労働時間解説2025.05.13 公開RJ-05

分割休息とは?1回4時間以上・合計10時間以上の条件

目次

継続して11時間の休息期間を取らせたい。そう思っていても、長距離の運行やフェリーを挟む便では、どうしても途中で切れてしまうことがあります。そのたびに「これは違反なのか」と気になったまま運行を組んでいる事業所は少なくありません。

この記事では、分割休息を、使える条件と数え方の順に整理します。読み終えたときに、自社の運行のどの便で使えて、どの便では使えないのかを、自分で判断できる状態を目指します。

休息期間そのものの数え方から確かめたい方は、先にこちらを読むと早いです。→ 休息期間とは

結論:分割休息は「1回4時間以上・合計10時間以上」で認められる

分割休息とは、本来は続けて取るはずの休息期間を、2回または3回に分けて与える扱いのことです。改善基準告示の特例のひとつとされています。

一般には、休息期間は勤務と勤務のあいだに継続して与えるものとされています。分割休息は、その原則を崩す代わりに、いくつかの条件を付けた形になっています。

ポイントはここです。分割休息が成り立つのは、1回が4時間以上で、合計が10時間以上のときとされています。片方だけでは足りません。3時間と8時間で合計11時間あっても、1回が4時間に届いていないため、分割休息としては認められない形になります。

継続で取る形と、分けて取る形継続して取る11時間を続けて取る原則はこちら分割の条件を見なくてよい分けて取る1回4時間以上合計10時間以上2回までが原則業務上やむを得ない場合だけ
継続した休息期間と、分割休息で認められる形を並べた比較の図

そのうえで、分割休息には「いつでも使ってよいわけではない」という制限が付いています。ここを外すと、条件を満たしているつもりで実は使えない便、という状態が生まれます。

分割休息を使ってよいのは、業務上やむを得ない場合だけ

分割休息は、業務の必要上やむを得ない場合に限って認められるとされています。会社の都合で運行を詰めたい、というだけでは理由になりません。

やむを得ない場合として挙がりやすいのは、荷主の都合で待機が発生する便、フェリーや長いトンネルなど途中で降りられない区間を含む便、深夜の荷役が指定されている便などです。運行の形そのものが、継続した休息を取りにくくしているという説明ができるかどうかが分かれ目になります。

逆に、単に配車を詰めたい、車両が足りない、というのは業務の必要ではなく会社側の事情です。監査や巡回指導で問われたときに、運行そのものの事情として説明できる形にしておくのが安全です。

理由になるもの、ならないもの理由になる荷主指定の荷役が早朝フェリーの便が限られる途中で降りられない区間運行の形そのものの事情理由にならない配車を詰めたい車両が足りない会社側の事情は通らない
分割休息を使える理由と、理由にならないものを並べた比較の図

判断に迷う便があるなら、所轄の運輸支局か労働基準監督署に、運行の形を示して確かめるのが確実です。同じ「待機がある便」でも、待機の長さと発生の理由で見方が変わることがあります。

1回あたりの長さと、合計の長さを分けて数える

分割休息の条件は2つあり、それぞれ別のことを見ています。混ぜて考えると、片方だけ満たした運行を「大丈夫」と読んでしまいます。

1つ目は、1回あたりの長さです。分割したそれぞれが4時間以上でなければなりません。2時間の仮眠を5回積み上げても、1回が4時間に届いていないため成り立ちません。

2つ目は、合計の長さです。分割した休息を足して10時間以上である必要があるとされています。継続で与える場合の9時間や11時間とは別の数字なので、ここは覚え直しが要ります。

2つの条件は両方を満たす1回4時間以上短い仮眠は数えない合計10時間以上足して10時間3回に分ける合計12時間以上
1回4時間以上と合計10時間以上の2つの条件を並べた層の図

分ける回数は、原則として2回までとされています。3回に分ける場合は、合計が12時間以上必要になるとされており、条件が重くなります。回数を増やすほど、合計で求められる時間も増えるという作りになっています。

数え方でよく揉めるのが、休息のあいだに短い作業が挟まる場合です。荷物の積み替えや点呼が入ると、その時点で休息期間は切れます。切れた前後は、それぞれ独立した休息として長さを見ることになります。

全勤務日数の2分の1が上限になる

分割休息には、回数の上限も付いています。一般には、分割休息を使える日数は、1か月の全勤務日数の2分の1が限度とされています。

つまり、月に20日乗務する運転者であれば、分割休息を使えるのは10日までという計算になります。毎日のように分割休息で組んでいる状態は、この時点で条件から外れます。

使えるのは全勤務日数の半分まで月20日乗務する運転者分割休息を使える10日継続して休息を取る10日便ごとに条件を満たしていても、月で数えると超えることがある
月20日勤務の場合に分割休息を使える日数を示した図

