点呼と記録解説2025.08.28 公開AL-02

アルコールチェック記録簿の書き方と1年の保存

目次

アルコールチェックは毎朝やっている。けれど、記録簿のほうは会社ごとに形がばらばらで、これで足りているのかどうかが分からない。そういう状態のまま1年が過ぎている事業所は珍しくありません。

この記事では、アルコールチェック記録簿を、書く項目・書き方・保存の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の様式に足りない列がどれか、その場で確かめられる状態を目指します。

そもそも自社が対象かどうかから確かめたい方は、こちらを読むと早いです。→ アルコールチェックの義務化

結論:アルコールチェック記録簿に要るのは8つの項目

アルコールチェック記録簿とは、運転する人の酒気帯びの有無を確認した結果を残しておく帳簿のことです。国が定めた決まった様式はありませんが、記録すべき内容は示されています。

一般には、次の8つを記録するとされています。確認した人の氏名、運転者の氏名、運転する自動車の登録番号など車両が分かるもの、確認した日時、確認の方法、酒気帯びの有無、指示した内容があればその内容、その他必要な事項です。

ポイントはここです。様式が自由だからこそ、列が足りないまま1年運用してしまうことが起きます。市販のノートや、社内で作った簡単な表を使っている場合、確認の方法と指示した内容の2つが抜けていることがよくあります。

記録簿に要る項目と、抜けやすい2つ項目抜けると起きること確認の方法直行直帰の日が説明できない指示した内容何を判断したか残らない確認した人の氏名誰が見たか分からない確認した日時運転日報と突き合わない
記録簿に要る項目と、抜けやすい2つを並べた表

先に列の形を決めてしまえば、あとは毎日埋めるだけになります。逆に、列が足りないまま運用を始めると、後から足しても前の分は埋められません。始める前に列を確かめるのが、いちばん手間が少ない順番です。

「確認の方法」は3つに書き分ける

抜けやすい項目の1つ目が、確認の方法です。ここは「対面」「電話」「ビデオ通話」のように書き分けます。

対面は、事業所で顔を合わせて確認した場合です。目視等による確認と検知器による確認を、同じ場所で行える形になります。

電話とビデオ通話は、直行直帰や出張のときに使う形です。運転者の様子を確認できる方法であればよいとされているため、声だけの電話でも認められる形になっています。ただし、顔色が見えるぶんビデオ通話のほうが目視等の確認として説明しやすいという違いはあります。

方法によって確認できる中身が違う対面顔色も声も見える検知器を同じ場所で使える目視等の確認として説明しやすい電話・ビデオ通話声の調子は分かる顔色はビデオなら見える直行直帰でも確認できる
対面・電話・ビデオ通話の3つで、確認できる内容がどう変わるかを並べた比較の図

書き方は、記号で決めておくと早くなります。対面は丸、電話は三角、ビデオ通話は四角、のように社内で決めて、様式の欄外に凡例を入れておきます。毎日書くものなので、書く手間を減らす形にしておくほうが続きます。

「指示した内容」は、何も無かった日ほど迷う

抜けやすい項目の2つ目が、指示した内容です。酒気帯びが確認されたときに何をしたかを書く欄だと思われがちですが、それだけではありません。

書くのは、確認の結果を受けて、管理する側が何を言ったかです。「本日の運行を許可」「体調不良のため運転を交代」「昨夜の飲酒量が多いため午後から乗務」といった判断が入ります。

何も無かった日に空欄にしてよいかどうかは、様式の作り方で決めます。空欄が続くと、書き忘れなのか何も無かったのかが後から分かりません。「異常なし」と書く欄にするか、丸を付ける形にすると、空白の意味がはっきりします。

指示の欄に書く3つの型許可した本日の運行を許可条件を付けた午後から乗務、など乗せなかった交代・休ませた
指示した内容の欄に書く3つの型を並べた層の図

ここは、事故が起きたときにいちばん見られる欄です。数値がゼロだったことより、その日に管理する側が何を判断したかが残っているかどうかが問われます。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

アルコールチェックの記録簿は、点検板のテンプレートのページにExcelの様式があります。この記事は書き方の側の話です。

この様式をひらく

1日1行か、1人1行か

様式の作り方で分かれるのが、行の持ち方です。運転者ごとに1行にする形と、確認の回ごとに1行にする形があります。

確認は運転の前と後の2回行うため、1人1日で2回の記録が出ます。1人1行の様式にすると、1行の中に前と後の2つの時刻を入れることになります。列は増えますが、1人の1日が1行で見渡せます。

