体制と期限解説2026.08.12 公開KA-05

運行管理者試験とは?受験資格と年2回の日程の押さえ方

目次

運行管理者を1人しか置いていない。その人が辞めたらどうなるのか、考えてはいるものの手が付いていない。社内で誰かに受けてもらおうにも、受験の資格や日程が分からないまま時間が過ぎていく。

この記事では、運行管理者試験を、受験の資格・日程・準備の3つに分けて整理します。読み終えたときに、社内の誰にいつ受けてもらうかを決められる状態を目指します。

選任の人数や届出のほうから確かめたい方は、こちらを読むと早いです。→ 運行管理者の選任

結論:受験には実務1年か基礎講習の修了が要る

運行管理者試験とは、運行管理者の資格者証を取るための試験のことです。貨物と旅客で試験が分かれており、受ける前に要件を満たしている必要があります。

一般には、受験の要件は2つのうちどちらかとされています。1つは、事業用自動車の運行の管理に関して1年以上の実務の経験があること。もう1つは、国土交通大臣が認定する基礎講習を修了していることです。

ポイントはここです。実務の経験が無くても、基礎講習を受ければ受験できます。社内に運行管理の経験者がいない場合でも、道は閉じていません。基礎講習は数日で修了できるため、こちらの経路を使う会社が多くあります。

受験の経路は2つ実務1年以上運行の管理の経験在籍した事業者の証明が要転職して間もないと難しい基礎講習の修了数日で修了できる経験が無くても受けられる社内に経験者がいなくても進める
実務1年以上と基礎講習の修了という2つの受験の経路を並べた比較の図

実務の経験で受ける場合、その経験を証明する書類が要ります。在籍していた事業者に書いてもらう形になるため、転職して間もない人は手当てが必要です。

試験は年2回。申し込みの期間を逃さない

試験は、一般に年2回行われるとされています。8月ごろと3月ごろが目安で、申し込みの期間はその数か月前に設定されます。

申し込みから資格者証まで申し込み期間が短い会場の予約別の手続き試験年2回が目安交付の申請期限がある試験の日より、申し込みの開始日と締切日を先に控えておく
申し込み・試験・結果・資格者証の交付までの流れを示した時系列の図

つまずくのは、申し込みの期間が短いことです。試験の日だけを覚えていて、申し込みを逃す形がよくあります。試験の日程より、申し込みの開始日と締切日を先に控えておきます。

申し込みは、試験を実施する機関の案内に従います。基礎講習で受験する場合は、講習の修了が申し込みに間に合うかを先に確かめます。講習も定員があるため、直前では入れないことがあります。

受験の手続きは本人が行いますが、会社が日程を管理する形にしておくと確実です。期限の管理表に「試験の申し込み」の行を入れておけば、忘れません。

受験の方式も、事前に確かめておきます。近年は、決められた期間内に指定の会場で受ける形が取られており、日程をある程度選べるようになっています。運行の都合に合わせて日を選べるのは、事業所にとって助かるところです。

会場の予約は先着になるため、申し込みが済んだらすぐに日程を押さえます。申し込みと会場の予約は別の手続きである点を見落とすと、受けられる日が残っていないことがあります。

試験の中身は5つの分野

試験で問われるのは、大きく5つの分野とされています。どれも、実際の運行管理の業務でそのまま使う内容です。

1つ目は、貨物自動車運送事業法に関するもの。事業の許可、運行管理者の選任、点呼の実施などです。

2つ目は、道路運送車両法に関するもの。日常点検、定期点検、整備管理者などが入ります。

3つ目は、道路交通法に関するもの。速度、駐停車、積載の制限などです。

4つ目は、労働基準法に関するもの。労働時間、休日、改善基準告示が中心になります。

5つ目は、実務上の知識と能力です。事故の防止、点呼の実施、運行の計画といった、実際の場面を想定した問題が出ます。

5つの分野分野日々のどこに当たるか貨物自動車運送事業法選任・点呼・記録道路運送車両法日常点検・整備管理者道路交通法速度・積載の制限労働基準法改善基準告示・労働時間
5つの分野と、日々の業務でどこに当たるかを並べた表

合格には、総得点の基準と、分野ごとの最低の得点の両方を満たす必要があるとされています。得意な分野で稼いでも、苦手な分野が基準に届かなければ合格になりません。まんべんなく押さえる必要があります。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

