、場所と時間で並べるだけで見えてきます。年に1回、冬が終わったところで見返してください。

まとめ

冬の運行は、規制の種類を知って、先に備えることで止まる時間が減ります。

  • 規制は、冬用タイヤ等・チェーン装着・通行止めの3つ。冬用タイヤでは足りない区間がある
  • 履き替えの基準を作る。寒い地域へ行く便から順に
  • 在庫の確認は夏の終わりに。去年のタイヤが今年も使えるとは限らない
  • チェーンは、サイズ・積む場所・取り付けの練習・点検の4つ
  • 「引き返してよい」と会社が伝えるかどうかで、現場の判断が変わる

規制の内容と対象の区間は地域と時期で変わります。最新の情報は、道路管理者や警察、日本道路交通情報センターの発表で確認してください。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

タイヤとチェーンの管理台帳をまとめてやるなら、商い屋の様式が近道です。

この様式をひらく

よくある質問

Q. 冬用タイヤを履いていれば、チェーンは要りませんか。 A. チェーン規制が出た区間では、冬用タイヤだけでは通行できません。対象の区間はあらかじめ公表されています。運行の経路と重なるかを確かめて、重なるなら積んでください。

Q. 履き替えの時期はいつですか。 A. 地域によって違います。日付の目安と、気温か予報の条件を決めておいてください。寒い地域へ行く便から順に履き替えると、無理がありません。

Q. 去年のタイヤは今年も使えますか。 A. 溝の残りと、ゴムの状態によります。夏の終わりに在庫を数えて、溝を見てください。使えない本数が分かってから発注すると、間に合わないことがあります。

Q. チェーンの取り付けを練習する必要がありますか。 A. あります。雪の中で初めて取り付けるのは無理があります。天気の良い日に1回やっておくだけで、実際の時間が大きく変わります。冬の前の点呼のときに順番に回してください。

Q. 大雪で立ち往生したら、何が要りますか。 A. 燃料、水と食料、防寒の道具、スコップです。スコップは排気口の周りの雪をどけるために要ります。排気口がふさがると、排気が車内に入る危険があります。

Q. 運転者が無理をして進んでしまいます。 A. 会社から「引き返してよい」と伝えてください。運転者の判断だけに任せると、納期を優先します。点呼と運行指示書の両方で伝えると、受け止め方が変わります。

Q. 荷主にどう連絡しますか。 A. 遅れの見込みと、次に連絡する時刻を伝えてください。「分からない」だけだと、不信につながります。「1時間ごとに連絡する」と決めておくと、印象が変わります。

Q. チェーンの点検はどうしますか。 A. 年に1回、広げて見てください。錆び、切れ、留め具の欠け。積みっぱなしで何年も見ていないことがあります。冬の前の点検の項目に入れてください。

Q. 規制の情報はどこで見られますか。 A. 道路管理者や警察、日本道路交通情報センターの発表です。出発の前に確かめて、点呼で伝えてください。運行の途中で変わることもあるので、中間の連絡でも伝えます。

Q. 履き戻しはいつですか。 A. 地域と運行の範囲によります。戻す時期も決めておいてください。冬用タイヤのまま夏を走ると、すり減りが早く、次の冬に使えなくなります。

Q. 増し締めは履き替えのときもやりますか。 A. やります。付け替えたら必ずです。台数分をまとめて履き替えるので、増し締めの予定も一緒に組んでください。抜けると脱輪につながります。

Q. 記録には何を残しますか。 A. 履き替えた日と車両、チェーンの在庫と点検、規制で止まった日の状況、翌年に変えたいこと。止まった日の記録があると、翌年の経路や出発時刻を変えられます。

Q. 冬の遅れを荷主にどう伝えますか。 A. シーズンの前に、年に1回伝えておいてください。11月のうちに「冬は遅れる可能性があります」と伝えるほうが、当日に言うよりはるかに通ります。

Q. 冬の準備はいつから始めますか。 A. タイヤの在庫の確認が8月から9月、業者の予約が9月から10月、チェーンの点検が10月、履き替えと周知が11月。日付と担当を書いた1枚を作って、毎年使い回してください。

Q. 雪の降らない地域の事業所でも、冬用タイヤは必要ですか。 A. 運行の行き先と通る峠によります。平野は降らなくても、峠は積もります。全車が難しければ、雪の地域へ出す車を1台か2台決めて、その車だけ備える形にしてください。

Q. 急に雪の地域への依頼が入りました。 A. 備えのある車を出してください。備えの無い車で行くと、規制で止められるか、事故につながります。受けられない依頼は断るという判断も、会社として決めておいてください。

Q. 冬の事故の記録は、どう使いますか。 A. 場所と時間で並べてください。同じ峠、同じ時間帯に集まっていれば、運行を変えられます。冬が終わったところで年に1回見返す形にすると、翌年の計画に反映できます。