確認の回ごとに1行にすると、行は倍に増えますが、それぞれの回の時刻と方法を素直に書けます。直行直帰で朝は電話、夕方は対面、という日も、同じ形で書けます。

行の持ち方は2つ1人1行1日が1行で見渡せる列は増える対面が多い事業所向き確認1回ごとに1行行は倍になる時刻と方法を素直に書ける直行直帰が多い事業所向き
1人1行の様式と、確認1回ごとに1行の様式を並べた比較の図

人数が少なく、ほとんどが対面の事業所なら1人1行が早く、直行直帰の多い営業の事業所なら1回1行のほうが素直になります。自社の運転者の動き方で決めるのが要点です。

どちらの形にしても、1か月が1枚に収まる大きさにしておくと扱いやすくなります。運転者10人で1回1行にすると、1日20行、1か月で400行を超えます。紙で運用するなら運転者ごとに用紙を分け、データで運用するなら月ごとにシートを分けます。

列の並びは、書く順番と同じにします。日付、運転者、車両、時刻、方法、結果、指示、確認者。上から順に埋めれば1行が終わる形にしておくと、途中で列を探す時間が消えます。様式を配る前に、自分で3日ぶん書いてみると、並びの悪いところが分かります。

保存期間は1年。数え始めるのは記録が終わった日

アルコールチェック記録簿は、1年間保存するとされています。短いように見えますが、毎日の記録なので量は積み上がります。

数え始める日は、記録が完結した日から数えるのが安全です。月ごとにつづりを分けておけば、1年が過ぎた月のつづりだけを取り出せます。日ごとにばらばらに綴じていると、どこまでが期限切れなのかを1枚ずつ見ることになります。

月ごとに分けて1年で取り出す1月ごとに綴じるファイル名に年月21年たつ完結した月から数える3その月だけ出す1枚ずつ見なくてよい
月ごとにつづりを分けて、1年が過ぎたものだけを取り出す並べ方の図

データで管理する場合も同じです。月ごとにファイルを分け、ファイル名に年月を入れておきます。1つのファイルに1年ぶんを積み上げると、行数が増えて開くのに時間がかかるうえ、どこからが期限切れなのかが見えません。

なお、緑ナンバーの事業者は点呼記録簿に酒気帯びの有無を書く欄があり、点呼記録簿の保存期間は1年とされています。同じ1年ですが根拠となる法令が別なので、白ナンバーと緑ナンバーの両方を持っている会社は、つづりを分けておくほうが説明しやすくなります。

直行直帰の日をどう埋めるか

記録が空きやすいのは、直行直帰の日です。運転者が事業所に来ないため、その場で書く人がいません。

回しやすいのは、確認する側が書く形にすることです。電話やビデオ通話で確認した人が、その場で記録簿に書きます。運転者に後から書かせると、戻ったときに書き忘れます。

運転者の側には、検知器の結果を写真で送ってもらう運用を足している事業所もあります。数値が写った画面を撮って送ってもらえば、確認する側は見ながら書けます。記録簿に貼る必要はありませんが、後から見返せる形になります。

泊まりを伴う運行では、前日の終了後と当日の開始前の2回が要ります。宿泊先で測って報告する手順を先に決めておかないと、この2回が両方とも飛びます。

直行直帰の日に誰が埋めるか1運転者が測る携帯型の検知器で2電話かビデオ通話様子まで確認する3確認した人が書く後から書かせない
直行直帰の日に、誰がいつ記録簿を埋めるかを示したフロー

決めておく順番は3つです。誰が確認するか、どうやって結果を伝えるか、誰が記録簿に書くか。このうち3つ目が決まっていない事業所がいちばん多く、結果として「確認はしたが記録が無い」状態になります。

監査や照会で見られるところ

記録簿は、作ることそのものより、後から読まれたときに説明できるかどうかで価値が決まります。実際に見られるのは、次の3つです。

1つ目は、空白の日があるかどうかです。運転した日に記録が無ければ、確認していなかったものとして扱われます。乗務の予定表や運転日報と突き合わせられたときに、日付が合うかどうかを見られます。

2つ目は、確認の方法が書いてあるかどうかです。すべての日が「対面」になっているのに、実際には直行直帰の日がある、という食い違いが出ることがあります。運転日報の出発地と照らすと分かってしまう形です。

3つ目は、酒気帯びが確認された日の処理です。その日に運転させていないか、指示した内容が書いてあるかを見られます。ここに何も書かれていないと、確認したうえで乗せたのか、確認していなかったのかが区別できません。