点呼記録簿や運転日報の様式は、点検板のテンプレートのページにあります。試験で問われる書類の実物を見ておくと、内容が入りやすくなります。

点検板で様式をさがす

実務をやっている人ほど、法令で落とす

社内で受けてもらう人を選ぶとき、実務の経験がある人が有利とは限りません。むしろ、経験がある人ほど「自社のやり方」で答えてしまう場面があります。

たとえば点呼の項目や、書類の保存期間。自社で使っている様式に合わせて覚えていると、法令が定めている内容とずれていることがあります。試験で問われるのは法令の側です。

逆に、経験が無い人は、最初から法令の文言で覚えます。基礎講習を受けてから受験する経路で合格する人が多いのは、この順番が素直だからです。

実務で覚えた形とのずれずれやすいところ試験で問われる側自社の点呼の項目法令が定める項目自社の保存の年数法令が定める年数自社に無い運行の型分割休息や隔日勤務自社の様式の欄記載事項そのもの
実務で覚えた形と法令の文言のずれが出やすいところを並べた表

準備を始めるときは、自社の様式と法令を突き合わせる作業から入るのが実務的です。試験の対策にもなりますし、ずれが見つかれば社内の書類も直せます。

数字の問題も、実務との差が出るところです。拘束時間、休息期間、連続運転、保存期間。自社の運行では出てこない数字が問われることがあります。長距離を走らない会社の人は分割休息の条件を知らず、逆に長距離ばかりの会社の人は隔日勤務を知らない、といった形です。

出やすいのは、運行の計画を組ませる問題です。出庫から帰庫までの時刻が与えられて、改善基準告示に反していないかを判断させる形。日々の配車でやっていることと同じなので、実務の経験がここでは効きます。

合格したあとの流れ

合格すると、資格者証の交付を申請することになります。合格しただけでは資格者証は手元に来ません。申請の期限があるため、結果が出たらすぐに手続きします。

資格者証が届いたら、営業所で選任し、選任の届出を出します。選任の届出は、運行管理者を選んだときに提出するもので、これを出していないと選任していないものとして扱われます。

届出には期限があります。選任した日から一定の期間内に出す形になっているため、資格者証が届いてから動くのでは遅れることがあります。いつから選任するかを先に決めて、そこから逆算するのが確実です。

合格したあとの流れ1交付の申請合格だけでは届かない2選任する営業所で決める3選任の届出期限内に提4その年度に講習基礎か一般を受ける
合格から資格者証の交付、選任、届出までの流れの図

選任した年度には、基礎講習または一般講習を受ける形になります。資格を取った年に講習も受けるという順番になるため、続けて予定を押さえておきます。

社内で誰に受けてもらうか

1人しか運行管理者がいない事業所では、2人目を作るのが当面の課題になります。選ぶときの目安は3つです。

1つ目は、続けて勤めてもらえる見込みがあること。資格は個人に付くため、辞めれば会社には残りません。

2つ目は、点呼の時間に事業所にいる人であること。資格を取っても、その人が現場にいない時間帯では使えません。早朝の出庫が多い事業所なら、早朝にいる人が向きます。

3つ目は、書類を扱うことに抵抗がない人であること。運行管理者の業務は、点呼と記録が中心になります。

運転者から選ぶ場合は、乗務との兼ね合いを考えます。運行管理者は事業所にいる必要がある場面が多く、長距離に出る運転者を選ぶと、実際には点呼を行えません。乗務の少ない運転者か、内勤の人が向きます。

補助者から段階を踏む形も取れます。基礎講習を受けて補助者になり、実務の経験を積んでから試験を受ける。会社としては、補助者の段階でも点呼の一部を任せられるため、早く効いてきます。

補助者から段階を踏む基礎講習数日で修了できる補助者点呼の一部を任せられる試験と選任2人目の運行管理者へ
基礎講習から補助者、実務、試験、選任へ進む道筋を並べた層の図

会社としてできる後押し

受けるのは個人ですが、会社の後押しがあるかどうかで結果が変わります。実際に効くのは3つです。

1つ目は、時間を作ることです。運行の合間に勉強させる形では進みません。試験の1か月前から、週に何時間かを業務の中で確保している会社があります。

2つ目は、実物を見せることです。点呼記録簿、運転日報、運行指示書、選任の届出。自社にある書類を実際に手に取って、法令のどの条文に当たるかを一緒に確かめると、暗記ではなく理解になります。