ここは、運行を組む側からすると見落としやすいところです。1便ずつ見ると条件を満たしているのに、月でまとめると上限を超えている、という形になりやすいためです。数えるのは便ではなく、月の日数だと覚えておくと間違えにくくなります。

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実際に使える様式が必要な方へ

拘束時間・休息期間・分割休息の日数を運転者ごとに月単位で集計できるExcelの表が、商い屋の運送業向けのページにあります。この記事は条件の側の話です。

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対象が複数の運転者にまたがると、手で数えるのは現実的ではありません。月の集計表を1枚作って、分割休息を使った日に印を付けていく形にしておくと、上限に近づいたことがその場で分かります。

分割休息と、他の特例を混ぜない

改善基準告示には、分割休息のほかにも特例があります。2人乗務の特例、隔日勤務の特例、フェリーに乗船する場合の扱いなどです。それぞれ条件が別なので、混ぜて使うと説明できなくなります。

2人乗務の特例は、車両に身体を伸ばして休息できる設備があり、2人が交替で運転する場合に、最大拘束時間を延ばせるという内容とされています。休息を分けるという話ではありません。

フェリーの場合は、乗船時間を原則として休息期間として扱うとされています。分割休息を使わなくても、乗船している時間がそのまま休息になる形です。フェリーを挟む便は、まずこちらで整理できないかを見るのが順番として自然です。

3つの特例は、緩めるところが違う特例何を緩めるか分割休息休息を分けて与えられる2人乗務最大拘束時間が延びるフェリー乗船時間を休息に数える隔日勤務勤務の組み方が別の型
分割休息・2人乗務・フェリーの3つの特例が、それぞれ何を緩めるのかを並べた表

隔日勤務は、勤務の組み方そのものが別の型になります。分割休息と同時に使う形にはなりません。自社がどの型で運行しているのかを先に決めてから、その型の条件だけを見るようにします。

記録に残すのは「分けた時刻」と「理由」

分割休息を使ったことは、記録から読み取れる形にしておく必要があります。監査や巡回指導で見られるのは、実際の時刻と、なぜ分けたのかの2つです。

残しておきたいのは、休息の開始と終了の時刻をそれぞれの回ごとに書くこと、そしてその便で分割休息を使った理由を1行添えることです。運転日報や乗務記録に欄が無い場合は、備考でかまいません。

理由の書き方は、運行の事情が分かる形にします。「荷主指定の荷役が翌朝5時のため」「フェリー待機のため」のように、その便に固有の事情を書きます。「配車の都合」とだけ書くと、会社側の事情と読まれます。

月の集計側には、分割休息を使った日数が出るようにしておきます。上限の2分の1に触れているかどうかは、日ごとの記録を見ても分からないためです。

運行を組む前に確かめる3つ

分割休息が使えるかどうかは、運行を組んだ後ではなく、組む前に判断したほうが手戻りが出ません。確かめる順番は3つです。

1つ目は、その便が業務上やむを得ない形かどうか。2つ目は、分けた休息が1回4時間以上・合計10時間以上になる組み方ができるかどうか。3つ目は、その運転者の今月の使用日数が上限に触れていないかどうかです。

この3つのうち1つでも外れるなら、分割休息では組めません。その場合は、継続した休息期間が取れる形に運行を割り直すか、2人乗務やフェリーの扱いで整理できないかを見ることになります。

順番を3つにしているのは、外れたときに手が戻る量が違うためです。1つ目の「業務上やむを得ないか」が外れていれば、その便はそもそも分割休息の対象になりません。2つ目の「1回4時間以上・合計10時間以上」が外れているなら、荷役の時刻を1時間ずらすだけで成り立つことがあります。3つ目の「月の使用日数」が外れているなら、便の中身ではなく、誰に乗ってもらうかの問題になります。

外れた理由によって、直す場所が変わります。まとめて「使えない」と判断すると、ずらせば成り立つ便まで捨てることになります。配車を組む人と運行管理者が、この3つを同じ順番で見る形にしておくと、やり取りが短くなります。

数え方でつまずきやすい3つの場面

条件そのものは短いのに、実際の運行に当てはめると迷う場面があります。よく揉めるのは次の3つです。

1つ目は、休息のあいだに点呼が入る場合です。乗務後点呼を受けた時点から休息期間が始まるため、点呼の前の待機時間は休息に数えられません。逆に、休息の途中で中間点呼を受ければ、そこで休息は切れます。休息期間は、点呼と点呼のあいだではなく、勤務が終わってから次の勤務が始まるまでである点を押さえておきます。

2つ目は、日をまたぐ場合です。休息期間は日付ではなく、勤務と勤務のあいだで数えます。22時に乗務を終えて翌日の8時に乗務を始めるなら、日付は変わっていても休息は10時間です。日ごとの表で管理していると、この形が見えなくなります。