3つとも、毎日の書き方を決めておけば自然に残ります。後から整えるのではなく、書く時点で説明できる形にしておくのが、いちばん手間の少ないやり方です。

点呼記録簿と分けるか、まとめるか

緑ナンバーの事業者は、点呼記録簿に酒気帯びの有無を書く欄があります。白ナンバーの車両も持っている会社では、2つの記録を1枚にまとめたくなる場面が出ます。

まとめる利点は、書く場所が1つで済むことです。運転者から見ても、朝に向かう先が1か所になります。人数の少ない事業所では、この形のほうが続きます。

分ける利点は、根拠となる法令が違うことを、そのまま形に残せることです。点呼記録簿は貨物自動車運送事業輸送安全規則にもとづくもの、アルコールチェック記録簿は道路交通法にもとづく安全運転管理者の業務です。監査で見る人も、巡回指導で見る人も別になります。

判断の目安はこうなります。緑ナンバーだけの事業所なら、点呼記録簿1本で足ります。白ナンバーだけなら、アルコールチェック記録簿1本です。両方を持っている会社は、車両の区分で記録を分けておくほうが、どちらの検査でもそのまま出せます。

まとめる形を選ぶ場合は、どの行がどちらの車両のものかが分かる列を1つ足しておきます。列が1つあるだけで、後から抜き出せる形になります。

まとめ

アルコールチェック記録簿には決まった様式がなく、記録すべき8つの項目が示されています。抜けやすいのは、確認の方法と指示した内容の2つです。

確認の方法は、対面・電話・ビデオ通話に書き分けます。指示した内容は、何も無かった日にも「異常なし」と残る形にしておくと、書き忘れと区別が付きます。

行の持ち方は、1人1行と確認1回ごとに1行の2つがあります。直行直帰が多いなら1回1行のほうが素直です。

保存期間は1年で、月ごとにつづりを分けておくと期限が来たものだけを取り出せます。自社の運用で判断に迷う点は、所轄の警察署に確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

アルコールチェック記録簿のExcelの様式が、点検板のテンプレートのページにあります。8つの項目がそのまま列になっているので、読んだその日から使えます。

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よくある質問

Q. アルコールチェック記録簿は、紙とデータのどちらで残すべきですか。 A. どちらでもよいとされています。1年間保存できること、後から書き換えた形跡が分かることが確かめられる形にしておきます。表計算ソフトを使う場合は、月ごとにファイルを閉じて保管する運用にしておくと安全です。

Q. 検知器の数値そのものを書く欄は必要ですか。 A. 記録すべき項目として挙げられているのは酒気帯びの有無で、数値そのものではありません。ただし、数値を残しておくと、後から経過を見返せます。欄を作るかどうかは自社で決められます。

Q. 運転しない日も記録簿に行を作りますか。 A. 確認が必要なのは運転する日なので、運転しない日は行を作らなくてかまいません。ただし、行が無い日と書き忘れた日が見分けられなくなるため、乗務の予定表と突き合わせられるようにしておくと安全です。

Q. 確認した人の氏名は、印鑑やサインでもよいですか。 A. 氏名が分かる形であればよいとされています。印鑑やサイン、データであれば入力した人の記録でもかまいません。誰が確認したかを後から特定できることが要点になります。

Q. 1年が過ぎた記録簿は、捨ててよいのですか。 A. 保存期間を過ぎたものは処分できます。ただし、事故や行政の照会が進行中の記録は、期間が過ぎていても残しておくほうが安全です。処分するときは、何をいつ捨てたかを1行残しておくと、後から探されたときに説明できます。

Q. 記録簿の様式を途中で変えてもよいですか。 A. 変えられます。列が足りないことに気づいたら、その時点で足すほうが先です。変えた月から新しい様式にして、前の月のつづりはそのまま残します。前にさかのぼって書き直すと、いつ確認したのかが分からなくなります。

Q. 運転者が自分で記入する形にしてもよいですか。 A. 誰が書くかの決まりは置かれていませんが、確認するのは安全運転管理者やその補助をする人なので、確認した側が書く形のほうが説明しやすくなります。運転者が書く運用にする場合でも、確認した人の氏名の欄は確認した本人が埋めるようにしておきます。

Q. 記録簿に書く「車両が分かるもの」は、社内の管理番号でもよいですか。 A. どの車両で運転したかが特定できる形であればよいとされています。社内の管理番号を使う場合は、番号と登録番号の対応表を別に持っておくと、照会が来たときにすぐ答えられます。番号だけが残っていて対応表が無いと、後から特定できません。