3つ目は、費用を負担することです。受験の手数料、基礎講習の費用、テキスト代。会社の業務に必要な資格として扱う形が一般的です。

合格したあとの扱いも、先に伝えておきます。資格手当を付けるのか、選任するのか、いつからか。取ったあとに何が変わるかが分かっていれば、途中で止まりにくくなります。

逆に、取らせたまま何も変えないと、次の人が受けたがりません。1人目の扱いが、そのまま2人目の動機になります。

まとめ

運行管理者試験を受けるには、実務1年以上の経験基礎講習の修了のどちらかが要ります。経験が無くても、基礎講習を受ければ受験できます。

試験は年2回が目安で、申し込みの期間が短いのが落とし穴です。試験の日より、申し込みの開始日と締切日を先に控えます。基礎講習で受ける場合は、講習の修了が申し込みに間に合うかを確かめます。

問われるのは5つの分野で、総得点と分野ごとの最低の得点の両方を満たす必要があります。実務の経験がある人ほど、自社のやり方で覚えた部分がずれていることがあるため、法令の文言で確かめ直します。

合格後は、資格者証の交付の申請、選任、選任の届出と続きます。選任した年度には講習も受けます。日程や手続きの詳細は、試験の実施機関と所轄の運輸支局で確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

点呼記録簿や運転日報など、試験で問われる書類の様式が点検板のテンプレートのページにあります。実物を見ながら法令と突き合わせられます。

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よくある質問

Q. 貨物と旅客で試験は違いますか。 A. 分かれています。貨物自動車運送事業と旅客自動車運送事業で、それぞれの試験があります。自社の事業に合うほうを受けることになります。両方の資格を持つ人もいます。

Q. 基礎講習は誰でも受けられますか。 A. 受講の要件は実施機関の案内で確かめます。実務の経験が無くても受けられる形が一般的です。定員があるため、試験の申し込みに間に合う日程かどうかを先に見ておきます。

Q. 実務の経験1年は、どう証明しますか。 A. 在籍していた事業者が作成する書類で証明する形になります。転職している場合は前職に依頼することになるため、早めに動きます。証明が取れない場合は、基礎講習の経路を使うほうが確実です。

Q. 不合格だった場合、次はいつ受けられますか。 A. 次の回に改めて申し込むことになります。年2回が目安なので、半年ほど空きます。受験の要件は引き続き満たしている必要があります。

Q. 資格者証の交付を申請しないまま時間が経つとどうなりますか。 A. 申請には期限が定められています。期限を過ぎると合格が無効になる扱いがあるため、結果が出たらすぐに手続きします。会社としても、申請が済んだかどうかを確かめる形にしておきます。

Q. 運行管理者の資格に更新はありますか。 A. 資格者証そのものに更新の手続きがあるわけではありませんが、選任されている間は定期的に講習を受けることが求められます。実質的には、講習が更新の役割を果たしている形になります。

Q. 試験はどこで受けられますか。 A. 各都道府県に会場が設けられています。受験の方法や会場は、試験の実施機関の案内で確かめます。会場の数が限られている地域では、移動の時間も見込んで日程を組みます。

Q. 社内に有資格者が複数いる場合、全員を選任する必要はありますか。 A. 選任が必要な人数は、営業所が保有する事業用自動車の数によって決まります。必要な人数を超えて選任することもできますが、選任した人には定期的な講習が求められます。予備として資格だけ持ってもらう形も取れます。

Q. 独学で合格できますか。 A. 市販のテキストや過去の問題で準備している人が多くいます。基礎講習を受けていれば、制度の全体像は押さえられます。自社の書類と法令を突き合わせる作業を並行させると、実務の理解と試験の準備が同時に進みます。

Q. 合格率はどれくらいですか。 A. 回によって変わりますが、決して高くはありません。分野ごとの最低の得点があるため、苦手な分野を放置すると届きません。準備の期間を2か月から3か月は見ておくと、余裕をもって臨めます。

Q. 試験に向けて、社内で何から始めればよいですか。 A. 自社の点呼記録簿と運転日報を1枚ずつ出して、書かれている項目が法令のどこに対応するかを確かめる作業から始めると入りやすくなります。実物と条文がつながると、暗記に頼らずに覚えられます。

Q. 受験する人が決まったら、会社としていつから動きますか。 A. 基礎講習で受ける場合は、講習の日程が申し込みに間に合うかを先に確かめます。受講の予約、受験の申し込み、会場の予約と手続きが続くため、試験の半年前には動き始めると余裕があります。

Q. 資格を取った人が辞めた場合、資格は会社に残りますか。 A. 資格は個人に付くため、会社には残りません。1人しかいない状態で辞められると、営業所の要件を満たせなくなります。複数の有資格者を確保しておくのは、このためです。