3つ目は、荷待ちが長い便です。荷待ちの時間は、原則として拘束時間に含まれるとされています。「待っているだけだから休息」と扱ってしまうと、拘束時間と休息期間の両方がずれます。荷待ちは荷待ちとして記録し、休息とは分けて数えます。

休息はどこで切れるか乗務後点呼ここから休息が始まる中間点呼入れば休息は切れる日をまたぐ日付では切れな荷待ち拘束時間で休息ではない時刻を分単位で書いておけば、後から数え直せる
点呼・日またぎ・荷待ちで休息期間の区切りがどこになるかを示した時系列の図

この3つは、どれも「休息が始まる時刻」と「終わる時刻」の取り方の問題です。時刻を分単位で書いておけば、後から数え直せます。まとめて「休息10時間」とだけ書く形にすると、条件を満たしていたかどうかを確かめられなくなります。

運転者にどう説明するか

分割休息は、運転者から見ると「途中で休みが切れる運行」です。条件だけを伝えても、なぜこの便だけ形が違うのかが分かりません。説明の順番を決めておくと、行き違いが減ります。

先に伝えるのは、その便で分割休息を使う理由です。荷主の荷役時間が朝5時に指定されている、フェリーの便が限られている、といった運行そのものの事情を話します。理由が分かれば、切れた休息にも納得が得られやすくなります。

次に伝えるのは、どこからどこまでが休息なのかです。1回目が何時から何時まで、2回目が何時から何時までかを、運行指示書や配車の連絡に書いておきます。口頭だけだと、休息のつもりで車両の整理をしてしまう、といったずれが起きます。

最後に伝えるのは、記録にどう書くかです。分けた回ごとに時刻を書くこと、備考に理由を1行入れることを、実物の様式で1回見せておくと定着が早くなります。書き方が人によって違うと、月の集計ができません。

まとめ

分割休息は、休息期間を2回または3回に分けて与える特例です。1回4時間以上・合計10時間以上が基本の条件で、3回に分ける場合は合計12時間以上が求められるとされています。

使えるのは業務上やむを得ない場合に限られ、1か月の全勤務日数の2分の1が使用日数の上限になります。便ごとに条件を満たしていても、月で数えると超えていることがあるため、集計は月単位で持ちます。

記録には、分けた時刻をそれぞれ残し、その便で分割休息を使った理由を1行添えます。判断に迷う便は、所轄の運輸支局または労働基準監督署に運行の形を示して確かめるのが確実です。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

拘束時間と休息期間、分割休息の使用日数を1枚で管理できるExcelの表が、商い屋の運送業向けのページにあります。条件を読んだあと、そのまま月の集計に移れます。

この様式をひらく

よくある質問

Q. 3時間と8時間に分けた場合、合計11時間あるので大丈夫ですか。 A. 分割休息としては認められない形になります。合計10時間以上という条件は満たしていますが、1回が4時間以上という条件を満たしていないためです。2つの条件は両方を満たす必要があります。

Q. 分割休息を使った日は、拘束時間の上限も変わりますか。 A. 拘束時間の上限は別の規定です。分割休息を使ったからといって、1日の拘束時間の上限が動くわけではありません。拘束時間・休息期間・連続運転時間は、それぞれ独立して満たす必要があるとされています。

Q. 分割休息を使える日数の上限は、運転者ごとに数えますか。 A. 運転者ごとに数えます。1か月の全勤務日数の2分の1が限度とされているため、乗務日数が違えば上限も変わります。会社全体の延べ日数で数える形ではありません。

Q. 車内での仮眠は休息期間に入りますか。 A. 身体を伸ばして休息できる設備があるかどうかで扱いが変わります。設備の要件を満たしているかどうかは、車両の構造によって判断が分かれるため、所轄の運輸支局に確かめるのが確実です。

Q. 分割休息を使った日は、運転日報に特別な書き方が要りますか。 A. 決まった様式があるわけではありませんが、休息の開始と終了の時刻を回ごとに書ける形にしておくと、後から条件を確かめられます。1行しか書けない様式だと、分けたことも、それぞれの長さも残りません。備考欄に理由を1行添える運用まで決めておくと、月の集計がそのまま説明の材料になります。

Q. 荷主の都合で待たされた時間は、分割休息の1回目に数えられますか。 A. 荷待ちの時間は原則として拘束時間に含まれるとされているため、休息期間としては数えない形になります。待機のあいだに車両を離れて休息できる状態であったかどうかで見方が変わることがあるので、実際の運行の形を示して所轄の労働基準監督署に確かめるのが確実です。

Q. 2回に分ける場合と3回に分ける場合で、合計の条件が違うのはなぜですか。 A. 分ける回数が増えるほど、まとまって眠れる時間が短くなるためとされています。そのぶんを合計の長さで補う作りになっており、3回に分ける場合は合計12時間以上が求められます。回数を増やせば楽になる、という方向の特例ではありません。